台湾を代表する竹製品の産地「竹山」、そこで竹産業に意欲を燃やす若者がいました
こんにちは、台北ナビです。
今回ナビは、竹製の商品を扱う店ではなく会社、しかも工場が隣に併設する本社におじゃましてきました。場所は、台湾中部の南投県。台湾の最大の竹の産地「竹山」にある会社です。
1978年創業のこちらの会社は、当初廖兄弟によって起こされました。品質の安定と納得できる価格、納期厳守を経営理念として、兄弟力を合わせてきた結果が、今日の「孟昌」につながっているというわけです。常に顧客へのサービスを重視してきたことは言うまでもありません。
2代目が語る
若き2代目の廖偉鈞さん曰く、「竹工場を設立し、竹を商うことを正式に始めたのは父だけど、祖父の時代にはもう竹を集めてお盆などを売り始めていたので、それが一家が竹に接した最初のきっかけといえば、自分は2代目というよりも3代目」だそう。1970年代、竹山には400軒ほどの工場が操業展開し、台湾の竹といえば「竹山」が名産地として、台湾全土に知れ渡っていました。が、1980年代になって、プラスティックの普及により、竹は徐々に衰退していき、竹山の多くの工場は中国に拠点を移すか、閉業を余儀なくされました。
今では10軒あるかないかの工場の一つが、竹山の竹産業に新しい息吹を吹き込んでいる廖さんの会社「孟昌」なのです。
「孟昌」の竹製品の多くは、大小用途別のスプーンやフォーク、箸。まな板やお盆、食器セット、蒸篭、ラックなどの生活に密着した高級感のあるもので、多くはアメリカやヨーロッパに輸出され、パーティー仕様やギフトとして、活用されています。もし、以前日本の100円ショップのDAISOで竹匙を見かけたことがあるなら、それは「孟昌」の製品だそうです。
竹製品に成るには
2000年に入り、「孟昌」は、自然の竹はそのまま放置しておくと湿気によってカビが生えたりするので、竹製品の保存を強化するために、まずは刈った竹を蒸して竹を芯から殺菌、その後竹を幾重にも合わせて圧縮し枚の板のようにします。その後、約1時間半110度で燻し、それから曲げたり切ったり製品として形作ることを始めました。燻すことによって、「孟宗竹」の自然なラインの美しさが生える、そして長く使用できる製品に仕上げることに成功したのです。
竹製品の美とエコ
竹の種類は何百種とありますが、中でも中国や台湾、東南アジアに多い孟宗竹は、他の竹よりも成長が早く、その美しさでも群を抜いています。最初の1,2年で二酸化炭素を多く取り込み、4,5年経つと他の竹が追い付かないほどの高さになっています。この時期刈り取ってしまわないと、筍も成長しないとのことで、成長して4,5年の孟宗竹が製品として使用されます。生態の一つのサイクルとして、これはある意味大いなる環境保護でもあるのです。ある種の樹木が伐採を制限され始めている現在、孟宗竹は4,5年で切らないと、竹にとっても筍にとってもよくないという観点からすると、とってもエコな資材なのです。また、この時期に刈り取られた孟宗竹は、木よりも固いので、実用面も格段にいいのです。更に強調しますが、成長4,5年の製品はラインが一番美しく見えることもあり、高級感がグンとアップすることは言うまでもありません。
la-boosブランド
裏にはしっかりブランド名
さて、「孟昌」の2代目である廖さんが起ち上げたla-boosブランドを紹介しましょう。la-boos のlaは英語ならTheに当たり、boosはBambooのbooから取ったもの。「これは竹製である」ということを主張しています。
まずは、カエルと小熊の食器セットです。これが、竹製だということにちょっと驚き、子供用じゃなく大人も使用したいと思ってしまうのはナビだけ?
お椀とスプーン、フォークのセットも自然美にほれぼれします。スプーンに注目したいのは、右手で持った場合、口に近い方に丸みがあります。これは、幼児は上からわしづかみでスプーンをつかみ、そのまま口に運ぶ習性から発案したもの。と、これは右利き用の子のスプーンになっちゃうので、左利きを右に直したいお母さんがいたら、これはそういう意味でもいい道具になっちゃいますね。
贈り物としても最適
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こんな感じです
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底にはすべり止め
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右のスプーンが傾いていますね
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まな板にも感心しました。
片面を肉用、もう片面を魚用などに分けて使用する場合、端が斜めになっているので、手を差し込むとすぐ引っくり返せるというわけです。なかなかいいアイデアですよね。何で今までこういうのがなかったんだろうと気付かされました。
これらの製品は、食器セットなどは大体500~600元ほどで、徐々に家具屋生活用品を扱うホームセンターの「HOLA」などでも取り扱われています。
他にもまだまだ考案中で、試作品は後ほど、廖さんの仕事部屋からご紹介しましょう。
売り物ではありませんが、ご紹介
ナビが気になったのが、会社に入った時に目に入った、茶台。117㎝x60㎝、高さ6.5㎝のこちらの台は、主に中国大陸への輸出品らしいのですが、高級感たっぷりですよね。
工場の方も拝見
中国にも工場をもつ「孟昌」、こちらでは製品の一部分を取り扱っています。中国では、うちを購入したときにドアなどはすべてオーダーメイドになるそう。
これらは竹製のドアですが、竹だとこんなにきれいになるんですね。しかも丈夫。
こちらは、竹を煮沸する器械
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竹の乾燥庫もあり、使用されています
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廖さんの仕事場
試作品など面白いものがいっぱい棚の中に並んでいました。
竹匙も、ほら、こんなにいっぱい。竹の茶壺もあります。
お椀などは何回も熱いスープを入れたりして、数か月にわたってその変化なども観察しているそう。
これは骨壺を入れる竹の箱で、オーダーメイド。隣に小さい箱がありましたが、ペット用だそう
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お弁当箱にも活用できます
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こちらは、サラダをかき混ぜる匙とフォーク
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見ての通り、竹製のセイロ
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廖さんは、まだ20代の後半ですが、自営の竹産業に大いに意欲を燃やしています。
一日中竹と共に暮らし、竹を使って如何によい製品を開発できるか、彼の頭の中はもうそのことでいっぱいのようでした。若き社長が熱く語る台湾の竹、ナビも竹山が再び竹産業で盛り上がるには、彼は欠かせない人物だと思いました。廖さん、大いに期待していますよ~!
以上、台北ナビがおとどけしました。