旧回留のDNAを引き継ぐお店がリニューアル、日本人に人気の永康街の緑あふれる古民家風茶芸館で台湾の自然を丸ごといただきます!
以下の紹介は「半畝院子 永康館」時代のものです。今はオーナーが代わっていますが、茶藝館として利用できます。
こんにちは、台北ナビです。
今日は台湾を代表する観光スポット「永康街」にある「半畝院子」にやってまいりました。実はこのお店、日本人の間で大人気だった茶芸館「回留」の経営を引き継いだお店なんです。コンセプトやメニューはそのまま継承され、今年の10月から屋号を「半畝院子」としてリスタートしたお店を早速レポートします。
季節感を大切に……
「半畝院子」は観光客でにぎわう永康街の中ほどに位置する永康公園のすぐそばにあります。手入れが行き届いた緑いっぱいのお庭と池が特別な空間へと誘います。エントランスにはその時の二十四節季が掛かっています。ナビが訪れた時は立冬の文字でした。というのも「半畝院子」は季節感を大事にしているから。特に二十四節季は中国文化にとって大切な思想を形作る概念。お店の設えやメニュー、お茶のラインナップにもその考えを応用しています。
「回留」から経営を引き継いだのは「半畝塘グループ」です。「節気建築」の理論を実践する建築会社で、台中や新竹に革新的な建築を手がけていて、今台湾で注目されています。そのためお庭やインテリア、壁材に至るまでそのノウハウがいかんなく活かされています。
目を引く白磁のキュートな茶器
お店で取り扱う茶器は台中にある「自慢堂茶器」とコラボして作られたもので、日本人観光客にとても人気があります。すべて職人さんが手作業で絵付けをしているため、品質には絶対の自信があります。どの茶器も繊細な色使いと絵で清潔感と上品さを兼ね揃えた作品ばかり。ほかの作者の陶作品もあります。
こんな素敵な茶器で丁寧にお茶を淹れたら贅沢な時間を過ごせそう!
茶芸館で本格菜食料理!台湾をいっぺんに味わえる身体に優しいメニュー
一般に茶芸館で出される食事は簡単なメニューが多いのですが、「半畝院子」では本格的なベジタリアンが手軽に楽しめます。しかもここはベジタリアン先進国の台湾。五辛素といってネギ、ラッキョウ、ニンニク、タマネギ、ニラをお料理に使わないというオプションも選べる心遣いもあります。
メインのお料理は常時3種類から選べます、今の季節はきのこチャーハンのトリュフ風味、漬けキュウリときのこのそぼろ麺 、薬膳スープのライスヌードルが出されます。日本人にはきのこチャーハンが一番人気だそうですよ。
きのこチャーハンのトリュフ風味
ナビは一番人気のきのこチャーハンとそぼろ麺を食べてみました。
台湾のベジタリアン料理といえば、薄味ながら油を多く使っていたりするのですが、「半畝院子」のお料理は素材から出るうまみを引き出し、油もしつこさを感じさせず、味付けも薄すぎずに美味しくいただけました。そして食材はできる限りすべて自然農法、オーガニック農法で作られたものを使用しています。これって「回留」時代もそうでしたよね~。回留から引き継がれたDNAはそのままでしたよ。
また、丁寧に作られた野菜は素材の美味しさを味わうため、あまりカットせずに丸ごといただきます。新鮮な野菜であるのは見た目からも分かりますね。干し椎茸を炊いたものは味がぎゅっと濃縮されていて、トリュフに負けない存在感です。
漬けキュウリときのこのそぼろ麺
まぜそば風のきのこのそぼろ麺は、もちもちした麺としゃきしゃきレタスが食感のアクセントとなっていて、あっという間に食べ終わってしまいました。小皿には季節の野菜のピクルスが出されます。台湾では秋から初冬にかけて採れるローゼル(洛神花)は色鮮やかで、つんとすっぱさが効いています。ハイビスカスティーにして飲まれる食材なのですが、疲労回復とアンチエイジングの効果があります。
もうひとつはなんとかぼちゃのピクルス。ナビは初めて食べたのですが、生のかぼちゃをお酢でつけてあります。瓜科なので違和感はありません、フルーティだったので、食べた時はかぼちゃだとはわからなかったほどです。新しいかぼちゃの楽しみ方を発見です。
ドラゴンフルーツの花!?こだわりの薬膳スープ
右上にある黒いスープが薬膳スープです
ランチが運ばれてきて一番驚いたのが、薬膳スープです。漢方が苦手な人にも飲みやすいように、お客さんの健康を考えて、季節ごとに調合が変わるレシピで丁寧に作られています。
黒いスープの中には漢方食材から煮出したエキスが溶け込んでいます。見た目は濃そうに見えるのですが、薬膳初心者でも美味しいと感じるあっさりとした仕上がりになっています。そして楽しいのはスープの具です。日本では高級食材として食されている百合根、食感が楽しいきゅうり、そして目を引くドラゴンフルーツの花!果肉はよく見かけますが、お花はこんなギザギザした形なんですね~。ドラゴンフルーツの花を薬膳スープにしてしまうとは!!おそるおそる食べてみるとドラゴンフルーツの味はまったく感じず、淡白な味なので、スープにもよく合います。繊維質なのですがやわらかい食べ応えでした。
店長イチオシの坪林包種茶
今日使う茶器です、白磁は女心を刺激します♪
「半畝院子」では台湾各地で採れるお茶が楽しめます。オーソドックスに茶壷(急須)で淹れるものや、水出しで淹れたお茶も飲むことができます。ナビは店長の沙沙さんがオススメしてくれた入荷したばかりという包種茶をいただきます。緑茶に似た味わいの軽発酵の烏龍茶です。こちらでは一煎目はお店の方が淹れ方を教えてくれるので、初めて台湾茶を飲む人でも安心して淹れられますよ!
