>>[ Kay様 Wrote ]-------------------------------------
>ありがとうございますm(_ _)m
>その後、茶油はなんだったのか台風後に出掛けていても気になっていたのでし
>た。茶葉からではなく実から抽出するものなのですね。kyon2さま同様、良さそう
>で気になる一品ですねぇ♪私もいずれ迪化街に出没してしまいそうです。それ
>に、陶器の茶壷のこと、詳しくてフムフム読ませていただきました。大変勉強に
>なります!いくつも持っていてもまるでそのように使い始めた物が一つもなく茶
>器たちに申し訳ない気がしてきました・・・(T_T) 好きなように楽しく飲めれば
>いいのよねぇ〜なんて簡単に思ってきましたが私のようなガサツ者ではいけませ
>んね。それと、お水のことなんですが、台湾の水道水を沸かして使ってる水は硬
>水なのですよね?日本で飲むならばペットボトルの硬水ならば近い物でしょう
>か?今は台湾に住んでいて味を気にしていませんでしたが、日本に帰った時に水
>が変わってしまって田田様の言うようになんだか味が違うという現象がおきた
>ら・・・そんな簡単なものではないのでしょうかね。ペットボトルの硬水は欧米
>の物ですものね・・・台湾の水とはまた違うわけですよね。それとも日本で買え
>る茶葉ならば日本の水に適していたりするものでしょうか?
>[ 小美様 Wrote ]-------------------------------------
◎お茶をより美味しく淹れる為の水選び
お茶の神様と呼ばれている陸羽が著書「茶経・五之煮(下巻)」で「其水、用山水上、
江水中、井水下」と記し、陸羽の後にも張又新が、「煎茶水記」の中で使う水によ
り、茶湯の色や香りと味が変わるものだと水の大切さを強調しています。
良い茶葉が在っても、良い水が無ければ美味しいお茶を淹れる事が出来ないと謂う事
ですね。
日本は「蛇口を捻ねれば水が飲める」世界でも希少な「安全な水」の国だと謂われて
います。
台湾茶(中国茶)を淹れる時に水にまで拘る人はまだまだ少ない様に思いますが、水に
よってお茶の香りや味が変わる事は否めない事実です。
以下はあくまで小生の個人的な思いですが、水に関して少しだけ説明しておきます
ね。
小美様もご存知の様に、水には「軟水」と「硬水」が在ります。
水の中に含まれるカルシウムとマグネシウムの量を硬度と謂います。
単位はdH(ドイツ硬度)またはppm(アメリカ硬度)で表します。
アメリカ硬度は、水1L中に含まれるカルシウムとマグネシウムの量を、炭酸カルシ
ウム(CaCO3)の濃度に換算した重量(mg:ミリグラム)です。
ドイツ硬度は、水100ml中の酸化カルシウム(CaO)の重量(mg)に換算したもの
です。
※ドイツ硬度とアメリカ硬度の関係は、CaCO3換算濃度1mg/L(ppm)→約0.056dHで
す。日本では以前はドイツ硬度を使っていましたが、現在はアメリカ硬度が一般的
に使われています。
硬度の低い水を軟水、逆に高い水を硬水と呼びます。
極めて軟水 硬度 0〜 40mg/L未満
軟水 硬度 40〜 80mg/L未満
やや軟水 硬度 80〜120mg/L未満
やや硬水 硬度 120〜180mg/L未満
硬水 硬度 180〜300mg/L未満
極めて硬水 硬度 300mg/L以上
※日本の基準
軟水 硬度 0〜178mg/L未満
中間の水 硬度 178〜357mg/L未満
硬水 硬度 357mg/L以上
※WHO飲料水水質ガイドライン
軟水 硬度 0〜 60mg/L未満
中程度の硬水 硬度 60〜120mg/L未満
硬水 硬度 120〜180mg/L未満
非常な硬水 硬度 180mg/L以上
因みにpHとは水素イオン濃度の事です。水を酸性、中性、アルカリ性の程度で示す指
標です。
phの値には0〜14まであり、7を中性若しくは化学的中性点とも言います。
7より小さくなる程に酸性が強く、7より大きくなる程にアルカリ性が強くなりま
す。
ミネラルの含有量の高い硬水を使った場合、茶湯の色が濁ってしまい、見た目が非常
に悪くなると共に味と香りにも影響しますので、例外も在りますが、適しているお茶
