太鼓、歌、ダンス…盛りだくさんの内容で観客を魅了!
こんにちは、台北ナビです。
台湾に来たら行きたい観光地として必ず名前の挙がる「九份」。そして時間があるなら立ち寄る人も少なくない金瓜石。
多くの旅行客を魅了する場所ですが、この土地を愛した「優人神鼓」が「金石優人」を立ち上げ、新たな試みをしているよ!と聞いて九份までやってきました。
九份老街が街をあげて応援♪
豎埼路の階段。平日だからか人は少なめ
今回はメディア向けに一足早く歌舞劇「黄金郷」が見られるということで、ナビも意気揚々と九份へやってきました。
赤いちょうちんが吊るされ、昼でも雰囲気のある九份。いつ来ても新たな発見がありワクワクしてしまいます。幾度も訪れたことのある九份ですが、この日は少し様子が違いました。
街のいたるところで「黄金郷」のポスターが貼られ、街をあげて歌舞劇「黄金郷」をアピールしているのです。この「黄金郷」が地元の方も認める劇であることの証だなと感じ、ナビの期待もぐんぐん上がってきました!
台湾ではじめての劇院「昇平戲院」
1914年に創建された「昇平戲院」。
元は木造作りの舞台で収容可能人数は3~400人だったといわれています。しかし老朽化のため1927年に崩壊。その後1930年代に200坪の現在の場所へ移転新築し、日本統治時代台湾で最も大きな劇院となりました。1ヶ月に20日は歌仔戲、残りの10日は映画を上映しており、朝から晩まで人が溢れ返っていたといわれています。
金鉱山として台湾有数の栄華を極めた九份でしたが、主要鉱物だった金と石炭の生産量が減り続け、1971年に閉山。衰退の時代を迎え、昇平戲院も1986年に営業を停止しました。再びスポットライトを浴びたのは1989年。侯孝賢監督の映画「非情城市」の舞台となったことで九份が観光地として注目されることになり、「昇平戲院」へ訪れる観光客も増えたのです。
その後新北市が2年という月日をかけて改修工事を行い、2011年8月に再オープンしました。九份や金瓜石の方々にとって、昇平戲院は歴史を見つめてきた場所と言え、この場所で、「黄金郷」を演じるということはとても意義があることなんです!
昇平戲院の前にも看板が!
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以前のチケット売り場。味があります
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「優人神鼓」の創始者「劉若瑀」
飾らぬ美しさを持つ劉さん
台北ナビではこれまで何度か「優人神鼓」についてご紹介してきましたが、創始者である「劉若瑀」さんについてあまり紹介してきませんでした。
劉さんは中國文化大學戲劇系中國戲劇組を卒業し、小劇団「蘭陵劇坊」に参加。劇団の中心女優として活躍しており、1982年には児童番組「小小臉譜」の司会者として第17屆金鐘獎兒童節目主持人獎を受賞。その年ニューヨーク大学へ留学し、演劇芸術修士課程を修了し、ポーランドの演出家「イェジー・グロトフスキ」の元で学んだそうです。帰国後、グロトフスキの「山林訓練法」を実践するために「優人神鼓」を設立し、現在に至ります。
「金石優人」の本拠地「金瓜石の地質公園(瓦古劇場)」にてパチリ
優人神鼓のアートディレクター兼振付師として活躍していた劉さん。
新たな場所を求めていた彼女は2012年、金瓜石と九份地区の文化や歴史、自然景観に感動。ここで新たなスタートを切る決心をし、新たな団員を集め「金石優人」を作り、ご自身も彼らと一緒に生活をしています。
それは「土地を知るには、その土地で暮らし、感じることが必要」という考えがあるからだそうです。
ストーリー紹介
きっと「明日はもっと良くなる!」という信じて生きた「招弟」の物語。最後はみんな笑顔です
ゴールドラッシュに沸く金鉱で生まれ育った主人公「招弟」。
日本人の校長先生の家でお手伝いをしており、炭鉱で働く青年と交際をしていましたが、彼が塵肺のため命を落とします。傷心の彼女を救ったのが豪商の文杰。太平洋戦争の最中の結婚で、結婚7日後に夫は徴収されてしまいます。戦後校長先生家族は日本へ引き上げることになり、招弟は埠頭で彼らを見送りに行く…というもの。
ひとりの女性が時代に翻弄されながら、たくましく生きてゆく様子を活き活きと描いています。
若いパワーがみなぎる!
まずは「優人神鼓」お得意の力強い太鼓の演奏からスタートします。身体の奥にまでドド~ンと響く太鼓の音。まるで、これから始まる主人公が生きる波乱の人生を表しているかのようです。
語り手が舞台となる金瓜石および九份の説明や時代背景を紹介。その際、劉さんが美声を聞かせてくれます。その憂いを帯びた歌声がぐっとナビの心をつかみます。その後は「金石優人」団員による歌劇が始まります。
ナビの正直な感想はまだまだ伸び代があるなということ。演技や歌もまだまだ荒削りで、劉さんとの実力の差をかなり感じてしまいます。しかし、役に入り込んで一生懸命演じるその姿に気づけば劇の中に引き込まれてしまいました。
劇中はほぼ台湾語で、台湾語がわからないナビには聞き取れないのですが、劇を見ているだけで何を表したいのかは理解できるため、中国語や台湾語がわからないからやめておこう!と思っている方でも安心して見られますよ。
ナビは今台湾語を学びたい症候群なので、台湾語のシャワーを浴びることができてちょっと嬉しかったり…。
応援したくなる「金石優人」!
「金石優人」は劉さんが新たに集めた劇団員からなりますが、彼らは皆金瓜石の「勸濟宮」の宿舎で寝泊りをしています。「勸濟宮」のご好意で稽古場としても使用しているそうですよ。
朝6時に起き、炊事掃除を当番制で担当。稽古は23時までみっちりと行います。質素に暮らしながら、夢に向かって頑張っている姿を見ると、心から応援したいと思いました。彼らへの一番の鼓舞は多くの方が観劇することだと思います。
是非ひとりでも多くの方が観劇し、「頑張れー!」を届けて欲しいなと思います。
練習場も自ら作ったそう
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ここで団員が料理の腕を振るいます。上手料理の人が作った日はラッキー。たまぁ~に缶詰だけ…なんて日もあるそうです
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「金石優人」の本拠地は金瓜石の地質公園(瓦古劇場)」になる予定ですが、2015年12月現在、何にもありません。
2017年夏には出来上がるということで、どんな舞台ができるのが楽しみです。
しかし、冬に九份へ行かれたことがある方はご存知だと思いますが、冬は風が冷たく、屋外での公演は難しいのです。そのため冬は昇平戲院での公演を予定しています。
ここがどう舞台になるのか?
途中、道のど真ん中にラッキーストーンが!黄金が中にあるそうですよ~♪