しかも「自慢堂」の茶器を使います、蓮の花の茶器が、お店の雰囲気に合って茶席に華を添えます。
緑茶に似た味わいの軽発酵の烏龍茶です。
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壁材の景色と茶器が調和しています。
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この道十年以上のキャリアのソニーさんにデモンストレーションをしてもらいます。台湾茶のいいところは作法を気にせずに気軽に楽しめるところ。ですが、修練を重ねた「茶人」に淹れてもらうと、味わいが変わってきます。洗練された手つきで、凛々しい姿にこちらも背筋がピッとします。
先ずは茶葉のにおいを楽しみます。若草の新鮮な香りがします。その茶葉を温めておいた茶壷(急須)に入れて、温度が上った状態の茶葉の香りも楽しみます。温度が上ったことにより、若草の香りはより際立っています。いよいよお湯を注ぎます、どんなお茶が楽しめるんでしょうか?
茶壺を温めます、このステップだけでもおいしくお茶が入るんですよ。
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お湯を注ぐ前にお茶の香りを聞きます
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お茶をお客さんに勧めるSonyさんの手が美しい。
包種茶は低発酵の烏龍茶で、日本人にも馴染みやすい緑茶のような味わいを感じます。特徴は草原に立ったときのような草の香りと、飲んだあとに口の中に花の香りが広がります。この日の包種茶は入荷したてのためか、とても緑茶に近い口当たりです、口の中にきりっとした苦さと爽やかな若草の香りが広がり、クセが無くずっと飲んでいられます。
お店の人が淹れてくれるのは一煎目のみで二煎目以降はご自分で淹れてみてくださいね、ナビは三煎目まで淹れて楽しみました。
上手く入るかドキドキっ。
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3煎淹れるとお茶はこんなに広がります。
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締めはお店自慢のスイーツで。大同磁器のかわいい小皿も登場!
最後に「回留」時代から長年多くの方から愛されてきたお店自慢のいちじくソースのタロイモケーキと、金木犀のライスケーキをいただきました。どちらもお茶と一緒にいただくには好相性の二品でした。
タロイモケーキは濃厚でクリーミーな甘さと、タロイモのもっちりとした食感が何口も口に運びたくなってしまいます。イチジクソースのすっぱさのコントラストが楽しめる一皿です。一方、金木犀の香りがほのかに香るライスケーキは見た目に反してあっさりした味わいでした。
そしてこれらふたつのスイーツの隣に添えられていたドライフルーツの味に大感動してしまったナビ。台湾の太陽の恵みをいっぱいに浴びたオーガニックのレモンとパイナップルを自然な状態で乾燥させ、台東の契約農家さんからお取り寄せしているそうです。
これ単品だけでもデザートの主役になれるおいしさです。売って欲しい……。
取り分けの小皿には日本人でもコレクターがいるほどの、大同磁器の絵付けの小皿が出されてきました。もみじと青いお花のかわいらしい小皿で、サイズはしょうゆ皿の大きさで使い勝手が◎。
以前の「回留」と変わらず、「半畝院子」も台湾の大地の恵みを存分に味わえるナチュラルな茶芸館でした。日本人スタッフも常駐しているので、中国語が話せなくても安心なのも心強いです。新生「半畝院子」で台湾の自然を味わうひと時を楽しんでみてくださいね。
以上、台北ナビ(sei)でした!