台湾へ来たなら一度は飲むべし!世界に認められたクラフトビール「金色三麥」が台湾ビール史を塗り替える!?
こんにちは、台北ナビです。
多くの人が「台湾のビール」と聞いて真っ先に思い浮かべるのは「台湾啤酒」ではないでしょうか?ナビもその一人でした、そう今日「金色三麥」に出会うまでは・・・。
今回は2004年の創立以来、わずか十数年の間に世界各地で輝かしい賞を受賞し続け、台湾国内だけで10店舗のレストランを構えるまでに成長し続けてきた台湾初のクラフトビールブランド「金色三麥」の魅力に迫るべく、ブルワリーのある新莊晶冠店へお邪魔してきました。
新莊晶冠店はアクセスがイマイチ、と心配される人もいるかもしれませんが、近年開通予定・桃園機場捷運の「新北產業園區」駅がすぐ目の前に!
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ビール好きの方も、ちょっと苦手という方も、体に優しい麦芽100%のクラフトビールのおいしさを知ってしまったら虜になること違いなし!
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クラフトビール界を引率する台湾男子たち
「帥氣(イケメン)」副社長・李怡明(Robin Lee)さん。アメリカならIPA、イギリスはPorterという具合にそれぞれの地域の代表的なビールがあるように、アジアといえば「これだ!」という代表的なビールをこれから目指して行きたいと、熱く語ってくれました。
国営の臺灣省菸酒公賣局が約100年もの間台湾の酒類市場を独占してきた台湾。それゆえ「台湾啤酒」が台湾におけるビールの代名詞となっています。しかし2002年に台湾がWTOに加盟すると、酒製造業が民間企業に解放され始めます。そして2003年、金色三麥飲食グループが保有する「龍昇酒業製酒廠(Le Blé dOr Brewery)」が台湾史上民間で初めてとなるブルワリー免許を取得し、台湾のクラフトビールブランド「金色三麥」が誕生したのです。
初代ブルワリーマスターは現社長の葉冠廷さん。十数年前まだカナダで暮らしていた葉さんは音楽を志していたそうですが、父親が始めた酒製造業を手伝うと決め、ビールの勉強をしにドイツへと渡りました。
また葉社長の右腕としてご活躍で、今回「金色三麥」について熱く語ってくれた副社長・李怡明(Robin Lee)さん。日本語が堪能なRobinさんは東京で大学、就職と9年間生活したこともあります。幼馴染の葉さんの「金色三麥飲食グループ」を上場へ導くべく2013年に正式に現職へ就きました。
そんな経営陣の背景に触れ、台湾から世界へと目を向けて活躍している男のロマンを感じずにはいられないナビ。皆さんも一緒に彼らが導いてきた台湾クラフトビールの世界へ足を踏み入れてみましょう。
お店自慢のブルワリーにて。Robinさんは酵母との会話が大事と教えてくれました。
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長い間「台湾啤酒」が独占してきた台湾で、民間業者が手掛けるクラフトビールという概念を根付かせるというのは、果てしない挑戦のようにも感じられます。
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台湾でクラフトビールと向き合い、そしてレストランオープンへ
今や台湾全土に10店舗、中国に2店舗、また今後日本をはじめとするアジアでの店舗展開も視野に入れているという、勢いが止まらない「金色三麥」レストランですが、意外にも元々は店舗展開の予定はなく、単純にブルワリーとしてクラフトビールを世界へ発信していく予定だったのです。
「金色三麥」のクラフトビールはドイツ仕込みの醸造技術が採用され、糖類や防腐剤は不使用。厳選された輸入麦芽・水・チェコ産のホップのみで醸造されているため、原料の栄養素が生かされた体に優しいビールです。しかし、創立当初の技術では無濾過、無殺菌というクラフトビールの製造過程によりビールの品質にバラツキが出たり、賞味期限が短いという理由で、なかなかお店で扱ってもらえなかったりと、前途多難な時期を過ごしました。
それに加え、日本ほどビールを飲む習慣の無かった10数年前の台湾において100年間植えつけられた「ビール=台湾啤酒」の概念を打ち壊し、クラフトビールの価値を理解してもらうのに、とても苦労したのだそうです。そんな困難を打破するために「まずはとにかくたくさんの人に飲んでもらおう!」と方向転換を図ります。2004年、ようやく借りることのできたというビルとビルの隙間のちょっとしたスペースで始めたテント式店舗が大当たり!ヨーロッパ風のビアガーデン様式でヒンヤリ冷えたクラフトビールを飲むという概念が徐々に台湾人の中で受け入れられました。
台湾人の心を揺さぶる店舗コンセプト
木樽やビール瓶、麦が入っていた袋を再利用したりと、エコにも配慮された内装です。
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ダーツができるスペースを発見!
