トリは圧倒の貫禄を見せた蔡依林(ジョリン・ツァイ)♪
こんにちは、台北ナビです。
1月26日、台湾発の音楽配信サービスKKBOXによる音楽アワード「KKBOX MUSIC AWARD」に今年も行ってきました!このアワードは、台湾のほか日本、香港、シンガポール、タイのKKBOXでの再生回数をもとに、前年度を代表するアーティスト「年度風雲歌手」を選出するもの。今回は、受賞外のゲストを含め全19組のアーティストが一堂に会しました。
2018年度、最も影響力があったアーティストは?
SUPER JUNIORばっかり?台湾でも韓国アーティストは鉄板の人気!
ナビは開演の2時間前にMRT「台北小巨蛋」駅に着いたのですが、広い駅構内はいつもより多くの人で溢れていました。構内広告のKKBOXの前で写真撮影している姿も見られ、早くも熱気を感じます。そして台北アリーナの周りにはファングッズを売る人たちがたくさん!売られているグッズは、見たところSUPER JUNIORのものが目立ちました。長年活躍している大物アイドルだけあって、今回最も注目を浴びているアーティストの1組です。
さて今年、おなじみの名司会者・黃子佼(Mickey Huang/ミッキー・ホワン)に替わり司会を務めたのは、彼の後輩・黃路梓茵(Lulu)。彼女も近年とても人気がある司会者ですが、初めてとなるKKBOXの進行を見事にリードしてくれました。
KKBOXアワードの最高栄誉賞に当たるのは、前年度最も影響を与えたとされる「年度風雲歌手」。複数のアーティストに授与されるのが特徴です。2018年度の「年度風雲歌手」に選ばれ登壇したアーティスト5組はこちらです!
まずはトップバッターとして一気に会場を盛り上げた蕭敬騰(Jam Hsiao/ジャム・シャオ)。アルバム『欲望反光』11曲のうち、10曲が中国語新曲ウィークランキングで計25週にわたってランクインと、実力派の名に恥じない記録をマークしての受賞です。
赤のマイクスタンドを自由自在に操り、観客にマイクを向けるなど客席の関心をぐいぐい引きつけます。「只能想念你」でホイッスルボイスばりの超高音域を出したとき、背景にイルカの映像が流れたのは狙ってのことでしょうか。(中国語でホイッスルボイスのことを海豚音(イルカの鳴き声)といいます)とにかく、期待を裏切らないパワフルなソウルボイスで「讓我為你唱情歌」「全是愛」の全3曲を会場中に響かせました。
壇上では、最上階の個室の観客に向かって「(芸能人じゃなくて)一般人なの?」と彼らしいボケをかましていましたが、ステージ裏の囲み取材では「僕の音楽を支持してくれて嬉しい。僕たちにとってファンは一番大切だから、とても感謝しています」と、真面目に受賞の喜びを語ってくれました。
2組目の受賞者は、周興哲(Eric/エリック・チョウ)。クラシックとピアノの素養を持つシンガー・ソングライターで、ドラマの楽曲提供も多く近年注目されるひとりです。緊張のためか、若干音程が安定していない部分もありましたが、過去のアルバムから「你好不好」+「以後別做朋友」+「至少我還記得」+「如果雨之後」のバラードメドレーを、ムードたっぷりに聴かせてくれました。「出演前からとても緊張していました。今の気持ちをたくさん話すことはできないけど、感謝しています」と訥々と喜びを語る姿が、とても好印象でした。
3組目は香港の莫文蔚(Karen Mok/カレン・モク)!映画『天使の涙』(古い?)など女優としても活躍する彼女は、今年でデビュー25周年。年齢はすでにアラフィフの域ですが、彼女の魅力は衰えることを知りません。ご覧ください、この見事な脚線美。フリルを重ねたピンクのミニワンピースに、彼女らしいサービス精神がうかがえます。もちろんルックスだけじゃなくて、歌も抜群。「慢慢喜歡你」+「絕」+「如果沒有你」のメドレーを、小粋なダンスとともに披露。曲ごとに見せ場を作る点は、さすが長年第一線で活躍してきたスターならではの貫禄です。
「こんなに歌がうまくて美しくてセクシーで、脚がきれいな人がいるなんて!」と、みんなの気持ちを司会者のLuluが代弁してくれました
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もうね、マッチョダンサーを従えるのも様になりすぎ
