南投県のブヌン族が暮らす集落に大潜入。素朴な暮らしとクリスマスのイベントを楽しんできました!
こんにちは、台北ナビです。
2020年になってからすっかり時間が経ってしまいましたが、2019年のクリスマス、ナビは台湾中部の南投県信義郷地利村にある原住民集落に足を運び、ちょっとスペシャルな体験をしてきました。台湾の中でも特に手付かずの自然が残るといわれる山深い場所のクリスマスと大自然、そしてここに住む温かな人々の暮らしをご紹介します。
大自然に囲まれた「信義郷地理村」
あまり聞きなれない信義郷地理村という場所ですが、台湾きってのリゾート地として知られる日月潭の南にあり、風光明媚な場所を走る台鉄集集線「水里」駅から豊栄客運の6288バスに乗車して、約1時間で到着します。人口はわずか1127人。そのうち85%が台湾原住民のブヌン族とされています。
海抜の高い場所に住む彼らの暮らしは、大自然と切っても切れない深い関係が結ばれていて、彼らの中に伝わる多くの伝説の中には動植物を擬人化した物語があるほか、宗教儀式はアワの生育状況を基準に行われます。
かつては「達瑪巒」(ブヌン語:Tamazuan)と呼ばれていた同地区。そのほとんどが農業をして生計を立てていました。今でもここを訪れれば、素朴で情熱的な原住民の人たちが温かく迎えてくれます。
地利村に立ち入ると、目の前に広がるのは切り立った山々と澄み切った青空と白い雲。強い生命力を感じると共に、雄大な自然の美しさに、思わず目が眩むほどです。
地利村の地利集落に「Si Ka Ka」いうレストランがありました。「Si Ka Ka」とは「食べて飲んで、帰るの忘れて」という意味。あなたも地利に来たら都会の喧騒を忘れて、帰りたくなくなっちゃうかもしれません。ここでは汁なし麺と蛋餅をオーダー。ビンロウの葉っぱで作られた自家製食器も飾られていていましたよ。
【Si Ka Ka小吃部】
住所:南投縣信義郷開信巷7之5號
電話:0975-382-812
地利集落にある傾斜地ののり面には地元の人たちの生活や歴史などを表現したアートが飾られていました。ブヌン族が暮らしていた場所は、元々今よりもさらに深い山の奥でしたが、日本統治時代に近代化や教育を施すための理由により、半ば強制的に現在の場所へ移住させられてきました。
祭事の様子を彫刻で表し、後世に伝えていっているのですね!
そしてブヌン族の祭事の様子を示した生活暦(祭事暦)のレプリカを発見。ブヌン族はアワに関連する伝統儀式を非常に重視し、数々のタブーがありました。元々は縄を結わいて暦としていましたが、その後イラストが描かれたり彫刻するようになったんだとか。
年配の方に話を聞くと、どの氏族にも祭司のような儀式を取り仕切る人がいて、それぞれがこの祭事暦を所有し、農作業や儀式について指導・助言をしていたんだそう。
集落内にはクリスマスの装飾がたくさんありました。昼間はこんな感じだったので、夜の煌びやかさを想像するとワクワクしてきます。
これら装飾の材料はペットボトルや倒れた木など、再利用の材料がたくさん使われていました。エコの概念が広まっているのが素敵です。
台湾一落差のある吊り橋と壮大な滝に感動!
さて、地利集落からさらにミニバスで約10分のところにあるのが雙龍集落です。先ほどいた場所から向かい側に位置していて、途中、雙龍、地利、下塘部集落など地利村の集落を俯瞰できる場所がありました。
二つの滝があるのが分かりますか?
