南部横貫公路(台南→台東)自転車ツーリング

最高地点標高2722m!台南−台東間を結ぶ南部横貫公路を自転車で走破した様子をレポート。お天気がよくて、とにかく爽快、でした。

こんにちは、台北ナビです。台湾の背骨、中央山脈を越え東西を貫く道は北部横貫公路、中部横貫公路、南部横貫公路の3つがあります。北部は桃園県の復興郷−宜蘭間、中部は台中県−花蓮のタロコ峡谷間(1999年の大地震以降、谷関温泉と徳基ダム間に封鎖区間あり)となっていますが、今回、ナビがチャレンジしたのは台南と台東を結ぶ南部横貫公路。
この南部横貫公路は、国道20号線(台南市−台東県海端)のうち玉井−海端間の部分のことをいいます。この道を台南市から台東市まで自転車で走破したツーリングの様子をレポートします。(レポートは2006年9月時点のものです)

1日目(9/27) 台南→宝来温泉郷

朝からすでに暑いスタート地点の台南。まずは、駅前で記念撮影。これから東へ東へと向かって行きます。朝の通勤ラッシュ風景です。 003-004しばらくすると郊外に出ます。すると交通量は一挙に少なくなり、高速道路や開業間近の高速鉄道の高架をくぐり、やがてマンゴーで有名な玉井市に入ります。ここまで39キロ。




このあたりから山里の風景となり、いよいよ南部横貫公路の始まりです。
甲仙はお芋の里。お芋のお菓子を売る店がひしめいていました。
甲仙を過ぎ、ゆるやかに標高を上げていくと、少しにぎやかな集落に到着します。宝来温泉郷です。




泊まった宿は、こんなバスタブでした。明日に備え、温泉で体をほぐします。
■1日目の走行距離:84キロ
■高度:約400mUP

2日目(9/28) 宝来温泉郷→天池





今日は梅山口までの走行を予定。さわやかな朝日と鳥のさえずりの中、緑の山を奥に奥に走って行きます。
宝来温泉郷を出ると、道幅は狭くなり、こんな表示が目に入ります。




またこのように、橋を架ける大きな工事現場も。
少しづつ険しくなっていく南横公路ですが、走るすぐ横にはきれいな花が咲き、美しいデザインの蝶も舞っていて、まさに桃源郷。




過ぎて行く道すがら、小さな集落には原住民の里をイメージするこんなレリーフもところどころにあり、「下界」とは違った雰囲気がします。
順調に高度をかせぎ、梅山口(標高1014m)に着いたのはお昼前。ここには食堂や民宿もあります。
晴天の青空や、遠く続く峰を眺めながら昼ごはんを食べていたらなんだかもう少し走りたくなってきて、当初の計画を変更することにしました。「明日1800mUPするより、今日天池まで走ってしまおう。距離は25キロ、あと1200mUPだ。そうすれば明日の登りは、最高地点までの最後のキツイ450mUPだけだ」



というわけで、天池に向けて再び走り出しました。まず、いきなり巨大カーブが現れます。遠くに、バスがあえぎながら登っていくのが見えます。ずいぶん前に抜かして行ったバスです。高度差は300mくらいでしょうか。




あまりに暑いので、こうして途中で沢の水をペットボトルに補給。頭や手足にかけるためです。



急登の連続で汗が吹き出てきます。この巨大カーブを登りきったところから、さっき下から見上げた地点を撮ってみました。






この後、中規模の急登カーブが3つあり、最後の方は「押し」もはいり疲労困ぱいの中、なんとか天池(標高2280m)までたどり着きました。



ここには「正式な宿」も食堂もありません。林務所の簡易宿泊施設(一泊300元)があるだけです。
台南側から上がった場合は梅山口に、台東側からの場合は利稲か唖口に宿泊するのがよいと思います。また梅山口--利稲間は、食べ物・飲み物を補給できる店はありません。夜中、目が覚め外に出てみたら、満天の星空でした。

■2日目の走行距離:57キロ
■高度:1874m UP

3日目(9/29) 天池→台南


ひんやりとして透き通った山の朝。深呼吸をひとつして、出発します。このあたりまで上がってくると、植生もだいぶ違ってきます。また工事の箇所も多いです。空気も少し薄く感じ、前日よりさらに急登の連続ですが、休息十分。着実にこぎ上げていきます。



木の枝の間に見えるのが天池の林務所施設です。きのうはお世話になりました。



中央山脈の山々。絶景です。この先小さなカーブをいくつか抜けると、トンネルが見えてきます。



大関山トンネルです!ついに南部横貫公路の最高地点標高2722mまでやってきました。天池から11キロ、3時間で450mのUPでした。
大関山トンネルを抜けると、大平洋側となります。このトンネル、手掘り感100%で、中は本当に真っ暗です。ライト、テールライト必須です。対抗車が来たらヤバいな、後ろからも来ませんようにと必死で走り抜けました。