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そして、4人目は于文文(Kelly/ケリー・ユー)。台北アリーナに初登壇のニューフェイスですが、実は2018年度、最も再生回数が多かったという「體面」を引っさげて堂々の登場です。
実はナビ、今回初めてこの曲を聴いたのですが、もともと中国映画の主題歌として大ヒットし、台湾でも人気が出た模様。ハスキーな声質と柔らかな歌い方がとても心地よく、「體面」と新曲「奉陪」で会場は癒しのムードに包まれました。アメリカで演技と音楽を専攻したカナダ華僑というバッググラウンドを持つ彼女ですが、台湾語で一言「嬉しい」と受賞の喜びを語り、台湾人に大ウケの場面も。
登壇後の囲みでは「この歌で私を知り好きになってもらって嬉しい。KKBOXを受賞できて光栄です」と流暢な中国語で挨拶しました。台湾の食について聞かれると、「台湾の食べ物はその場で食べるのが一番おいしいので、今朝は永康街の牛肉麺を食べました。この後も行きたいお店でスケジュールがいっぱいです」と、美食家の一面をのぞかせました。
「年度風雲歌手」を受賞した5組目のアーティストは韓国のSUPER JUNIOR。これまでに計121週の首位を記録したSUPER JUNIORは、中国語以外の曲を歌うアーティストとして初の受賞という快挙を成し遂げました。今回は、64週首位に君臨した「BONAMANA(美人啊)」、代表曲「SORRY,SORRY」、一番新しいアルバムから「Black Suit」をセレクト。特徴的なダンスが流行した「SORRY,SORRY」のサビでは、会場中が割れるような大合唱に。さすが韓国のスーパーアイドル、メンバー同士息ピッタリのダンスパフォーマンスがかっこよすぎです。そして、台湾ドラマに主演したこともあるシウォンとドンヘは、中国語で挨拶をして会場を沸かせました。
シウォンは「意義のある賞をいただき皆さんに感謝します。台湾の皆さんとずっと一緒にいたいです」と優等生コメント。ドンヘは「ライブが終わったら電話して。ご飯一緒に食べに行こう」と茶目っ気たっぷり。コメントに個性が出ていますね。ちなみにファンに特別なネーミングがあるアイドルは少なくないですが、SUPER JUNIORの台湾人ファンは「台湾老婆(台湾人の奥さん)」と呼ばれているんですね。ナビ、今回初めて知りました。
囲み取材では、「台湾は食べ物がおいしい。特にマンゴーかき氷、パイナップル、タピオカミルクティー、全部好き!」と、台湾グルメについてコメント。特にKIKI(レストラン)は前日到着してすぐ向かったほど好きだそうですよ。「タピオカのサイズが来るたび小さくなっている気がして、それだけががっかり」と話し、司会者から「それは種類が違うんですよ」と教えられるやりとりは微笑ましかったです。
そして、われらが日本からは今を時めく乃木坂46がゲスト登壇!齋藤飛鳥、秋元真夏、高山一実、松村沙友理ら20人のメンバーが「シンクロニシティ」「ジコチューで行こう!」の2曲を披露しました。ステージいっぱいに踊る彼女たちは、銀色の妖精が舞っているようでまさに可憐の一言。「カワイイ」という言葉と感性は台湾人もよく理解しているのですが、司会のLuluも「カワイイ」を連発。Luluを筆頭に多くの観客が彼女たちのかわいさに撃ち抜かれたに違いありません。
なお、本アワードで「国民的女子ユニット」と紹介された乃木坂46は、翌日、日本の女性ユニットとして台北アリーナ初の単独ライブを開催。メンバー全員、しっかりと中国語で挨拶をしてくれました。「台北で初めてのライブ。もっと知ってもらえるよう、好きになってもらえるようにたくさんリハーサルをしたので、全員で頑張りたい」「私たち、ファンの皆さん両方にとって思い出に残るものにできたら」と意気込みを語りました。
さらに世界的な人気プロデューサー、アラン・ウォーカー(Alan Walker)もまさかの登場!KKBOXはもはやアジアを飛び出しグローバルなアワードです。地球の反対側のノルウェーから、バンドメンバーと楽器すべてを持ち込み「風雲大使」としての登壇です。ナビが通うジムでもよく流れている、超大ヒットナンバー「Faded」と「Different World」を吳卓源(Julia Wu/ジュリア・ウー)と、「The Spectre」を周興哲とのコラボレーションで魅せてくれました。ソロではバラードで会場を酔わせた周興哲が、エレクトリックなナンバーを歌うのもなかなかオツです。
吳卓源版「Faded」も、イセリン・ソルヘイムに勝るとも劣らず素晴らしい!
