夏にぴったりのサッパリ朝ご飯
こんにちは。台北ナビで「おうちで本格台湾料理」を連載中の料理研究家の小河知惠子(オガワチエコ)です。
台湾に続き、日本でも本格的な夏の到来を待つ時期となりました。このころになると、食欲があまりない……という方も増えてきます。
朝なんかも、何も食べずに出かけてしまう方も多いですよね。すると力が出ずに、仕事なども効率が悪くなってしまいがちに。食べやすいものでもお腹に入れていけるといいんですが……。
台湾の朝食の定番メニューに『鹹豆漿(シェンドウジャン)』があります。
豆漿というのは豆乳のこと。鹹豆漿は、塩味の豆乳スープになります。
朝食の定番なだけに、サラッと食べられる一品です。日本でも、これからますます暑くなる季節にピッタリではないでしょうか。
台湾の豆乳事情
台湾の豆乳は、さらっとしていて豆臭さがありません。日本の物よりも圧倒的に美味しく、私も台湾に行くと毎日飲むもののひとつです。
台湾で豆乳を飲もうとすると、基本的にはお砂糖入りの甘いものが出てきます。無糖がいい場合は、「清豆漿(チンドウジャン)」などと頼めば出てきます。私個人としては、ほのかに甘く味付けされたオーソドックスな豆乳が好きですね。
私には、現在1歳8ヶ月の息子がいます。初めて一緒に台湾に行ったときは生後7ヶ月でしたが、豆漿をごくごく飲んでいました。日本では好んで豆乳を飲まないのですが、台湾の豆乳は口に合ったみたいです。
ですから、台湾滞在中は、泊まっているホテルや、マンションの近くにお気に入りの朝ごはん屋さんを見つけ、毎朝一緒に飲んでいます。
食欲が落ちている方、美味しい朝食を食べたいという方にお勧めの「鹹豆漿」。それでは作り方をご紹介しましょう!
まずは材料(2人分)
無調整豆乳……2カップ
ザーサイ……15g
桜エビ……大さじ1
わけぎ(小口切り)……大さじ1.5
ごま油……小さじ1
醤油……大さじ1
お酢……大さじ1
塩……小さじ1/4
ラー油……小さじ1/2(お好みで)
鹹豆漿の作り方
① ザーサイは3ミリ幅くらいの細切りに。わけぎは小口切りにしておきます。
② 桜エビは、5ミリ幅くらいに切ります
台湾で使われるのは「蝦皮(シャーピー)」と呼ばれる、日本の桜エビよりも小さいもの(塩気もあります)。担仔麺などに使われる干しエビに対して、こちらは身が少なく、皮ばかりなので、蝦皮と呼ばれています。これは日本のスーパーで買える安めの桜エビを使って代用します。ちなみに今回購入したものは、台湾産でした。
③ フライパンにごま油を入れて、桜エビを炒め、次にザーサイを炒めます。
香りを出すために、軽く炒める程度でOK。日本のザーサイはすでにラー油で炒めてあることが多いので、最後にさっと合わせる程度で大丈夫です。
④ ③を炒めたらお椀に入れ、わけぎ、塩、お酢、醤油を入れます。
台湾では「肉鬆(ロウソン)」という肉でんぶも入れたりします。お土産で日本へ持ち込めないのが残念ですが、日本で手に入ったらここで入れてみるといいですよ。
⑤ 豆乳をテフロン加工のフライパンに入れて、泡がプツプツする沸騰直前まで温めます。
鍋で温めると、焦げ付きやすいので、テフロン加工のフライパンがいいです! 鍋底が少しでも焦げると、すぐに焦げの味が豆乳にうつり、悲しくなるほど美味しくないので。それと、豆乳は必ず無調整のものを使うようにしてください。
⑥ ④に⑤の豆乳を注ぎます。
⑦ 最後にラー油をまわしかけて出来上がり。
④でラー油を入れてもいいですが、最後にかけるときれいです。日本のザーサイはラー油を絡めてあることが多いので、お子さんや辛いのが苦手な方は、ラー油を省いても大丈夫です。
口当たりの良いトロッとした食感に、ほどよく酸味も効いていてとても爽やか。ごま油の優しい香りが心を穏やかにしてくれます。慌ただしくなりがちな朝に、うってつけの一品です。
よく噛んで食べるとエビの風味など細かい具材の味も楽しめますよ。
豆乳は、酢と合わさると豆腐のように柔らかく固まる習性があります。食べているうちにだんだんと冷めてきて、おぼろ豆腐のようになっていく様子がなぜか儚げでいいんですよね。
優しい味でさっぱりしているので、夜食に食べる人もいます。そういえば、台湾の朝ごはん屋さんは、夜食用として夜中にもお店を開けているところがありますよね。
今回は簡単なレシピなので、上野の中華食材店で台湾食材を購入して作ったバージョンもご紹介します。
こちらが本格バージョン(まずは材料)
肉鬆(肉松)…缶に入って売っています。味が付いていて、やや甘め。お粥のトッピングにも。
白酢……台湾や中国で使われるお酢です。日本のものよりも香りと酸味がマイルドです。
油條……台湾風揚げパン。朝食の定番です。冷凍してあるものを揚げたり、フライパンで揚げ焼きにしたりして使います。
蝦皮……塩気が強いので、少し塩抜きしてから使います。
作る際の注意としては、肉酥や蝦皮など塩気があるものが入るので、スープに入れる塩は半分以下に減らしましょう。
本格派バージョンの完成!
油條が入っているぶん、ボリューム感があります。でも、味としては日本の食材で作ったものと、あまり差はないように感じました。
日本ではこれから夏を迎えますが、台湾の夏はさらに暑い。それに夏の期間もとても長いんです。先日訪台した5月の時点でも日本の8月以上の気温がありました。
そんな気候のなかで台湾の人たちが元気に暮らしているのは、朝からこういった料理を食べているからかもしれませんね。
エネルギー切れを起こさないよう、サラッと食べられるものをお腹に入れて、良い朝のスタートにしましょう。
次回もまた、台湾の魅力たっぷりな元気の出るお料理をご紹介します。
料理と文:小河知惠子(オガワチエコ)
料理研究家・台湾料理研究家。
雑誌やテレビ、書籍などのレシピ作りや料理コラム等で活躍中。著書に「純愛ごはん」(セブン&アイ出版)、「おにぎらずの本」(泰文堂)、「スティックオープンサンドの本」(講談社)など。 初めての台湾旅行で、食材の豊かさと豪快な調理に魅せられる。 以来、何度も台湾に足を運び、2017年、現地の料理学校で台湾料理を習得。 2歳男児の母。
小河知惠子(オガワチエコ) ツイッター
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台湾料理ワークショップやります!
7月10日、私オガワチエコ(小河知恵子)が講師となり、本格台湾料理のワークショップを行います。
メニューはおなじみ魯肉飯と愛玉子。
現地の調味料を使った本場のレシピを教えします。お土産もありますよ。
ぜひご参加ください。
<水と楽しむワークショップ>お土産つき! 台湾料理研究家から学ぶ魯肉飯(滷肉飯)と愛玉子
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2018-06-29