阿里山にある自家農園の茶葉を雰囲気あふれる空間で販売。こだわりの健康茶や老茶も入手しちゃいましょう♪
こんにちは、台北ナビです。
いきなり私事ですが、ナビは台湾茶が大好き。でも茶葉に対する造詣は決して深くありません。そんなナビがお茶を買う時のポイントは、お店の雰囲気と、素人でもわかる安全性。同じお茶でも気持ちよくゆったり飲めると、それだけで美味しく感じられませんか?
今回ご紹介するのは、そんなポイントをしっかりと押さえた知る人ぞ知る名店。阿里山の自家農園で作ったお茶と、厳選された老茶をとっても素敵な空間で提供している「紫金園茶葉」です。お茶通からナビのような雰囲気重視のお客まで、しっかり満足させてくれるその魅力とは?さっそくお邪魔しましょう。
お店があるのは、和平東路一段185号の入口。日本時代の風情が残る閑静な住宅街の中に、おしゃれでこだわりのある茶芸館やカフェが次々にオープンしている「青康龍(青田街、永康街、龍泉街)」と呼ばれるエリアにあります。日本の雑誌でも最近注目を浴びているエリアですが、紫金園はこのあたりの喫茶文化の草分け的なお店なのです。
店内はセンスがよく心地よい空間
モダンなビルの一角にあり周辺も静かですが、店内に入るとさらに洗練された雰囲気がナビたちを待っていました。高めの天井に抑え気味の照明。無造作だけれど一つ一つにこだわりとセンスを感じさせるインテリア。おしゃれなのに居心地のよい空間作りは見事です。
天井からぶらさがっているライトは、一つ一つ形の違うランプシェードは瑠璃製で、透けた光も雰囲気作りに一役かっています。インテリアには阿里山鉄道の枕木や流木などが多く使われていました。ガラスやコンクリートがメインの店内でも温かみがあるのは、地元の木材を愛情深く使っているからなんですね。
龍柏が使われた扉
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棚は阿里山鉄道の枕木で作ったオリジナル
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オリジナルの棚にディスプレイされた茶道具にもきっと目を奪われてしまうはず。ほとんどが骨董品で、中には清の時代に作られたものもあるとか。銀や錫でできた茶壺や茶卓なども使いこまれた道具特有の美しさを放っています。年季の入った道具とグリーンの調和も絶妙!骨董品なのでお値段は推して測るべしですが、自宅にしまいこんだ茶道具をこんな風に飾ったらいいかも、なんていうヒントをもらうのも、お茶屋さんに行く醍醐味ですよね。
さりげなく置かれた茶道具
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アルコールランプの入る台は陶芸家でもあるお店のスタッフの作品
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お茶の品質は間違いありません
店内に茶農園の写真があります
この紫金園は代々阿里山で営む茶農園からスタートし、店名も茶園の名称をそのまま使っています。
台湾高山茶の産地を代表する阿里山は標高が高く、気温が低温で維持されるため葉がゆっくり大きく成長します。さらに、頻繁に発生する霧によって強すぎる日光が遮ぎられ、苦味や渋みの少ない茶葉が採れるため、古くから茶葉の産地としてその名をとどろかせているのです。自然によって守られた茶葉は厚みがあって香りや甘みも豊か。人工ではなしえない天然の旨みを持つといいます。
「自産、自製、自鎖」がモットー
お店の看板にも自産、自製、自鎖の文字が刻まれています
茶農家の役割は普通、茶葉の栽培、精製、製茶までですが、紫金園では販売も自ら行うことにしました。流通ルートで他のお茶と混ざったり、不当な値段がつけられることのないよう、「自産、自製、自鎖(鎖とは販売のこと)」をモットーとしています。この理念は我々消費者にとってもありがたいこと。生産から販売まで責任を持って提供してくれる茶葉なら、安全性にも信頼が置けますよね。
また、紫金園は残留農薬の基準値も毎年優秀な成績でクリアしています。台湾政府の茶葉に対する残留農薬基準値は、実は日本よりも厳しいってご存知でしたか?この基準をパスしているということは、我々日本人も安心して飲める茶葉なんだそうです。
