自然と人が共存する街!タイヤル族がひっそりと守り続ける絶滅種の藍腹キジと有機栽培に出会った~♪
こんにちは、台北ナビです。
最近台湾は「健康」というキーワードに敏感!自然と調和して暮らすという生活に憧れている都会っ子も多いのですが、なかなかどうして難しい。そんな都会っ子に最近人気なのが有機農場でのファームステイ。
タイヤル族が大切に守り続ける伝統にナビは出会ってしまいました。
比亜外(ビーヤーワイ)へのアクセス
比亜外は桃園県の復興郷という場所にあります。台湾人の人気ドライブスポットとして挙げられる台7線の途中にあり、石門ダムを見下ろせる場所にあります。台北からは車で約2時間半。レンタカーをしてアクセスするのも良さそうですね!
台鉄桃園駅などからバス利用も可能ですが、本数が少ないので注意が必要です。
桃園客運(上巴陵行きの「巴陵」か「林班口」路線に乗車してください)
桃園站~約2時間(06:50)
中壢站~約 2時間(10:35)
大溪站~約1時間半(07:40、11:30、13:10、15:15、17:20)
復興站~約40分、(08:15、13:45、12:05、15:50、17:55)
中壢客運5301(桃園-上巴陵-林班口路線に乗車してください。)
「高義」までのチケットを購入(全票178元半票89元。おつりは出ませんので注意してください)
桃園站~約2時間(6:30、12:30)
桃園站住所:桃園市復興路142号
この他にも地元の旅行社が原住民体験ツアーを開催しています!それくらい注目されはじめているんですねぇ。
山に囲まれた比亜外。壮観な滝があるわけでもなく、神木があるわけでもない。ましてや温泉もないこの集落がなぜこんなにも人を惹きつけるのでしょうか?その理由はゆっくりと解明していくとして、まずはナビの気になった「比亜外」という地名について説明したいと思います。
これには2つの説があって、タイヤル語でビーヤーワイ(Piyaway)は皇帝豆(ライマメ)という意味なので、この名前がつけられたというもの。でも、実はここに住む人にとって皇帝豆(ライマメ)は「Thkul」や「Qlipa」と呼ばれ、「Piyaway」とは言わないそうなんです。
もうひとつの言い伝えは百年前ほど前のこと、「比亜外」は人が往来する際に必ず通る中間地点でした。世話好きで働き者の「亜外」という女性はここを通る人々にご飯を振るまい、お腹いっぱいにさせて送りだしていたといいます。彼女が死去した後、多くのタイヤル族の人々が彼女の事を話題に挙げ、比亜外の集落を「個亞外」と呼ぶようになり、今では音が似ている「比亜外」となりました。
部落内には手作りの展望台がいっぱい!
|
|
山に囲まれ空気がおいしい
|
平和を好む比亜外の方たち
10世帯ほどしかいない比亜外。進学のため若者はこの集落から離れ生活しています。しかし、週末ともなると若者が戻ってきて家族と一緒に暮らすようになるそうです。
また、原住民のイメージと言えば、運動神経がよく、歌が上手。でもお酒もたばこも好きで…など悪いイメージがあるのも事実。しかし比亜外では以前集落にひとつだけあった雑貨屋さんでたばことお酒も売っていましたが、お店の前に酔っ払って寝ちゃう人がいるなどしたそうで、これではイメージが悪くなる!と一転雑貨屋さんは営業を終了させ、集落の中では禁煙・禁酒にしました。タイヤル族は他の部族に比べ面子をとても大切にすると言われ、他の人達にどう見られるかをとても気にすると言います。家でこそこそ喫煙したりしている人もいるけど、表立ってはしないそうですよ!こんな面子の張り方ならいいですよね♪
また、ほとんどの住民がキリスト教徒であり毎週日曜日には礼拝が行われるそうです。教会は人が集まるところとして、住民で作った壁や展望台があり、団体でファームステイする方はこの奥で宿泊することもできます。
台湾の桃で有名なのは拉拉山!ここ比亜外もその拉拉山のお膝元にあります。お膝元と言っても海抜550~1656mもあるのですが…。5月~8月にはもちろん桃も採れるし、4月はビワ、5、6月はすもも、7月にはトマト、10月には柿が取れます。その他ドラゴンフルーツも見られましたよ!