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ナビが行った時、近づけるのはこれが限界。音と飛沫が迫力ありましたよ~
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途中、建設中のつり橋がありました。長さ342m、高さ110m。台湾では最も落差のある吊り橋とされるもので、2020年2月に正式開通予定です。すでに橋自体は完成していたので我々は一足早く歩いてみました。
40階建てのビルに相当する高さに立っていることになり、高所恐怖症の人でなくてもスリルを味わえます。ちなみにここからは大小の滝5つがあるそう。雙龍と合わせて7つの滝が見られるはずです。
歩き疲れた果てにやってきたのは「雙龍景観営地」というキャンプ場。自分で食材を持ち込んで食事をすることもできますが、2019年末に火鍋レストランがオープンし、麻辣鍋とオーナーお薦めの鮭と豆腐の鍋が楽しめます。
ちなみに、レストランはアワや木材で装飾されているほか、ブヌン族のイベントの紹介や鷹の標本まであり、原住民テイスト満載で楽しいです。
食事が終わったら再びキャンプ場に戻りました。キャンプ場からは向かいの山と地利の夜景が楽しめます。また、アーチェリーやバドミントンなどが遊べる遊技場があるほか、バーのような雰囲気のウッドデッキがあり、オーナー特製のカクテルやスパークリングドリンクなどが飲め、子供から大人までみんなが楽しくなれちゃいます。
【雙龍營地】
住所:南投縣信義郷光復巷11-5號
電話:(0921)-355-088
まったりと原住民集落の生活体験
原住民集落のス○ーバックスの異名を持ちます
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全さん
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翌日、地利集落に戻って「哈努英餐館」にお邪魔します。「哈努英」とはブヌン語で「いらっしゃい」の意味。歓迎してくれています。
オーナーは地元で生まれ育った全得志さん。原住民語の名前は卡里路といいます。台北で20年ほど仕事をしていたのですが、故郷への想いが募り、高給の仕事を辞め、ここでレストランを開きました。故郷での生活は若者の夢ではありますが、実際には難しいことです。全さんは地利集落に戻って7年が経ちますが、自立の道は非常に険しかったといいます。それでも決して夢を諦めることなく、現在も楽しく前向きに毎日を過ごしているんだとか。
手作りで作り上げたというレストラン。倒木など廃材を利用し、独特で美しい内装に仕上げました。コーヒーを提供していることから、行楽客からは「原住民集落のスター○ックスだ」なんて賞賛されるほどなんですよ。全さんは最近カクテルにはまっていて、自慢の味を楽しむこともできます。
レストランの食事のほうはというと、実は全さん、ほぼ自給自足の経営方式を貫いていて、食材のほとんどが地元の新鮮なもの。「これは昨日収穫した山菜」、「これはきょうの朝捕まえた魚」などなど、全さんが熱心に教えてくれます。お薦めは海鮮焼き麺。忘れずに注文してくださいね。
豪華な料理。地元の食材をふんだんに使っています
時間があれば、全さんと一緒に畑でキャベツの収穫をしたり、夜の川に足を運んでエビ釣りをして、釣ったエビを焼いて食べたりできます。ここにくれば、実家に帰ってきたようなぬくもりが味わえます。
【哈努英餐館】
住所:南投縣信義鄉地利村90-3號
電話:(0909)738-000
捕まえてきたばかりの魚を調理してくれました
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豚の丸焼き~
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「哈努英餐館」の近くにはお薦めの景勝地があります。一つ目は土虱灣という場所。ブヌン語でQuasと呼ばれるこの地名は日本語で言うなら「大曲」の意味に近く、川の影響で大きくカーブしている場所です。因みに中国語の「土虱灣」という地名は、山の形状が土虱魚(クララ)と呼ばれるナマズ科のウォーキングキャットフィッシュに似ていることから名付けられました。川の流れによって作り出された地形を眺めながら、大自然の持つ力の大きさや曲線の美しさが分かります。
そして、二つ目は濁水渓にかかる双龍橋。ここからの景色は、濁水渓によって形成された扇状地がしっかりと見渡せます。
ブヌン族のクリスマスイベントに潜入!
さて、日が暮れてお待ちかねのクリスマスイベントの時間になりました。実は、南投県のブヌン族にとって、クリスマスは新年に相当し、地利集落では毎年12月24日に大規模なイベントが行われます。
まるで漢民族の旧正月のように、クリスマスイブとクリスマスの当日には各家庭で原住民料理のご馳走を作り、みんなで団欒を楽しみます。
ちびっ子も怖がらずに松明を持ちます
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「メリークリスマス」「よいお年を~」などといいながら集落を練り歩きます
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24日の未明には集落にある教会のコーラスグループが竹筒の中にロウソクを入れた灯篭を持ち、各家庭から賛美歌を歌いながら教会に集まり、イエスの生誕を祝福。そして夜には信者とともにクリスマスのパーティーが行われます。歌ったり、踊ったりと色々な出し物が行われ、温かい雰囲気の中で夜は更けていくのでした。
都会に暮らすナビにとって凄く刺激的な体験になった信義郷地利村の滞在。大自然の雄大さとそこに暮らす人々の情熱を存分に味わえました。集落の人々は外部の方がこの地を訪れるを大歓迎してくれます。原住民の生活に興味があるという方は是非訪れてみてください。
以上、台北ナビがお伝えしました。