自家農園の阿里山茶を試飲しました
品質にも内装にもこれだけこだわりとセンスを感じさせてくれると、お茶の味にも期待が膨らみます。というわけで、いよいよ紫金園自慢のお茶を試飲させていただくことに。阿里山の自家農園で今年(2013年)の春獲れたばかりの金萱茶を淹れてもらいました。
色も形もしっかりした当たり年の金萱茶
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開いた茶葉もまたきれい
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お茶を淹れてくれたスタッフの顔妤宸さん曰く、台湾茶の中でも人気の高い金萱茶は春の新茶が一番おいしいので、4~5月に訪れるお客さんには必ずおすすめするんだそうです。春と夏では値段もだいぶ違うということです。ここ数年でも特に出来がいいという今年(2013年)のお茶を口元に持ってくると、すでに甘い香りが漂ってきました。一口飲むとまろやかな味わい。後からまた甘い香りが追いかけてきて、期待を裏切らない味です。今までナビが飲んだどの金萱茶よりも香りが豊かで、お茶のアロマ効果を再確認できる美味しさでした。
シンプルな袋詰めにされ陳列されています
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150g~小分けの包装も可能。パッケージもモダンです
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缶や袋を自由に詰めたギフト包装もできます
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客家の布を使ったオリジナルパッケージもプレゼントに喜ばれそう
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体にうれしいギャバロン茶も販売
品質も味もいいお茶をいただいたところで、お店の方が紹介してくれたのが、GABAが含まれたその名もギャバロン茶(中国名は佳葉龍茶)。GABAはアミノ酸の一種で、血圧の低下や腎肝機能を活性化、中性脂肪を抑えるなどさまざまな効能が期待できる成分です。この天然のGABAが豊富に含まれたのが、紫金園のギャバロン茶。もともとよいお茶を使っているので飲みやすく、常連さんの間で密かに人気を博しているそうです。
カフェインも少なくリラックス作用があるので、女性には特におすすめと言われ、疲れ気味のナビも興味津々で試飲させていただきました。見た目は普通のお茶ですが、口元に持っていくと独特の甘酸っぱい香りがします。欧米の方や台湾人でも南部の方の中には、この香りをかいだだけで飲むのをやめてしまう人もいるということでしたが、ナビはそこまで気になりませんでした。飲んでみると香りほどクセがなくさらに飲みやすいと感じました。老板の呉さんは、ギャバロン茶を毎日飲んでるうちに白髪が減ったと実感しているとか。ナビも取材の翌日すこぶる体調が良かったのですが、果たして…!?ぜひご自分の体でギャバロン茶効果を確かめてみてください。
2013年4月、老茶の新ブランドができました
このように自家農園で作った茶葉だけを、自信を持って提供してきた「紫金園茶葉」ですが、2013年4月からそれらの新茶とは別に、各地で集めた質のいい老茶の販売を開始しました。老茶シリーズのブランド名は「
啜墨看茶」。
中国北宋の詩人・蘇軾(蘇東坡)の詩から名付けたそうで、、「啜墨(※直訳:墨をする)」は書をたしなむ、「看茶(※直訳:お茶を飲む)」はお茶を楽しむという意味。中国古代の文化を今に受け継ぎ、優雅な時間を楽しもうというコンセプトを表現しています。
きっかけは近年の老茶ブームですが、新しいお茶は飲みすぎると胃腸への負担が大きいため、体に優しい老茶をぜひ取り入れてほしい、というのが新ブランドを立ち上げた最大の理由だそうです。お茶は熟成させると味の丸みが増すだけでなく、カフェインが減って身体に優しい成分に変化するのだとか。さらに本来寒性で体を冷やす飲み物であるお茶が、時の経過とともに温性に変わるので、冷えが気になる方や女性でお茶好きの方には、老茶が強い味方になってくれそうです。
