ラグジュアリーな台北の夜を。スタイリッシュな空間で味わう3杯のカクテルコース
こんにちは、台北ナビです。
日常を抜け出してやってきた旅先で、さらなる非日常を味わいませんか?
本日ナビがご紹介するのは、そんな時空間が広がる カクテルバー「ICE-END」です。カクテルをコースで味わうという新スタイルを提案しているこちら。味わい深いカクテルの先にある驚きと発見とは……!
ご一緒に探しに出かけましょう。
新たなるカクテル・ワールドの旅へ
画像提供:ICE-END
サインもネオンもない暗闇に紛れ込んだ真っ黒な建物。思い切って暖簾をくぐると光に照らされた「ICE-END」の文字。しかしドアはロックされています。インターフォンを押すと……。
オーナーの稲葉氏
画像提供:ICE-END
出迎えてくれたのはスタッフ。まるで夢の国のアトラクションに乗り込むかのように、店に関する説明をしてくれます。これは言わば「ICE-END」のシップに乗り込むための準備。メニューは3杯のカクテルコースのみという、ほかとはちょっと違うシステムを理解したら、いざ入店です。
外の闇が続くダークな空間。長いバーカウンターの向こうに浮かび上がる棚には、グラスやカップ、それにラボラトリーのようなビーカーや食材のボックスが整然と並びます。ゼロへと向かう無機質な非日常空間――これから繰り広げられるカクテル・ワールドの旅に、否応なく期待は高まります。
「WA-SHU和酒」にさらなるエッセンスをプラスした「ICE-END」
「ICE-END」をご紹介する前に、「WA-SHU和酒」について触れておきましょう。
2013年にオープンした「WA-SHU和酒」は、日本のアルコール+自家製リキュールを使ったオリジナルカクテルが評判のバーです。オーナーの稲葉智章氏が生み出す多彩なカクテルは、日本のお酒でありながら台湾らしいテイストもありとても人気。皆さんの中にもその味のファンという方も多いのではないでしょうか。
向って左が「WA-SHU和酒」、右が「ICE-END」
そんな「WA-SHU和酒」のおとなりにオープンしたのが、本日やってきた「ICE-END」です。2店はピッタリと寄り添い合って東区の路地裏に佇みます。ベースであり起源である「WA-SHU和酒」にさらなるエッセンスをプラスしたのが「ICE-END」なのです。
カクテルに対する挑戦-―飲む順番の提案
オーナー稲葉氏のカクテル哲学が実践されている「ICE-END」では、3杯のカクテルをコースで提供、今までありそうでなかった「飲む順番」を提案しています。
レストランへ行けば、誰もが前菜からスタートして、スープ、メイン、デザート……と決まった順序で食べているはずです。デザートからスタートして前菜で終えることはまずないでしょう。しかしお酒はどうでしょうか?
バーに行けばまず飲みたいお酒をオーダー、2杯目もまた飲みたいものを頼み、その味わい、温度、香り、アルコール度数、甘さや辛さ……その組み合わせまでを深く考えることはないのでは?1、2、3杯……とグラスを重ねるのなら尚のこと。その味わいを最大限に楽しめる「順番」が重要となってきます。けれどカクテルを最高に楽しむための順番とはいったい……?それを提案してくれるのが「ICE-END」なのです。
整然と並ぶ食材。ここからリキュールが生まれます
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熱伝導率の高い錫カップがズラリ
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時間をかけて味わうカクテルのプレフィックスコース
カクテルは日替わりで10コース(1050元+10%/1コース)前後、いわゆるプリフィックススタイルで提供しています。大きくわけて、SINGLE/GROUPの2つのカテゴリーがあり、SINGLEはパイナップル、トマト、梅……など単素材から、GROUPはお茶、台湾フルーツ、海、自然……といったテーマをチョイス。すると選んだメニューに対する3つのアレンジ・カクテルが楽しめる仕掛けとなっています。
3杯を絶妙なタイミングで味わうために、とサーブ時間は90~120分を要します。ゆっくり楽しむためには時間に余裕を持って来店することをおすすめします。また、アルコールそのものの味わいを感じて欲しい、とフードの提供はありません(コース内にトルティーヤチップスは含む)。お食事を終えた後、お酒を味わうために訪れてみてください。
フレーバーが主役の異なる3杯のカクテル
本日ナビがチョイスしたのは、稲葉氏オススメの「GROUP-TEA」コース。
オーダーするとシェーカーを振るわけでもなく、まるで魔法をかけたかのように、すぐさま目の前に姿を現した黄金色の1杯……。
全てのカクテルはあらかじめ最適の調合、温度etc.で準備されているのだとか。これは寿司職人が客前で見せない下準備をしているのと同じこと。分子レベルで全てが馴染む、ベストの時間を計算しているのだそうです。稲葉氏はこれを「仕込み」と呼びます。この入念な仕込みのおかげで、「ICE-END」のカクテルは味へのブレがありません。いつ、どんな時でも常に最高の状態で味わえるように整えられているのです。
【
Cocktaisl1】OOLONG HIGH BALLwhisky×oolong
glass, 15%abv, 0℃, inject
プロローグはキリリとした味わいのウーロン・ハイボールです。台湾産ウーロン茶を使用したリキュールの風合いが、弾ける泡と共に口の中で淡く、ほんのり広がります。感覚を研ぎ澄ませて味わいたい1杯。
【
Cocktaisl2】GYOKURO MARTINIshochu×sake×dry vermouth×green tea×gyokuro
glass, 18%abv, 50℃, infuse, filter
続いて玉露マティーニ。ジンと合わせる一般的なマティーニとは異なり焼酎がベース。まろやかな口当たりで、後味に繊細で爽やかな玉露の風味が広がり、鼻の奥へ香りが抜けていく驚きの1杯です。
【Cocktaisl3】ANMITSU DIY
shochu×ice-cream×kanten×azuki×shiratama
glass, 0-25%, 0℃, ice cream, agar, gelly
ラストを飾るのは好みの組み合わせで楽しめるあんみつDIY。「カクテル=ドリンク」という概念を打ち破る、まさに「食べるカクテル」です。アルコールは玉露ゼリーの中に閉じ込めて。これは抜群の相性を持つカクテル&フードを組み合わせたなら、1+1以上のおいしさを生み出すというフードペアリングの考えから生まれたとか。組み合わせ方次第で幾通りもの味わい、香り、温度、アルコールの強さetc.が楽しめ、口にするごとに驚きの連続が。
3つのストーリーを紡ぐように味わう3ステップ――普段、自分では決して選ぶことのないウィスキーベースのお酒にアルコールの深い味わいを知り、オリジナルリキュールの繊細な香りに酔いしれ、予想だにしなかった食物⇔飲物の変化に驚いたナビ。
静かな時が流れる空間で、カクテルとじっくり向き合う時間を堪能したのでした……。
オンリー1の稲葉流カクテルがここに
舌をリセットするために提供される常温の水、アルコールの旨味を引き出す食感と塩気のトルティーヤチップス、敢えて氷を加えず作り出すカクテルの温度……至る所に稲葉氏のカクテルに対するこだわりがちりばめられています。
それらは多くを語ることはありませんが、その裏にはここでは語りきれない数々の物語が隠されています。物語の詳細は稲葉氏のカクテルを味わえば、きっと感じることができることでしょう。
以上、台北ナビでした。