比亜外を歩けばそこかしこにある畑!倉庫も手作り♪
比亜外で採れるフルーツやお野菜はすべて有機栽培です。自然で無毒な耕作方法を採用し、今ある環境を守ると共に大地をより美しくしているんですねぇ。
また、住民の高齢化が進むため、比亜外ではファームステイを積極的に受け入れており、宿泊施設はシンプルながら清潔。もし、民宿の方がいいというのなら民宿もあるのでご安心を!とは言っても時間のない旅行者にも有機栽培を体験してもらえるように現在計画中だそうです。
民宿はシンプルイズベスト
|
|
リビングの窓からはいい景色
|
急な斜面を登って畑へ入ります
さてナビは以前の頭目が作っていたという畑に入ってみました。この頭目は比亜外始まって以来の女性の頭目でありましたが、住民の賛成多数で大抜擢!聡明で行動力のあった頭目はすべての人から愛されていました。頭目の作る畑は美しく、採れる野菜や果物も群を抜いておいしい。ある日の朝畑仕事を終えた頭目は、急に様態が悪化し帰らぬ人となりました。
この頭目が残した素晴らしい畑を荒れさせてはいけない!と今では集落の方々が自ら畑に入りお世話をしているそうです。そんな頭目の畑で見られるお野菜や果物は色がつややかで美しい!試食させてもらいましたが、その瑞々しさと味の深さで幸せ~!足元が悪かったのですが、登ってきて良かった!と思った瞬間でした。
ドラゴンフルーツの花を初めてみました
|
|
ドラゴンフルーツの赤が鮮やかです
|
絶滅危惧種の藍腹鷴を守っています
比亜外集落の入口にある木彫りが「藍腹鷴」。台湾特有のとても美しい鳥ですが、近年、環境汚染や密猟などのストレスからかなり数が少なくなってきており、絶滅危惧種とされています。そこで立ちあがった比亜外の人々!先人の知恵を参考に、「藍腹鷴」の研究を進めると共に、トラバサミのような罠を禁じ、実際にパトロールにも出かけます。その甲斐あって「藍腹鷴」の出現率はかなり高くなっているんだとか。
今後はより多くの人に「藍腹鷴」を知ってもらい、保護活動に参加してもらい、「藍腹鷴」の知識を広めていきたいそうです。この「藍腹鷴」資料館をつくることも計画されています!
見事な楽器演奏
復興郷でタイヤル族による楽器演奏を楽しみたいなら「竹頭角集落」へ。ここでは竹や木から作った手作り楽器の演奏を楽しむことができます。復興郷では楽器演奏ができる人が少なくなってきたと言います。そのためおばあちゃんに一から音楽を学び今の形となりました。
団員達は他の仕事もあるため、訪れる際には訪れたい日時と人数を伝えましょう。こちらは主に団体客をメインに受け入れ、タイヤル族の暮らしを体験できるのですが、個人のお客さんでも簡単なご飯を提供することはできるそうですよ!また、手作りのタイヤル族アクセサリーも販売中です。気に入ったものがあれば購入してみてくださいね!
竹頭角集落
桃園県復興郷長興村15鄰16-3号
03 382-1461 /0921-211-571
(30~40人集まればタイヤル族の暮らしを体験することができます。希望する日に他の団体がいればその団体に参加させてもらえるかもしれませんので、電話で連絡してみてください。)
8:00~17:00
aming0626@yahoo.com.tw
お料理上手なんです
車は走っていた羅馬公路(ローマロード)から農桃復9線へ折れ、どんどん山の奥へ向かいます。ジェットコースターと遜色ないほどの恐怖心と好奇心で胸はワクワク!10分ほどで到着したのが「嘎色鬧」という集落。
ここはタイヤル族の女達が作るお料理が名物で、盛り付けもキレイなんですって。ナビはこの日違う場所で食べる予定があったのでご飯は断念しましたが(涙)、ここで食べたお料理が忘れられずに、台北から車でここにここのお料理を目的にやってくるお客さんもいるんだとか。山々に囲まれ、澄んだ空気の中で作りだされるお野菜とタイヤル族伝統のお味。次は絶対食べに来ます!!
泰雅風味餐
桃園県復興鄉奎輝村7鄰嘎色鬧2号
0939-584829/(昼)0922-827037/(夜)(03)382-1416
タイヤル族文化を体験!
ダンス、楽しい!