新ブランドのコンセプトに合わせて、中国広州で古くから伝わるお香「恵安紅土」(商品はベトナム産)も扱っています。古代中国では「焚香」「喫茶」「読書」などを通して鼻・口・目など体を清める意味があったそうです。落ち着いた香りに癒されながら、ゆっくり時間をかけて熟成した老茶をいただき、書に学ぶ。ぜいたくな時間ですね。
センスのいい小さな缶に入っています
老茶は質のいいものであればあるほど希少価値が高く、どうしても値段が高くなりがち。そこで小分け包装にして、まずは手頃な値段でトライしてもらおうと、老茶は10g単位で缶に詰められています。そんな工夫の末の産物ですが、白地に赤いブランドマークがポイントになった缶は、シンプルで実に日本女性好み。手のひらサイズで300元から、中には1000元越えの高級茶もありますが、思わず買って帰りたくなるセンスの良さです。
この日並んでいたのは1985年産の「永隆凍頂」、1987年産の「文山包種」(台湾産)、1970年産「老欉安渓鉄観音」、2001年産「安渓鉄観音」(中国・福建省の安渓産)、1970年産「特選正欉水仙」(福建省産)、1060年産「散普」、1979年産「文革茶」(雲南省産)、1987年産の「鳳凰單欉」(広東省産)で中国のものがほとんどでした。
スッキリとしたホワイトの缶がおしゃれ
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何気なく置いてあっても絵になります
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新茶と老茶、飲み比べてみました
というわけで、新茶と老茶が具体的にどう違うのか、実際に飲ませていただくことに。まずは10年寝かせた鉄観音。老茶だけあって茶の色は渋い茶です。口当たりも濃厚。新茶にはなかった果物のような香りが広がりました。次に27年ものの文山包種茶を。発酵度が低く、色も緑がかって新鮮な茶葉の香りが特徴の包種茶が、風格ある茶色になって登場しました。美味しいのはもちろん、飲むとなんだか心が落ち着く感じが。これが熟成の力なんでしょうか。
高温多湿地帯の台湾では、茶葉をいい状態で保存するのはことのほか難しいそう。淹れてみると真っ黒という茶葉は、黒色が特徴のプアール茶以外では雑味が多い証拠なのだそうです。老茶は時間を置けば置くほど美味しくなるといいますが、やはり保存状態が肝心なんですね。「色が濃すぎず、透明感のあるものなら、味も芳醇なんです」と言いながら顔さんが淹れてくれた老茶は、まさに透明できれいなロゼ色。すごく飲みやすいのに、深い味わいがありました。
新茶も老茶もそれぞれに魅力があります
ありがちな例えで恐縮ですが、新茶は元気な若者、老茶は成熟した大人という感じ。香りも味もキリっとしたパンチのある新茶が好きという人もいれば、しっとりまろやかな老茶に惹かれる方も同じくらいいると思います。27年ものの包種茶を飲むのはナビも初めてでしたが、さっぱり爽やかな包種茶の新茶とはまさしく対照的。しかしそれぞれに魅力がありますので、気分やシーンによって選択肢が広がるな~と嬉しくなりました。
一朝一夕には入手できない老茶ですので、在庫などは流動的。今回紹介した茶葉がいつでも店頭にあるわけではありません。ナビが取材させてもらったこの日も、文化革命期のお茶だという貴重な「文革茶」は小さな缶2つ分の在庫があるのみでした。ここまで少ないものだとさすがに試飲は難しいそうです。
お茶うけとして出していただいたローゼルの甘漬け。試飲もゆったり楽しめます
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写真左がお茶を淹れてくれた顔さん、右は陶芸スタッフの沈さん
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「紫金園茶葉」にいると、茶文化に対する深い理解と敬意を感じます。古くから伝えられてきた茶葉と製法、茶道具、そして茶を愉しむという行為そのものを今に受け継ぎつつ、私たち消費者にも親しみやすく提供してくれる。こんなお店に行くと、ますますお茶の魅力に引き込まれてしまいそうですね。
以上、台北ナビがお届けしました。