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EDMも意外にイケてる周興哲
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そのほか、クリエイティブな賞はこの2人!
セクシーダンサーたちもアクセント
「年度風雲歌手」のほかにもいくつか賞があります。その1つ「創作精神賞」を受賞したのは、ラップシンガーの熊仔(Kumachan/シオンザイ)。吳卓源とのコラボ曲「買榜」を最高にクールにキメてくれました。
続いて「大頭大頭」「夢中夢」「失真」のメドレーでは、エフェクトされた歌声、EDMっぽい音と重低音をマッチさせたラップがかっこいい!ちなみに昨年の金曲賞ノミネートに続く受賞となる「買榜」、なんと歌詞の中に「KKBOX」という単語があって、まさに本アワードのためのような選曲なんです。囲み取材では「貴重な機会なので心を込めて準備をした」と話していました。
廷廷(TingTing/ティンティン)こと蕭秉治(Xiao Bing Chih)は、人気バンドMP魔幻力量(Magic Power)の元リードボーカル。思い起こせば3年前、MPのメンバー全員そろっての最後の舞台がこのKKBOXでした(涙)。今回ソロとしては初登壇の彼は、「ETtoday星光雲KKBOX唱作精神賞」を受賞。ピアノの弾き語りからスタートした「我好想好想你」では、繊細なメロディーと優しい歌い方が、イケイケだったMP時代とギャップがありすぎて、最初は誰だからわからなかったほど。
作詞作曲も手がけたというこの曲、とってもいい曲なのですが、廷廷はこういう方向性になったんだなーと一抹の寂しさを感じていたところ、2曲目にはMPの代表曲「射手」のイントロが!!力強いボーカルとともに、お決まりの「弓を射る」ダンスを披露。廷廷、わかってるぅ、やっぱりカッコいい~! 全くスタイルが違う2曲で魅せてくれた廷廷に、再びシビれました。今年はライブ、2枚目のアルバムリリースも予定しているそう。新生廷廷、ソロでも頑張ってほしいです!
新人賞「年度最佳新人」を受賞したのは、4人組のバンド茄子蛋(EggPlantEgg)。2018年度の金曲獎でも台湾語アルバム賞と新人賞を受賞するなど、昨年大きく飛躍したバンドです。台湾では近年、台湾語ロックブームでいろいろな人が台湾語の歌をリリースしていますが、そんなムーブメントを象徴しています。ボーカル阿斌(アービン)の少しかすれ気味の声でつむがれる「浪流連」「浪子回頭」はなんとも言えない哀愁があってクセになりそう。台湾語ワールド、カモーン!
アワードを盛り上げたゲストたち
そのほか、受賞した以外のゲストの顔ぶれも、毎年豪華で注目度が高いです。受賞者に勝るとも劣らない活躍をした人ばかり。
R&Bを効かせた独特な声質が魅力の劉艾立(Erika/エリカ)は、昨年末にセカンドアルバムをリリースしたばかり。「後期制作に力を入れたので自分の子どものよう」と話すアルバムから、タイトル同名の「天鵝說」を安定の歌唱力で聴かせてくれました。2度目の出場となる彼女ですが、今後コラボしてみたい人は蔡依林(Jolin Tsai/ジョリン・ツァイ)だそうです。遠くない未来、2人のコラボが実現するかもしれないですね。
スイート教祖(甜心教主)といわれた王心凌(Cyndi Wang/シンディ・ワン)は、これまでのかわいらしいスタイルからガラリとイメージを変えてきました。弾けるようなポップスではなく、恋愛の葛藤をつづった新曲バラード「大眠」を披露。
マニッシュな装いがかっこいい
オルタナディブシンガーの江美琪(Maggie chiang/ジャン・メイチー)は、グレーのヘアに黒のマキシを合わせシックなモノトーンの衣装で登場。外見はどちらかというとクールなのに、つむがれる歌声はスイートでギャップ萌えします。心に染み渡るような「家珍」で、ナビはなぜか泣きたいような不思議に心地に。
「台北アリーナ!」という掛け声でスタートした八三夭(The Last Day of Summer 831/バーサンヤオ)は、香港のビッグスター鄭秀文(Sammi Cheng/サミー・チェン)のヒット曲「眉飛色舞」をアレンジした「眉飛色舞PLUS」、「致青春」など3曲のメドレーを熱唱。客席の間に延びたステージを縦横無尽にかけまわったりと、盛り上げるのがうま~い!「一事無成的偉大」は、鉄柵、学校の窓、さまざまな文字など、曲の内容を反映した反骨精神あふれる映像がバックに流れ、強烈な印象を残しました。八三夭は、昨年のアリーナライブは秒殺ソールドアウトで追加公演、3月には高雄アリーナ公演を控えた、近年非常に人気のあるバンドです。これからの活躍が楽しみですね!