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ハワイアンがテーマの新莊晶冠店
ビールのおいしさは大前提ですが、例えばお城が有名な台南ではお城風の内装、遊園地の中にある高雄では遊園地風にと、店舗毎にその地域の文化や客層に合わせたコンセプトでの店舗展開をしているのも魅力の一つです。スタッフが店舗毎に異なるコスチュームで迎えてくれたり、クリスマスやハロウィンをはじめとするイベントの実施、19時~21時までミュージシャンによるパフォーマンスがあったり(店舗によって曜日は異なります)、オリンピックの時にはゲームなどで盛り上がったりと、お客様が2時間ほどの滞在中にいろんなことを体験して帰ってもらえるようなマーケティングをいつも考えているのだそうです。
そして一番小さい規模でも250席という桁外れなスケールの大きさも人気の理由です。家族や友達と大勢でワイワイ食事をする習慣があり、楽しいこと、新しいものが大好きな台湾人の性質にまさにドンピシャの「金色三麥」レストラン。日本でも味わえないような雰囲気のお店ばかりですが、10店舗の中で特に観光客にオススメの店舗をご紹介します!
<美麗華店>
松山空港駅から2駅目の剣南路駅のシンボル・美麗華の5階です。台湾で一番大きな店舗だそうで、何と800席収容可能!!ナビは耳を疑いました。まるでオペラ劇場にいるような気品漂う美麗華店はプロポーズの舞台としてもよく使われるのだとか!そんな場面に遭遇して幸せのお裾分けをしてもらうのも思い出になりますね。ちなみにここでプロポーズしてみたい!という方はぜひ、事前に電話でスタッフと打合せを♪
住所:敬業三路20号5F
TEL:(02)2175-3739
<誠品酒窖店>
市政府駅と直結している誠品書店の地下1階には酒樽を再利用した味のある内装が広がっており、ブルワリーにいるような雰囲気が楽しめます。
住所:松高路11号B1
TEL:(02)8789-5911
<台北京站店>
台北駅の巨大ショッピングモール・Qスクエアの4階です。隠れ家的な雰囲気が魅力です。何より立地がすばらしい!台北駅を利用する時にオススメです。
住所:承徳路一段1号4F
TEL:(02)7737-0909
日本では2015年10月より外資系ホテルのレストランバーを中心に25カ所で「金色三麥」のビールを飲むことができるようになったそうです。今後も小売を中心に拡大予定だそうなので、日本でもっと気軽に「金色三麥」のクラフトビールを楽しめる日が待ち遠しいですね!
「Me too」ではなく「Me only」のビールを
初めて「金色三麥」のビールを飲む方はぜひビールの色・泡・香りを楽しんでみて下さい。
画像提供:金色三麥
「金色三麥」で飲むことができるビールは定番となるアンバー、ダーク、小麦(ヘーフェヴァイツェン)とハニーラガー、そして期間限定で年に4種類販売されるシーズナルビールです。
2009年まではアンバー、ダーク、小麦(ヘーフェヴァイツェン)の3種類のみに拘って醸造してきたそうですが、台湾独自のビールを作りたい!という葉社長の意向により誕生したのが龍眼蜂蜜を使ったハニーラガー。ビール=苦い、蜂蜜=甘い、の組合せは果たして上手くいくのかという心配をよそに、違和感なくおいしいビールが出来上がり、同年東京で開催されたInternational Beer Competitionへ出品するやいなや、見事金賞を受賞!この出来事は「金色三麥」ブランドの発展に大きな自信となり、2010年からはシーズナルビールとして毎年4種類のビールを期間限定で発売するなどクリエイティブに拍車がかかります。これまでにチョコレート、パンプキン、ソバ(台湾のそば粉を使って作られたこのビールも日本で金賞を受賞しています!)など、アジアで入手可能なおもしろい素材を使ったビールを発表し続けています。
世界チャンピオン獲得の蜂蜜啤酒(Craft-brewed Honey Lager)
まるでフルーツのような香りと淡い色が特徴のラガービールで、1996年からアメリカで2年に1度開催されているビール界のオリンピック、「World Beer Cup」のハニーラガー部門で2014年に金賞、2016年に銅賞を獲得した金色三麥の代表的ビールです。金賞を受賞した2014年のWBCでは1400ものブルワリーが参加、4700を超える商品が審査にかけられたのだそうです。
台湾産龍眼蜂蜜が入っていてとにかく飲みやすい!ビールが苦手という方や、甘いお酒が好きな方に適した口当たりだと思います。毎年4~5月のわずか4週間という短期間で限られた量しか採取できないという希少価値の高い台湾産龍眼蜂蜜ですが、例えば昨年は40t生産された龍眼蜂蜜のうちの36tが「金色三麥」へ直送された、という具合にその大部分が「金色三麥」の蜂蜜啤酒に使用されていると聞き衝撃を受けました。ブルワリーといい蜂蜜といい、台湾の作り手の思いとうまみがぎっしり詰まった「金色の1杯」が世界に認められた事実に喜びもひとしおだっただろうなぁ、と思いを馳せるナビであります。「金色三麥」の蜂蜜啤酒の人気は留まる事を知らず、実は日本でも密かにファンを増やしつつあるのです!日本JCBAが毎年5つの都市で開催するビアフェスに2010年から6年連続参加し、日本の一般消費者が選ぶ最高人気賞を連続6年受賞している外、2015年にはベストブルワリー賞を、開催20年来で初めて外国のブルワリーが受賞するという快挙を成し遂げました。
心躍る一杯はここにあり!
