台湾復興の製糖業を支えたサトウキビ列車!SLが引くトロッコに揺られて田舎の畑を行けば、懐かしい時代に帰ったみたい。
こんにちは、台北ナビです。今回のナビ一行は親子連れ。家族で楽しめるスポットを訪ねて、彰化縣の渓湖鎮にある台湾糖業の工場にやってきました。昔、農園でサトウキビ運搬に使われていた蒸気機関車に乗り、総統も泊まったというゲストハウス改造のレストランでは絶品チキンに遭遇。思いがけない発見がうれしい旅になりました!
かつて日本統治時代、台湾にはいくつもの製糖会社があり、1919年鹿港の企業家辜顯榮によって、ここ
渓湖糖廠に建てられた大和製糖所もその一つ。彼は1913年、すでに鹿港から渓湖経由で員林までの「五分車」と呼ばれる軽便鉄道を敷いていて、当時は製糖所に原料のサトウキビを運搬する路線とあわせて運営していました。
何で五分車(ウーフンチャ)って言うんでしょう?と、
渓湖糖廠事務所の林志盛さんに聞いてみました。「当時、76.2cmというレール幅が国際基準のちょうど半分だったから、半分=五分で、五分車。」 (ナビ)じゃ台湾鉄道は? 「あれは狭軌鉄道だから7分車(チーフンチャ)。」 (ナビ)ほぉ~そうだったんだ~。 新幹線(広軌鉄道)ができて、やっと台湾に3種類の鉄道がそろったそうです。
戦後、各地の製糖工場は台湾政府によって全て台湾糖業公司にまとめられ、最盛期には砂糖の輸出で台湾の外貨の74%を稼ぐほどだったとか。でも時代は変わり、今ではほとんどの原料が海外からの輸入。この工場も2002年には操業を停止しました。
現在は、土・日と祭日に1日7回運行される五分車をメインに、工場見学や花畑(12~2月)などの観光スポットとして運営。
ビッグな工場とちっちゃな機関車
蒸気機関車の出発までの時間を利用して、ナビたちは工場の中を見学。
説明によると、畑から収穫したサトウキビはまず巨大な歯車で圧搾、絞り汁とカスに。カスはボイラーの燃料や肥料に利用。この工場の機械はボイラーで作る蒸気動力や蒸気発電で動かしたそうです。そして絞り汁は濃縮され、砂糖になって完成。
照明が暗くて、機械がよく見えなかったのがちょっと残念ですねー。そうこうしているうちに遠くでなにやら汽笛が。機関車が来たようです。改札口に行ってみると、もう大勢の人が並んでました。全部乗れるのかなー。ちょっと心配。
この機関車は軽便鉄道用ベルギー製の346型で、60年前に製造されたもの。普通の機関車に比べると短くてカワイイ感じ。汽笛も高くて軽い音でした。
駅長さん、機関車と同じ年なんですって
|
|
おじいちゃんが席をつめてくれました。ありがと~
|
工場から旧濁水渓そばの分岐駅まで、往復7キロ、45分の旅が始まりました。ゴットンゴットン、けっこう揺れます。みんな自分が貨物になった気分なのか、顔を見合わせてニコニコ。行きも返りも説明アナウンスがありますが、これは台湾語なのでナビにはよく分からず…。
線路のそばにはサイクリングロード
|
|
旧濁水系はこんなに小さい川が
|
速度は自転車並みだそうですが、もっと遅い感じがしました。どのくらいかというと、畑で舞っていたチョウチョが花と間違えて女性客の髪飾りにとまったり、ちっちゃい子供でも沿線の草の穂が摘めたりするくらい。見ていてすごくなごやか(^^。小さな川を越えたところで、機関車が止まりました。畑の真ん中で、何もないんですが・・・もしかしてここが駅?
露店が駅なのかな(^^;
|
|
台湾名物ゆでピーナツ 80元
|
ピーっと汽笛の合図にまた乗り込みます。見ていたら、なんと機関車だけが離れて隣の線路を移動、一番後ろに連結しました。今度は後ろ向きで引っ張るんですねー。帰りは、この時期特有の「西北雨(サイパッホー)」と呼ばれるにわか雨に遭遇、みんな濡れないように中央に寄りながら、再びゴットンゴットン。雨にけむる嘉南平野の景色もなかなかです。
めっけもののレストランで絶品に遭遇
50分ちょっとの旅を終えて工場に戻ったナビたち。お腹が空いてきましたが、敷地内にどこか食べるところがあるのかな? 林さんに聞いてみると、道路をはさんで反対側のエリアにいいレストランがあるとか。
木立の中に、きれいな庭付きの瀟洒(しょうしゃ)な日本建築がありました。中は思いがけず広々としていて、背の高いソファーがなんとなくオトーサン時代の喫茶店を思わせます。
香草乳酪鶏腿捲(ハーブ鶏のチーズ巻き) 390元 →
このハーブチキンは皆が口をそろえて絶賛。こーんなところで(すいません)、思いがけず逸品の料理に出会ってうれしい感動。でもご飯は九層塔(台湾バジル)味だったので、ちょっと好き嫌いが分かれました。白ご飯だったらもっとよかったかな?
元気人参烏骨鶏(ウコッケイの薬膳鍋) 298元 ↑
これも見た目は悪いですが、スープはじーんと体にしみこむ感じでおいしかったです。
こんなに落ち着けるレストランなんて、都会でもなかなか当たらないなぁと思っていたら、やっぱりイワレがありました。オーナーの陳琨錫さんによると、ここは元糖廠の招待所(ゲストハウス)で、長い間外部には知られていない建物だったそうです。蒋経国氏、李登輝氏といった歴代の総統もおしのびで宿泊したとか。当時の寝室は今、レストランの個室になってました。
他にサトウキビを使った肉料理もオススメだそうです。近くに住んでたら絶対常連になっていたかも。
オーナーの陳さん
「老樹糖屋」香草庭園餐廰
営業時間: 10:00~22:00
定休日: なし
TEL:04-8612728
クレジットカード: Visa Master JCB
台湾的楽しみ方と旅情にひたる…
台湾の人に言わせると、「糖廠にきたら氷品(アイス)を買わなきゃ」なんだそうです。たくさんの人が発砲スチロールの箱をもっていろいろ詰め込んでました。今では日本製のアイスも豊富にある台湾ですが、ここでしか買えない懐かしい味はやっぱり台湾の人の心をひきつけるんでしょうね。台糖では今も新しい味を開発中。
居心地のいいレストランに他の皆を残して、アイスを味わいつつ、ナビは付近を散策。道路のこちら側は台糖の社宅があった一帯で、日本統治時代からの古い家屋がまだ残っています。もう住む人もいなくて、表通りの喧騒と対照的。炎天下にセミの声がすごかったです。
ナビの足元に野生マンゴーの実がポトリ・・・
道を渡って、もう一度工場エリアの方に。パンフによると、入り口左の奥に五分車の車庫があるようなのですが・・・。うーん、これはまた別の形で時代を感じます。台湾の発展をになってきた小さな勇士たちが静かに横たわっていました。
五分車観光と食事を組み合わせても3時間程度なので、どこか近くのスポットと合わせると一日楽しめる旅になりそうです。
以上、台北ナビでした。