復元された駅舎から、鉄道博物館の計画まで!最新の鉄道情報をお届けします。
こんにちは、台北ナビです。
やはり、いま話題といえば3月2日に開通した空港MRT(桃園機場捷運)。
開業当初から多くの客を集め、また大きなトラブルもなく、順調なようですが、実は空港MRT以外にも鉄道の話題があるんです。
昔の駅舎が復元された駅?台中の町中をMRTの車両が?台北に鉄道博物館ができる?
それでは今月の台湾鉄道情報をお届けしましょう。
桃園空港MRT正式開通
計画立案から20年あまりの歳月を経て、2017年3月2日、ついに桃園空港MRTが正式に開通しました。
台北車站(A1)から機場第一航廈駅(空港第一ターミナル駅、A12)までは直達車(急行型)で約35分。
今まで台北市内と桃園空港の交通はリムジンバスが主流でしたが、ラッシュ時間帯の高速道路の渋滞が悩みの種でした。この桃園メトロ開通により、台北と桃園空港のアクセスが格段によくなります。
桃園空港MRT開通までの経緯は以下の通りになります。
1996年、台湾政府はBOT方式(Buid Operate Transfer。事業権を得た企業および企業連合が建設から運営までを行った後、施設を国に譲渡する整備方式)で桃園空港(当時の名前は中正国際空港)の空港連絡鉄道の建設を計画しました。
1998年、長生国際開発公司が引き受けましたが、資金を巡る問題で中断、キャンセル。
2002年にはBOT方式での建設を中止。民間委託ではなく、政府機関である交通部(交通省)高速鉄路工程局が国家予算で建設することになりました。
2006年、当時行政院長(首相にあたる)だった蘇貞昌が主導し、建設が始動。
桃園空港MRTは当初、台鉄(国鉄)が運営する予定でしたが、最終的には桃園市政府、新北市政府、台北市政府の出資により設立された桃園捷運公司が運営することになりました。
この桃園捷運公司の設立から約10年を経て2017年、旧正月後の2月2日からはまず予約団体向けの試乗が、続いて2月16日からは一般市民を対象とした試乗が始まり、3月2日、台北車站(A1)で開通式典が行われ、正式に開通しました。開通後1か月は運賃は半額となり、4月2日以降は通常の運賃になる予定です。
画像提供:台鉄高速鉄路股份有限公司 邱浚嘉
山佳駅で古い駅舎の修繕工事の竣工式を開催
2017年2月18日、新北市樹林区にある山佳駅で古い駅舎の修繕工事の竣工式が行われました。式当日は蒸気機関車CK124が普通車を引っ張り山佳駅に入る姿を見せることもイベントの焦点の一つ。大勢の見物客を引き付けました。
「山佳」駅は1903年に落成しましたが、当時の駅名は「山仔脚」でした。1920年には「山子脚」に再び改名され、1962年に現在の駅名に変更されました。かつて山佳地域周辺は鉱業が盛んで、石炭は一般道路を利用して山佳駅へ運ばれたあと貨物列車に積み込まれ、運送されていきました。しかし鉱産業が衰退し、貨物の運送も1983年に終了。以後は乗客のみ利用する駅となりました。2011年に橋上駅舎が竣工され、日本統治時代に建てられた木造の駅舎に取って代わりました。しかし、旧山佳駅舎は台湾鉄路管理局が縦貫線の運営を始めた初期から現在まで保存されてきた数少ない駅舎の一つであり、台鉄としても駅舎を修繕し再利用することにし、その修繕工事が2016年10月、竣工しました。
山佳旧駅舎の再開業を祝うため、新北市文化局では2月17日から4月4日まで、山佳駅にて「旧事美好:山佳駅の百年鉄道風景展」(「舊事煤好:山佳車站百年鐵道風華特展」)を開催しています。開館時間は毎日午前10時から午後4時まで、入場無料。
画像提供:台鉄高速鉄路股份有限公司 邱浚嘉
テーマは「新芽綻放(芽吹き)」 台中MRT向け電車 台湾へ到着
台中初のMRTとして現在建設中の台中MRTグリーンライン向けの電車(2編成4本)が1月に日本の川崎重工での検査を経て2月5日に神戸港を出港、2月14日に台中港に到着しました。
2月15日には一般市民向けのイベントが行われ、一足先に電車がお披露目されました。
台中MRTグリーンラインは「新芽綻放(芽吹き)」をテーマにデザインされ、車体には緑の線が描かれ、車内は鮮やかな緑色であふれています。今回のイベントに参加したバイク愛好家によると、「この電車は川崎重工のバイク(ベースが黒で、緑の線が入っている)にそっくり。これは、コンセプトカー(ショーなどの展示目的で製作された乗り物)?」とコメント。
電車の電気系統は川崎重工を筆頭に、フランスのアルストム、台湾の中鼎工程の3社が共同で担当し、車両基地設備など、その他の部分は川崎重工が請け負っています。
川崎重工はこれまでに台北MRTや台湾高速鉄道などの案件を数多く受注し、台湾の鉄道に関しては豊富な実績とノウハウがあります。
今後、日本から新たに7両編成14本の電車が運ばれるほか、9両編成18本が「国車国造(国産の車両、国内業者による製造)」政策に基づき新竹にある(鉄道車両製造メーカー「台灣車輛」で組み立てられ、台中市にある北屯車両基地に留置され、検査が行われます。
台中MRTは2018年に実際の路線での試運転およびテスト開業を経て、2020年の正式開業を目指しています。
台北機廠跡地・鉄道博物館建設計画にサイン 文化部と交通部が記者会見
2月14日、政府の文化部(文化省)と交通部(交通省)は記者会見で、「台北機廠・鉄道博物館建設計画」の協力覚書を交わしたと発表しました。
文化部は台湾鉄路管理局(台鉄)から台北機廠(車両基地)の跡地を借り入れ、敷地の一部に国立鉄道博物館を建設。合わせて他の敷地の整備も進める予定です。
当初、台鉄は台北機廠の跡地の4割を土地開発にあて、残りの6割を博物館や公園建設のために国や地方公共団体に貸し出す計画でしたが、跡地と建物のすべての使用権を文化部が取得することになりました。
早くとも2017年下半期には団体向けの予約と公開が開始される見込みです。
台北機廠はもともと北門にあった鉄道部台北工場が1935年、現在の場所に移転する形で建設されました。
当時、高雄と台北には2つの車両基地があり、高雄では貨物列車、台北では蒸気機関車と客車の整備が行われていました。
戦後、台北機廠はディーゼル機関車の修理と新しい電車の製造のために増築されました。
しかし1970年代には鉄道の電化により、蒸気機関車の整備が廃止され、電気機関車と電車を整備する場として使用されるようになりました。
さらに500型の電車が導入されたあとは電車の整備場に変更するため使用を停止し、2012年、高鉄(新幹線)の路線延長に伴い、桃園市の富岡に移転しました。
文化部と交通部、台鉄の合同で行われる今回のプロジェクト。
歴史ある台北機廠がどう生まれ変わるのか、多くの期待が集まっています
上記の内容は月刊誌「とれいん」にも掲載されています。
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