改修工事が始まったばかりの故宮博物館へ行ってまいりました。
本館前全体が封鎖されています。至善路に面した、アーチ手前の
広場で下車、左手階段を登り、図書文献館、行政ビル横を過ぎ、本
館へ向かいます。徒歩で5、6分といったところでしょうか。雨の日
に出かけられるときは、くれぐれも傘をお忘れなく。
西側臨時入り口より入館します。左手の受付カウンターでパスポ
ートを提示して無料チケットをいただきます。それに名前、出身
国、パスポート番号を記入、発券所で本券と交換し、いざ入館。
観覧できるのは2階と3階の西側部分のみ。4階の三希堂は全面閉鎖
中です。ということもあってか、展示品は特に逸品揃いと見受けら
れました。3階の「玉」の間では、高雄からお帰りの「翡翠の白菜」
とガラス越し30センチの距離で御対面。「肉形石」もそのすぐ隣に
鎮座していました。フラッシュさえたかなければ、ここは写真撮り
放題・・・・2階の書画の間では、北宋の悲運の皇帝徽宗の画と再
会。国が潰れたあとの彼の運命を思うと、涙なしには見られない逸
品中の逸品・・・・今回初めて、北宋の大詩人蘇軾、唐の悲劇の大
書家顔真卿の書にも対面しました。次第に乱れ行く顔真卿の筆遣い
に感動。それが歴史的に、いかほど価値あるものなのかは、言うま
でもありません・・・・おもしろかったのは、康熙帝親筆の朱文字
の入れられた家臣の上申書。「お前の文章はなっちゃいないぞ、こ
こは、こう書くものだ・・・」「お前の字はなんて細いんだ」と、
博学で鳴る康熙帝のため息まで傍らから聞こえて来そうな珍品。ち
なみに康熙帝とは、母親が日本人である鄭成功率いる鄭氏台湾を打
ち破った清代の大皇帝。その真筆を、この台湾で、このような形
で、一日本人が拝見するという歴史の不思議。やはり故宮は、天下
一の歴史博物館です。
というわけで、2時間足らずの観覧でしたが、大大満足。改修は
2005年7月までの第一工事、2006年2月までの第二工事と分かれて進
められるようです。工事期間中については、西側の図書文献館1階展
示室を利用して選りすぐりの催し物が開催されるということですの
で、やはり台北に来たら、故宮参観ははずせないようです。5月1日
から、同所では「ドイツ芸術百年・ベルリン国立博物館珍蔵展」が
始まります。
蛇足ながら・・・・・6階の喫茶室は行ってビックリ。10人ほどで
満席のうえ、エレベーターのドアが開いたとたん、いっせいに客の
視線を浴びます。強心臓もひるんで、たちまち逆戻りです・・・・
通訳のガイドさんは「不行」。客に対して「見てもお分かりになら
ないでしょうが」の連発はいただけません。説明される内容も、語
学力の問題もあるでしょうが、甚だ怪しいようで「不行」・・・・
至徳園脇の道路から行ければ便利なのですが、警備員が立ってい
て、車椅子を使われる必要があるなど、特別な事情のないかぎり、
追い返されます・・・・至徳園はパスしても、多分後悔はされませ
ん。もし出かけられるのでしたら、並木の続く西側の道を真っ直ぐ
に下って行き、右手にあります。
|