畢書盡は元気に見えるようアイラインをいれるそうですが、功を奏して目力すごいです
待っていました!ナビイチオシ、KKBOX常連の畢書盡(Bii)。彼の魅力は、美しすぎるルックスが邪魔なくらい、深みのある独特の声、卓越した歌唱力です。今回は「Nothing at all」「let’s drunk」を披露したのですが、曲の終盤に高音シャウトを轟かせ喝采を浴びました。スリムな体から出すこの声量、ただただ脱帽です。ちなみに彼は台北・高雄両アリーナを制覇済み、チケットも秒殺でソールドアウトするほどの人気アーティスト。先日は日本でもミニライブをしたそうで、今後日本での活躍も増えそうで楽しみです。
昨年の「年度風雲歌手」に選ばれた風雲児・謝和弦(R-chord)は、今年はゲストとして再び会場を盛り上げてくれました。実は彼、登壇直前にアリーナの最後列に立っていたナビの前を横切っていったんです。と思ったら、あれよあれよという間に客席の間から登場。その後も一人ひとり握手したりファンと交流する姿が印象的でした。パフォーマンス自体はコントロール不能の反逆児のように見えるのですが、ファンに対する距離感の近さがうかがえます。「像水一樣」と「備胎」の2曲、圧巻の熱唱でした。
Tシャツを脱ぐと背中に十字架が! これは自分を戒めるためのタトゥーだそうです
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意外にお茶目な一面も
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今年の司会者が、なぜいつもと同じ黃子佼じゃなかったのか?それは今回、進行役ではなくパフォーマンスする側として参加したからだったんですね!デビュー30年で、念願のファーストソロアルバム『Live&Life』をリリースした彼は、アルバムから「渴望」を披露。なんと作曲はCHAGE and ASKAのASKAによるもの。いつもはユーモアを交えながらさくさく進行する彼ですが、今日は180度イメージを変えてシリアスモード。甘いバラードで観客を驚かせました。
今年のトリはスペシャルゲストの蔡依林!今年でデビュー20周年の彼女は、女性トップシンガーとしてほかの追随を許さず、第一線で活躍してきました。非常に盛り上がったSUPER JUNIOR直後の登場だったのですが、彼らに負けないダンスパフォーマンスで台湾の底力をアピール。初公開の振り付けという「甜秘密」「腦公」と、「惡之必要」、新曲「怪美的」を披露し、会場は最高にヒートアップ。熱狂の最中、3時間半のステージの幕を閉じました。
パンツスーツがキマる、ダンスで鍛えられたしなやかボディー。ファッションのテーマは、「油絵から出てきた人」だとか
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至近距離で見ると、スターのオーラが出ています
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台湾音楽の魅力は唯一無二の多様性
台湾は海外の文化を柔軟に取り入れる土壌があり、音楽も例外ではありません。日本はもちろんのこと、昨今は韓流が席巻、また劉艾立のようなABC、于文文など海外育ちの華人も多く活躍しています。一方で台湾語曲のブーム、原住民音楽の発展など台湾アイデンティティーを追求する高まりもあり、その多種多様さこそが台湾音楽の魅力だといえるでしょう。今後ますます盛り上がりを見せそうな台湾音楽シーン、注目のアーティスト、旬の曲が詰まったKKBOXアワードは、その方向性の一端を感じることができます。2019年はどんなアーティストが出てどんな名曲が生まれるのか、引き続き目が離せません。
以上、台北ナビ(二階堂 里美)でした。
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2019-03-12