ハニーラガー以外のビールたちもまた、しっかり賞を受賞しているところにブランドの実力を感じます。
■現釀黑麥啤酒 (ダークラガー)<受賞歴:2016年AIBA銅賞、インターナショナル・ビアカップ2015金賞、他>
深いコクと苦味が特徴のダークラガーは麦芽の香ばしさを十分感じられる大人なビールです。歳だけくって味覚は大人になり切れていないナビにはちょっとハードルが高かったけれど、黒ビール好きはきっとハマるのではないでしょうか。
■現釀琥珀啤酒(アンバーラガー)<受賞歴:インターナショナル・ビアカップ2014&2015銅賞、他>
ハニーラガーほど甘くはないけれど、ダークラガーよりも苦味の少ないアンバーはナビのお気に入り!のどごし柔らかで、とても飲みやすいです。
■港口男兒(現釀季節啤酒(シーズナルビール)
台湾の南部の屏東縣で採れる「港口茶」を使った「港口男兒」を頂いてみましたが、驚きのウマさでした!!さわやかで夏にピッタリ。ナビは初めてその存在を知りましたが台湾人でも知る人ぞ知るお茶だという「港口茶」を使ったビール。後味にほのかに香るお茶の風味が忘れられません…。
■金色三麥啤酒組合250元アンバー、ダーク、ハニーを少量ずつ飲める楽しいセットです。ビールの頼み方はもちろん自由ですが、お店のオススメは食前酒代わりにハニーラガー、食事中にはアンバーラガー、そして食後にはコーヒーを飲むようにダークラガーというような順序だそうです。クラフトビールのプロがオススメしてくれた飲み方にもぜひトライしてみて下さい。
こんな感じでテイクアウト!おしゃれです~、が割らないように気を付けないとっ!
現時点では「
金色三麥」各店舗の他、台北101や人気百貨店内にある「
Jason’s Marketplace」、遠企(The Mall)や復興SOGO店などにある「
City Super」、オーガニックスーパー「
Fresh One」、台北ナビでも紹介している「
神農市集」などで購入可能です。
また「Famiポート」で予約をするとファミリーマートで受け取れる便利なシステムもありますよ!
テキパキとした振る舞いと、細かい心遣いが印象的なレストラン部マネージャーの小美さん。
ビールにばかり気を取られていましたが種類の豊富なフードメニューで、食べることに命を燃やす台湾人の胃袋のケアもしっかりされています。全体的にビールによく合うしっかりした味付けで、アメリカンフードに近い創作料理です。
葉社長のお父さん(オーナー)は昔調理学校の講師をしていたそうで、料理にも精通しているためお店のメニュー開発にも熱意を注いでいるとか。また、スタッフのアイディアがメニューに反映されるところなどもクリエイティブな金色三麥飲食グループならではだなぁ、と感心しました。さきほどアメリカンフードに近いメニューといいましたが、火鍋があるところはいかにも台湾らしい!
それではさっそく、たくさんのメニューのなかからレストランマネージャーの「小美」こと陳秀美さんオススメの人気メニューをご紹介していきます。ビール同様に、天然・無添加食材に拘っているところもポイントです。
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夏威夷鳳梨沙拉350元 台湾の代表的な品種・金讚パイナップルを大胆にカットしシーフードとフルーツをマンゴーとパイナップルを使った自家製ソースで調理したサラダ。南国の雰囲気を盛り上げてくれる一品です。パイナップルが収穫できる限りオーダー可能だそうです。
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西班牙海鮮燉飯780元台湾米を使ったパエリアは米好きカメラマンのイチオシです。台湾米でパエリアはアリなんだ!と思えるおいしさでした。海鮮、鶏肉、ソーセージがたっぷり入っていてボリュームがあります。4人以上に適した量だそうです。
■金色三麥現釀啤酒蝦320元一尾ずつ、丁寧に皮むきされた海老が金色三麥のアンバーラガーに漬けこんで調理されています。柔らかくて食べやすい上、ほんのりビールが香り嬉しさこの上なし!
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極鮮和風紅鮪魚280元 日本人の口に合うこと間違いなしです!表面をあぶり、刻みのりと一緒にカラスミがふりかかっている贅沢な一品。ワサビが使われており、さっぱりと和風に仕上がっていました。
今回お邪魔した新莊晶冠店は今後、台湾の消費者への教育の場や、海外のブルワリーたちとの交流の場としても活用していきたいそうです。ビールを作り続けるブルワリーというだけでなく、またおいしいビールが飲めるレストランというだけに留まらず、Made In Taiwanのコンセプトに基づいた新しいライフスタイルやカルチャーを世界に発信していきたいという熱い思いが、従業員の皆さんの原動力になっている気がしました。そんな上昇志向の強い「金色三麥」の今後がとっても楽しみです♪
以上、台北ナビでした。