「溪口集落泰雅文化学院」ではタイヤル族の文化を身近に感じることができます。入口ではみんながタイヤル族の民族衣装を着てお出迎え!日本語も聞こえてきましたよ。一生懸命話す姿にナビちょっと感動…。
さて、訪れた方みんなに用意されている民俗衣装を着て広場へ向かいましょう。ここではウェルカムダンスを教えてもらいます。あまりダンスなどできないナビですが、下手なりにも楽しめちゃいました。隣の人と手をつないでリズムを刻めばもう仲の良いお友達のようです。タイヤル族の女性は聡明で美人が多いと言われ、プラス人懐っこいなぁというのがナビの印象。タイヤル語には日本語も多く取り入れられているらしく、中国語で伝わらない時にタイヤル語の単語だと伝わることもあるんだよと教えてくださいました。
ナビ、ここに住んだことがあるのかしら?と思ってしまうくらい懐かしい気持ちになって温かい気持ちになれる場所でした。
男達は豚肉を焼きます
そしてお待ちかねのご飯もこちらでいただきました。料理上手な女性が手際よく作る料理はみな素朴な味でお箸が止まりません。お椀とお箸も竹から作ったもので、DIYで自分専用のお椀とお箸を作ることも出来るんですって!
またその横では男達が豪快に豚ちゃんを焼いています。タイヤル族の男達は冗談を言うのが大好きで面白い人達です。最後につきたてのお餅をいただいて、お腹い~っぱい!またこのご飯を食べてみんなに会いにここに戻ってきたいなぁと思いました。
溪口部落泰雅文化学院
台七線羅馬公路118県道路の54.5㎞にあります。(『1:1泰雅傳統竹簍』と書かれた看板に沿って行けばあります)
さきほど焼いていた豚ちゃん
|
|
リズミカルに餅をつきます
|
頭のてっぺんから爪の先まで洗えるせっけん
|
 |
お魚にこれをプラスして蒸すだけでおいしい!
|
 |
ハイビスカスのジャム。これにお湯を混ぜるだけでハイビスカスティが飲めますよ~♪
|
お土産も買えますよ~ |
阿邁‧熙嵐さんは幼くして急性灰白髄炎にかかり、身体が不自由になりました。しかし絵画への才能は幼少期から開花し、独学で絵画を学んだ父に教えを請い、更に才能に磨きをかけました。彼の作品の多くは女性を描いていて、それにプラスタイヤル族の要素を取り入れます。インスピレーションが湧き、描きたいと思った女性を見かけると新たな作品が生まれるんだとか。でも、自分に彼女がいると全然絵が描けなくなるといい、以前婚約したこともあったけど、それが理由で別れてしまったよ…。と笑いながら語る阿邁さん。とっても明るくオープンな阿邁さんとお話しているとついついナビも笑顔になってしまいました。
独特の色使いとタッチで魅了する絵の数々を自分の目で見たい方は是非工房を訪れてみてくださいね。工房を訪れる際は必ず電話連絡をしてから訪れてください。平日は創作活動に専念したいため、出来れば週末に来ていただけると嬉しいそうです。でもどうしても平日に…という際には電話で聞いてみてね!とのことです。
桃園県復興郷高義村蘇樂1鄰14号
03-391-2667/0926-410433
大好きなお父さんとのツーショット!「日本から来てくれたんだねぇ」と感慨深く日本語で話しかけてくださったお父さん
|
|
花蓮の景色
|
復興郷には有名な橋が3つあります。その中でナビは台7線(北部横貫公路)46.5㎞にある旧巴陵橋と新巴陵橋を見てきました。これら2つはセットで「巴陵橋」と呼ばれています。
全長160mを誇る各橋。山の緑と川の水とのコントラストが美しく、この橋を撮影するためにわざわざ台7線へ来るというカメラマンも多いそうですよ。ナビが訪れた時には生憎の雨であまりキレイに写りませんでしたが(涙)、それでも新巴陵橋へ行く途中にトンネル内に見えるタイヤル族文化やタイヤル族の方が描いたイラストなどが見られ、行って良かったなぁと思いました。
台北からかなり距離があって移動には大変だけど、だからこそ今になっても残されているタイヤル文化。実は猟体験もできるクラスもあり、ほんとに楽しさ未知数です。空気もおいしく景色も最高!人間が人間らしく戻れるそんな復興郷に遊びに来ませんか?ナビは絶対もう一度訪れますよ~。
以上、桃の時期に来て桃とタイヤル文化を堪能しようと計画中のナビがお届けいたしました。