料理研究家小河知惠子(オガワチエコ)・おうちで本格台湾料理『第四回目・水餃』

ボリュームたっぷりでヘルシーな⽔餃⼦を作ろう!

こんにちは、台北ナビで「おうちで本格台湾料理」を連載中の料理研究家の小河知惠子(オガワチエコ)です。

ゴールデンウィークを前にして、だいぶ暖かくなってきましたね。台湾ではすでに夏日。旅行に行くなら、Tシャツやノースリーブがメインの服装になります。薄着の時期になると、ダイエット……とまではいかなくても、ヘルシーな食事に切り替えたいと思うこともあるでしょう。
今回ご紹介する『水餃(スイジャオ)』(水餃子)は、少ないお肉とたっぷりの野菜を使った嬉しいメニュー。

日本では餃子というと、ご飯と一緒に食べることが多いかと思いますが、台湾では、単品で食べるのが一般的。体型が気になるこの時期は特に、台湾流の食べ方で楽しみたいですね。

私と餃子の関係

台湾では、焼き餃子よりも水餃子のほうが人気があります。私も台湾に行けば、必ず食べる料理のひとつです。

特に好きなのが、雙連にある雙連高記水餃店 / 三五水餃。同じ場所で、時間帯によって店が変わるのですが、どちらの水餃も好きで、近くを通ると、毎回列に並んでしまいます。並ぶと言っても回転がとても早いので、待たされることがあまりないのも高ポイント。
一食に10個、酸辣湯も一緒に食べて、お腹いっぱいといったところです。

しかし、台湾人の友人によると、ここ最近、台湾の水餃子は小さくなってきているのだそう。お店によっては、具材なども少ないところがあり、嘆いている人も多いようです。

そんな不満も、自分で作れば解消できますよね。具材をたっぷり詰めて、好きなだけ作ってしまいましょう!

まずは材料(24個分)

・皮
強力粉……90g
薄力粉……90g
冷水……70~73g
塩……小さじ1/4

・具材
キャベツ(あれば春キャベツ)……350g
豚ひき肉……150g
ワケギ……1本
生姜のすりおろし……小さじ1
ゴマ油……小さじ1
サラダ油……小さじ2
胡椒……小さじ1/4
酒……小さじ1
塩……小さじ1/4
鶏がらスープの素……小さじ1/4
水……大さじ1
卵液……大さじ2

・タレ
お酢……大さじ1
醤油……大さじ2
ゴマ油……小さじ 1.5
サラダ油……小さじ1.5
お好みでにんにくのみじん切り……適量
お好みでラー油……適量

水餃の作り方

1. ボウルに薄力粉と強力粉、塩を入れて混ぜます。

台湾では中力粉を使いますが、日本の普通のスーパーでは手に入りにくいので、薄力粉と強力粉を1:1で混ぜて代用します。

2. 1に冷水を入れます。

シュウマイや焼き餃子などの皮は温かいお湯を入れた生地で作りますが、水餃子は冷水を入れるのが特徴。入れる水の温度が高い方が、生地が水分を含み柔らかくなります。焼き餃子は、焼くと水分が蒸発するので、温かいお湯を使って柔らかさを保ちます。水餃子はお湯に直接入れて茹でるので、冷水を使った生地で柔らかくなるのを抑えるようなイメージです。

3.手で混ぜてまとめます。

冷水しか使っていないので少し固めの生地になります。

4.生地をしっかりとこねます。

内側に入った水分を出すイメージで、なかを開きます。開いた部分に、乾いた小麦粉をなじませます。水分や油分が少ない生地なので、ポロポロしてまとまりにくいのが特徴です。

5.よくこねてなじませ、丸く形成し、乾燥しないようラップで包み、冷蔵庫で15分くらい寝かせます。

こうすると滑らかになり、より扱いやすくなります。

6.具材のキャベツを粗いみじん切りにします。

あまり細かすぎると食感が出ないので、芯部分以外は大きめに切って大丈夫です。フードプロセッサーを使うと細かくなりすぎるので、ここは包丁で切るのをオススメします。

台湾のキャベツは芯が少なくて柔らかいので、炒め物など火を通す料理に向いています。対して、日本のキャベツは硬めなので、千切りなど生食で食べるほうが美味しく感じます。旬の柔らかい春キャベツを使うと、台湾のキャベツに近いと思います。

7.ボウルに入れたキャベツに塩を入れて揉み込みます。

柔らかくなって、かさがだいぶ減ったら水分を捨ててください。しっかり水分を出すことが美味しく作るコツです。

8.ワケギを小口切りにして、生姜をすりおろします。

生姜は豚の臭みを取るために欠かせません。

9.豚ひき肉に、すりおろし生姜、胡椒、酒、塩、水、ゴマ油、サラダ油、鶏がらスープの素を入れます。

ひき肉は細かいものを使ってください。日本のひき肉は、細く挽いてあるのでそのまま使えます。台湾では粗挽きとこま挽きがあります。

  
10.同じ方向にぐるぐると混ぜます。

全体の色が白っぽくなり、糸を引くくらいまでしっかり混ぜてください。

11.粘り気が出てきたところで、溶いた卵を入れて混ぜます。

卵は調味料と一緒ではなく、このタイミングで入れましょう。

12.キャベツの水分を十分に出したら、ひき肉と合わせます。同じタイミングでワケギも入れましょう。

キャベツ同様、台湾のネギと日本のネギも違います。香りがマイルドで青い部分が多い台湾のネギに近づけるなら、日本ではワケギや九条ネギで代用するのが良いでしょう。よく混ぜたら冷蔵庫に入れて冷やし、肉から水分が出ないようにします。