ここがトンネル反対側出口です。少し広く、休憩所になっています。



通り抜けた山をふりかえり、しばし満足感に浸ったあと、台南を出て一度も使わなかった重いギアにいれかえ、下をめざします。


まだ朝早く、観光のバスや車が走っていないので、このすばらしい景色の道をほぼ貸切りの状態で走りました。ぐんぐん速度を上げ、みるみるうちに山を駆け下りていき、ふりかえると10分前にいたトンネル出口は、すでにはるか彼方に。道路のはしから身をのりだして見てみると、谷底もはるかに下の方。非常に高度感のある山岳道路で、この様な景色の中、風を切って走るのはまさに痛快!
あっと言う間に利稲の集落まで下りてきてしまいました。利稲から霧鹿までは、さらに急降下。断崖のなか、ヘアピンカーブをいくつもクリアしていきます。






霧鹿に11時には着いてしまいました。唖口から距離約40キロ、標高差2000mを1時間半くらいで走ったことになります。また急に高度を下げたためか、耳の奥に少し痛みを感じ、ペットボトルはつぶれていました。
この日の走行は、霧鹿までにしてもよかったのですが、ここまであまり体力を消耗していないので、この際台東まで走ってしまうことにしました。



霧鹿から初来までは、ゆるい下り。そして、初来で国道9号線と合流し、海端で20号線と南部横貫公路の終点となりました。その後約50キロ、台南側とは少し違う曇り空の下、ひと踏ん張りして台東市まで走りきりました。



ここで自転車について紹介します。ランドナーという種類の分解式の旅行用自転車です。台東駅で列車にのせるため、分解した時の様子です。
バッグを取ります。

バッグを取ります。

ワイヤー類をはずし、ハンドルを抜きます。ペダルもはずします。

ワイヤー類をはずし、ハンドルを抜きます。ペダルもはずします。

前輪をはずします。

前輪をはずします。

後輪と泥よけをはずします。

後輪と泥よけをはずします。




まとめて輪行袋に入れて完了。

ゆっくり作業しても15分くらいです。

有名な池上駅弁とビールを買って、南回り鉄道で台南まで戻りました。

■3日目の走行距離:127キロ
■高度:450m UP、約2700m DOWN

4-5日目(9/30-10/1)  おまけ『台西にも行って、台南、台北、台東、台西を制覇』


みなさん、台西ってあるの知ってました?台南と台中の中間くらいにあるんですよ。なんとなく地図をながめてたら発見したんです。で、南部横貫公路で4-5日かかるのを予定していたところ、3日で走れてしまったので、台湾西側の最も海寄りの道を台南から台中まで、台西を経由し走ってみました。

台南を出ると道はほぼフラットで海抜1~2mくらい。カキの養殖をしているらしい風景の場所がしばらく続きます。また塩田もあるようです。



これは雪山でなく、塩の山です。



約100キロ走り台西の街にやってきました。
これがメインストリート。



とても小さな街でした。ちょっと謎な床屋さんの看板。041台西には旅社もなく、となり町で宿泊。朝早くやっている食堂で台南名物の虱目魚(サバビー)を朝ごはんにして、計5日間滞在した台南を後にしました。
台湾はほんとに暑く、山道でなくてもすぐのどが乾くのですが、そんなとき行く先々にあるフレッシュジュース屋さんで、乾きを癒すのが私のお気に入りでした。ホントにおいしかった。
翌日、鹿港を見物し、台中まで行き、その翌日帰国しました(台湾滞在10日間)

■4-5日目の走行距離:約200キロ

台湾を自転車でツーリングしてみての感想


台湾の人たちはフレンドリーで、自転車の旅人に優しかったです。特に南部横貫公路ではすれ違ったり、追い抜いたりする車やバイク、道ゆく人が「加油!(ガンバレ)」と声をかけてくれ、それが踏ん張る力になりました。またこの道はきびしい登りに加え、暑さが体力を奪います。水分の準備は重要です。

街中ではものすごい数のスクーターと一緒に走ることになります。日本では味わえない特異な経験でした。そのスクーター専用の車線があるため、郊外では自転車はとても走りやすく、かえって安全です。みなさんもぜひ、台湾を自転車で旅してみてください。きっといい旅になることでしょう。 

■台湾での走行距離:約470キロパンク、機械のトラブルなし

以上、台北ナビでした。
関連タグ:自転車ツーリング台南台東

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2006-10-30

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