料理研究家小河知惠子(オガワチエコ)・おうちで本格台湾料理『第十四回目・蘿蔔糕』

シンプルだけれど確かな美味しさ。台湾人の朝食として愛される一品です

こんにちは、台北ナビで「おうちで本格台湾料理」を連載中の料理研究家、小河知惠子(オガワチエコ)です。

台湾では春節が明け、寒さもだんだんと和らいでくる頃でしょうか? 日本はまだまだ寒く、春の訪れはもう少し先になりそうです。 この時期に美味しい食材のひとつに、大根があります。特に今年は暖冬の影響もあり、例年よりもお手頃なので、食卓に並ぶ機会も多いかもしれません。

日本と同じように、大根は台湾でもよく食べられています。代表的な料理といえば「蘿蔔糕(ルオーボーガオ)」でしょう。日本では大根餅と呼ばれていますね。飲茶などでも人気のある料理です。

香港式と台湾式

この大根餅、実は香港式のものと台湾式のものがあります。

香港式は甘いソーセージや椎茸などが入って具沢山。それに対して、台湾式のものはごくシンプルな材料で作られています。

使用する米の違い

現在、蘿蔔糕のレシピとして出回っているものは、米粉を使うものがほとんどなのですが、日本で入手できる米粉はうるち米でできているものが大半です。 でも、台湾の蘿蔔糕は「在来米」というインディカ米を使用しているので、日本の米粉と比べると、粘りが少なくさらっとしています。

なので今回は、台湾のものと遜色がないように、同じくインディカ米であるタイ米を使ったレシピをご紹介しましょう。

まずは材料

大根……300g
タイ米……150g
水……1カップ
干しエビ……10g
玉ねぎ……30g
サラダ油……大さじ2
塩……小さじ1/2
白胡椒……少々
砂糖……小さじ1/3

蘿蔔糕の作り方

① タイ米は3〜4時間、水につけておきます。

② 干しエビは水で洗って7ミリ位に切ります。

③ 玉ねぎも同じく7ミリ位に切ります。

台湾ではエシャロットを使いますが、日本では入手しにくいので玉ねぎで代用します。

④ 大根の皮をむいて細切りにします。

私は沖縄で買ったシリシリ器を使いますが、包丁で細く切ってもかまいません。このシリシリ器、台湾人家庭のキッチンにはだいたいあります。日本でも、スライサーと一緒になっているものなど見かけますよね。


⑤ 米をつけておいた水を捨てて、新しい水を加える。

この後使うブレンダーやミキサーに直接入れても構いません。

⑥ ブレンダーやミキサーでよく撹拌します。

米の粒が1mmくらいになるまでよく攪拌してください。

⑦ 大きめのボウルに注ぎ入れます。

⑧ フライパンにサラダ油を入れて熱し、玉ねぎを炒めます。

⑨ 玉ねぎが透き通ってきたら干しエビを加えて炒めます。

⑩ 干しエビの香りが出てきたら、④の大根を加えて炒め、すぐに水を適量入れて強火で炒め続けます。

水を入れることで大根に火が通りやすくなります。


⑪ 塩、胡椒、砂糖を加えます。

⑫ 大根が煮えたら、まず⑦のボウルをよく掻き混ぜてから、中に入れます。

⑬ さらによく混ぜて米の粉が沈殿しないようにします。

⑭ 湯煎をして混ぜ、のり状にします。

こうすることで型に入れてからの沈殿を防ぎます。直接鍋に入れて混ぜると焦げるので、必ず湯煎で行ってください。

⑮ 型の内側全体に油を塗ってから、ケーキ型に流します。

流し込んで、自然に平らになるくらいの固さがベスト!表面が滑らかに仕上がります。

⑯ 蒸し器の蓋にさらしを巻いて、水滴が落ちないようにし、1時間10分くらい蒸します。

途中で水がなくなったら足してください。

⑰ 蒸しあがったら、3時間くらいかけて冷まし、型から外す。

一晩置いておいてもかまいません。

⑱ 1センチ幅くらいにスライスして出来上がり。

生地がモチモチして切りにくいので、その都度、包丁を水で濡らしてから切るといいでしょう。

蘿蔔糕のできあがり!

もちっとしているのに、ふんわり柔らかく、大根とインディカ米の香りが優しく鼻に抜けます。干しエビからも良いだしが出ていて、いくつでも食べられてしまいそう。

時間が経った場合は、両面をソテーしてこんがり焼いて食べます。 こちらは朝ごはん屋さんなどでおなじみのスタイルですね。外側はカリッとしていて、中は柔らかいのが特徴で、癖になる食感。こちらもぜひお試しください。

たっぷり大根が入っているのに、あまり野菜を感じさせないのも特徴です。野菜が苦手な方や小さいお子さんも、喜んで食べてくれるでしょう。 このほかにも、天ぷらのように油で揚げる食べ方もあります。

自家製タレでさらに美味しく

味が薄いと感じる場合には、タレをかけましょう。

台湾では、醤油膏というとろみのついたみたらしのようなお醤油をかけるのが定番ですが、日本では入手しにくいので、手作りしてみましょう。
醤油大さじ3、砂糖大さじ1と小さじ1、水大さじ2、片栗粉小さじ1を混ぜて、とろみがつくまでレンジで加熱すると簡単にできます。

台湾を訪れた際、醤油膏をお土産に買って帰るのも良いですね。
あとは甜辣醬という唐辛子入りケチャップもよく合うので、一緒に買ってもいいでしょう。

蘿蔔糕というと私は、台湾の朝ごはん屋さんで食べることが多いです。美而美などのチェーンの朝ごはん屋さんで食べても他と遜色なく美味しいので、慌ただしい朝はよく利用していました。
フライト時間が早い日の朝、ホテル近くのチェーンでささっと食べてもいいかもしれませんね。

蘿蔔糕は、冷蔵庫で保存が可能です。さっと切って焼くだけで食べられるので、忙しい日の朝食にもピッタリ。 この季節、朝はまだまだお布団から出るのが辛いですが、台湾式大根餅が待っていると思えば気分も違ってくるはず。

次回も想像しただけでワクワクし、楽しくなるような台湾料理をご紹介します。

撮影
材料・作り方1〜16まで 富田梨香
作り方17、18、完成写真 小河知惠子

料理と文:小河知惠子(オガワチエコ)

料理研究家・台湾料理研究家。

雑誌やテレビ、書籍などのレシピ作りや料理コラム等で活躍中。著書に「純愛ごはん」(セブン&アイ出版)、「おにぎらずの本」(泰文堂)、「スティックオープンサンドの本」(講談社)など。 初めての台湾旅行で、食材の豊かさと豪快な調理に魅せられる。 以来、何度も台湾に足を運び、2017年、現地の料理学校で台湾料理を習得。 2歳男児の母。

小河知惠子(オガワチエコ) ツイッター
https://twitter.com/ogawachieco

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2019-02-20

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