が少ない様に思います。
台湾は殆どの地域が硬水ですが、逆に日本は殆どの地域が軟水(一部硬水地域有り)な
ので、ミネラルウォーターを買ってきて使う場合、海外物(硬水)よりも国産物(軟水)
の方が良いと思います。
水道水が決して不向きと謂う訳ではありません。場所によっては浄水器が無くても
水道水の侭で十分美味しい所も在ります。
逆に水の流れ(使用量)が少ないビル等の受水槽からの水はお世辞にも美味しいとは謂
えません。
この様な場合は、無理に水道水を用いるよりもミネラルウォーターの方が良いのでは
と思います。
ミネラルの含有量の高い輸入物を使うより、水道水の方が美味しく淹れられる場合が
よくありますが、硬水が使えないという訳ではありません。
以前試しに300mg/L以上の硬水を使って深焙煎の鉄観音等を淹れて見たら、茶湯は濁
りましたが、「軟水より美味しい」と試飲した数人の知人の意見が一致した事が在り
ました。
◎水と空気の関係
水(湯)を沸かす事も非常に難しいとされ、水の中に溶けている気体の含有量が高い
程、香りが良く、すっきりとした味のお茶を淹れる事が出来ます。
「沸かし過ぎてはいけない」とよく謂われるのは、沸かし過ぎると水の中の空気の成
分が逃げてしまうからです。
沸騰させ過ぎた水は「水老」や「死水」と呼ばれます。
「死水」と呼ばれるだけに当然美味しいお茶を淹れる事が出来ません。
水は沸騰し過ぎない様に注意して下さい。
初めのうち温度の目安に不安な場合は、100℃まで計れる温度計を用意し、水が沸
く直前に気泡の様な物が出来ますので、最初の頃は温度計を見ながら覚えて下さい。
もし「水老」や「死水」で入れた場合は、折角のここでの作業は殆ど無意味になって
しまいます。
でも、温度計など「野暮」な物を使わずもっと風情をお愉しみになりたいと思います
ので、ご自分の視覚と聴覚を信じて目安を判断する方法を!・・・。
魚眼 (一沸) 沸騰する前に、ゆらゆらとし始めたお湯の器底から「ポコッ、ポコ
ッ」と一つ、二つと小さな泡が湧き始めます。
蟹眼 (二沸) 蟹の目程の大きさの泡が湯面に細かく発ってき始め、沸騰し始めま
す。
魚眼湯 (三沸) 魚の目程の大きさの泡が湯面に湧きかえり、「ボコ、ボコ」として
いる状態で、充分に酸素を含んでいる状態ですので最適の湯温です
ので、ここで火を止めます。これ以上沸かし続けると水中の空気が
減って行き、「水老」や「死水」になってしまいます。
濤波鼓浪(四沸) 器が「ゴウッ、ゴウッ」と音を発てる程沸き返った状態。
また、鉄瓶で沸かす場合は一晩汲み置いた水を沸かす直前に鉄瓶に移し、沸かす際に
は蓋を取った状態で沸騰させる事で、カルキの抜けた円やかで美味しいお湯が出来る
そうです。
お茶を淹れる時に、お湯は極力高い所から注ぐのも、良い方法です。
しかし、高い所からですとお湯の温度が低くなってしまう恐れがあります。
これを補う為には茶葉を茶壷に入れる前に「温壷」して置く事が大切です。
また、蓋をした後に再度お湯をかける事によっても多少補えます。
お茶を茶海に注ぐ時や茶海から茶杯へ注ぐ時も少し高い所からという方法があります
が、お茶の香りが逃げる欠点があります。
一部国内で烏龍茶を生産・流通している地域も在りますが、日本で販売されている茶
葉は殆どが台湾や中国から仕入れられた物だと思います。
今、お使いの水道水の硬度が判れば良いのですが、もし日本で硬水のミネラルウォー
ターをお使いになるの場合は、台湾でお使いの水道水やミネラルウォーターの硬度を
控えておき、ご帰国後にその硬度のネラルウォーターをご利用になってみては如何で
しょうか?
産地・メーカーの違いは在りますが、ミネラルウォーターには硬水・軟水の両方が在
りますので。
優柔不断な回答で申し訳御座居ません。
いろいろと勝手に述べてしまいましたが、多々基本と呼ばれるものは在っても、要は
自分自身にとっての「これ!」が見つかれば良いと思っておりますので、小美様も
「じっくり」とご自身の「これ!」を探求され、何処の地でも「お茶」を存分にご堪
能下さい!
乱文・長文 深謝。
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