13.生地を冷蔵庫から出してこね、棒状にまとめます。

14.台に打ち粉(小麦粉と片栗粉を混ぜたもの:分量外)をしてから、包丁で6等分にして、さらにそれぞれを4等分に切り、24個になるようします。

打ち粉に⽚栗粉を⼊れることで、粉が⽣地に吸収されにくくなります。

15.切り口を上にして置き、平らになるようにつぶします。

16.細めのめんぼうを使って、生地を引っ張りながら薄く伸ばします。

真ん中を厚く、縁を薄くするイメージです。だいたい直径5~6cmぐらいの大きさになるまで伸ばします。形は多少いびつでも構いません。台湾では、日本より細いめんぼうが主流です。小籠包から肉まんまで、結構なんでもこのめんぼうを使って作ります。

できあがったものは、お皿やバットにラップを敷いて並べていきます。乾燥しないように上から固く絞ったキッチンペーパーをかけるといいでしょう。

17.具材を包みます。生地の周りに、指でぐるりと一周水をつけ、真ん中に具材を置きます。

18.ここで簡単な包み方を紹介します。まず真ん中をくっつけます。

19.次に右側を真ん中に持ってきてくっつけます。

20.左側も同じようにして、全体をしっかりくっつけます。

水餃子は安いので、あまり手間がかかる包み方はしません。簡単、シンプルに!

平らなバットに並べて固く絞ったキッチンペーパーとラップをかけます。

ここでも乾燥には気を付けましょう。

冷凍する場合はこのタイミングで、バットのまま冷凍庫に入れ、固まったら耐熱性密閉袋などに入れて保存します。

21.お酢、醤油、サラダ油、ゴマ油を合わせてタレを作ります。

お好みで、みじん切りのにんにく、ラー油入れても美味しいです。しょっぱければ最後に水餃子の茹で汁を入れて調整しましょう。

22.大きめの鍋にたっぷりのお湯を沸かし、水餃子を入れます。

鍋肌にくっつかないように、穴あきおたまなどでかき混ぜながら茹でてください。
23.沸騰したら、沸騰がおさまるくらいの量の差し水をします。再度沸騰してきたら、また差し水をします。

作りたての水餃子は差水2回。冷凍は差水3回。これを覚えておくと便利です。

24.浮いてきたら、少し膨らむまで茹で続けます。

ここですぐ引き上げないようにしてください。膨らむまでしっかり茹でることが大切です。吹きこぼれないよう、火加減を調節してください。

25.茹で上がったら、ぬるま湯にくぐらせ、餃子同士をくっつきにくくします。

水餃の完成!

26.器に盛り付けて、タレを添えて完成!
見てください、このモチモチ感。写真からでも伝わってきますよね?

しっかりした皮のなかには、たっぷりの具材。噛めばキャベツのシャキッとした食感に肉の旨みが絡まり、ひとつ、もうひとつと食べたくなります。 お酢の利いたシンプルなタレが、またよく合います。個人的には、にんにくとラー油を入れたほうがより美味しいと思いますが、そこはお好みでどうぞ。

このぐらいの量なら、2人でペロッと食べられてしまうんじゃないでしょうか。意外とあっさりしているので、胃にももたれず、野菜たっぷりでとってもヘルシー。 今回は、豚のひき肉とキャベツを使ったオーソドックスな具材で作りましたが、ニラやエビを入たものも美味しいですよ。
焼き餃子派の方は、やや物足りないように思うかもしれませんが、是非そういう方にこそ食べて欲しい一品です。水餃子から、台湾の魅力を感じてください。

単品で食べることが多い水餃ですが、合わせて食べるのであれば、酸辣湯(サンラータン)が一般的。寒い時期などは特に、とろみのついた熱いスープが身体を温めてくれます。 こちらもまた別の機会に作り方をご紹介しましょう。

まずは、⽔餃単品でお楽しみください。お熱いうちに、どうぞ。 次回もこういった台湾の魅力たっぷりなお料理を紹介したいと思います。お楽しみに!

(撮影:富田梨香)
この連載では、日本でも作れる本格台湾料理のレシピを紹介しています。キッチンの環境や食材に違いはありますが、本場の味を再現できるように分量や素材などを研究し、なるべく詳しく解説していこうと思っています。

料理と文:小河知惠子(オガワチエコ)

料理研究家・台湾料理研究家。

雑誌やテレビ、書籍などのレシピ作りや料理コラム等で活躍中。著書に「純愛ごはん」(セブン&アイ出版)、「おにぎらずの本」(泰文堂)、「スティックオープンサンドの本」(講談社)など。 初めての台湾旅行で、食材の豊かさと豪快な調理に魅せられる。 以来、何度も台湾に足を運び、2017年、現地の料理学校で台湾料理を習得。 2歳男児の母。

小河知惠子(オガワチエコ) ツイッター
https://twitter.com/ogawachieco

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2018-04-30

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