台南後壁「菁寮」で田舎の暮らしぶりを知るぶらり旅!

素朴な田園風景が広がる懐かしさを感じる場所でリフレッシュ!!

こんにちは、台北ナビです。

以前にもナビで紹介したことのある台南市後壁区にある「菁寮」という集落に再び行ってきました!特段大人気の観光スポットがあるわけではなく、ただただ素朴な田園風景が広がる場所なのですが、台湾西部の田舎暮らしの様子が垣間見られる癒しの空間が広がっています。都会の喧騒から少し離れてリフレッシュできますよ!それでは行ってきましょう!

まるで集落全体が博物館のような時代の変化を感じさせる街並み

台南後壁「菁寮」で田舎の暮らしぶりを知るぶらり旅! 田舎 リフレッシュ田園風景 台南後壁「菁寮」で田舎の暮らしぶりを知るぶらり旅! 田舎 リフレッシュ田園風景 台南後壁「菁寮」で田舎の暮らしぶりを知るぶらり旅! 田舎 リフレッシュ田園風景
集落のシンボルとなっている教会

集落のシンボルとなっている教会


菁寮地区は台南市と嘉義県の境界を流れる八掌渓の南側に位置しています。台鉄「台南」駅からだと、電車で後壁まで来て、それからバスに乗り換えて約1時間半。高鉄(台湾新幹線)「嘉義」駅からなら、タクシーで約20分の距離にあります。正直に言うと、交通は決して便利な場所ではありません。だからこそ、観光客が少なく、ディープな旅が楽しめるのです。

八掌渓を下ると、かつてこの地域の中心的役割を果たしていて塩水地区にたどり着くため、清朝の時代から、染料の材料となるマメ科植物の「木藍」が栽培されたほか、砂糖の原料となる「サトウキビ」の栽培が行われて発展しました。とはいえ、その当時は市場経済が成熟していなかったので、みんなが等しく貧しく、質素な暮らしを送っていました。
日本統治時代から残る小学校の講堂

日本統治時代から残る小学校の講堂


日本統治時代になると、八田与一が建設に尽力した嘉南大圳によって安定した農業用水が確保できるようになり、菁寮地区は黄金期を迎えます。ただ、その繁栄は長く続かず、戦後に産業の基盤が農業から工業に転換すると人口が流出。日本統治時代に建設された縦貫鉄道も本来栄えていた地域より東側に建設されていたために衰退に拍車がかかります。一時期は400人が収容できる映画館がありましたが、それも1970年代には閉館となり、かつての賑わいはすっかり失われてしまいました。

そんな菁寮地区が再び脚光を浴びるようになるのは2004年のこと。台湾の農村風景を映したドキュメンタリー番組が制作され、そのロケ地がまさにこの菁寮地区だったのです。そして2006年には番組に出演した農家が作った米が台湾で一番おいしいお米「全国冠軍米」に選ばれ、菁寮地区の名前が全国的に知れ渡り、今では「おいしいお米ができる田舎」ということで知る人ぞ知る観光地に成長しました。

まずは腹ごしらえ 台南の食材をふんだんに使った料理を堪能

中庭がある四合院造りの建物 中庭がある四合院造りの建物

中庭がある四合院造りの建物

朝を台南市内でゆっくりと過ごしたナビ一行。菁寮に着いた時にはもうお昼時になっていました。折角なので台南の食材を使った料理をいただきます。

やってきたのは「墨林文物館」という工房。元々は日本統治時代に開業した診療所だった古い建物を利用したもので、藍染やわら細工のDIYが出来る場所です。スタッフはいずれも菁寮地区で暮らす奥様方で、自分たちが暮らす地域の伝統文化を残して、たくさんの人たちに広めたいと努力している人たちです。団体で来訪した時は、事前予約で郷土料理が食べられるんです。
鮮やかな黄色の食卓

鮮やかな黄色の食卓

台湾の、特に新鮮な野菜を食べる時に思うのは、とっても甘いということ。日本でもお馴染みの食材もありますが、口に入れた時の風味が違うように感じられます。南国の大地、太陽の恵みをしっかり受けて育った食材だからこそなのでしょうか。ぜひ皆さんもご自身の舌で美味しさを確かめてくださいね。
ピーナツ粉を溶かした液体を茶碗蒸しの要領で蒸し上げた花生粿。表面を焼いたものとそのままのもの ピーナツ粉を溶かした液体を茶碗蒸しの要領で蒸し上げた花生粿。表面を焼いたものとそのままのもの

ピーナツ粉を溶かした液体を茶碗蒸しの要領で蒸し上げた花生粿。表面を焼いたものとそのままのもの

ブロッコリー、ミニコーン、マコモをサッと茹でた温野菜サラダ

ブロッコリー、ミニコーン、マコモをサッと茹でた温野菜サラダ

ナス、インゲン、カボチャの台湾風天ぷら

ナス、インゲン、カボチャの台湾風天ぷら

パイナップルとゴーヤ、鶏肉をじっくり煮込んだスープ

パイナップルとゴーヤ、鶏肉をじっくり煮込んだスープ

モチモチの食感が美味しいおこわ モチモチの食感が美味しいおこわ

モチモチの食感が美味しいおこわ


食事が済んだところで、続いて藍染のDIYに挑戦です。今回は手ぬぐいの染色にチャレンジします。アイスキャンディーの棒や蝋を使って色が染まらないようにする方法もありますが、今回は手軽にできる輪ゴムを使った方法で進めていきます。
正方形の手ぬぐいを三角形に折ったら、、、 正方形の手ぬぐいを三角形に折ったら、、、 正方形の手ぬぐいを三角形に折ったら、、、

正方形の手ぬぐいを三角形に折ったら、、、

輪ゴムで思い思いに縛っていきます

輪ゴムで思い思いに縛っていきます

縛り終わったら、一度水で濡らします

縛り終わったら、一度水で濡らします

そして大きな甕に入った紺色の「木藍」の液体に浸けて、しゃぶしゃぶします。この液体、墨汁のようにちょっとヌルヌルしていて、刺激臭がします。おしゃべりしながらしゃぶしゃぶしていたら、咳が止まらなくなる事態に。でも実はこの液体、以前は「赤チン」のように消毒液として使われていたことがあるそう。
たくさん浮かんでいる泡をよけてしゃぶしゃぶ。5分位したら外に出て風に当てます。これを4回繰り返します たくさん浮かんでいる泡をよけてしゃぶしゃぶ。5分位したら外に出て風に当てます。これを4回繰り返します たくさん浮かんでいる泡をよけてしゃぶしゃぶ。5分位したら外に出て風に当てます。これを4回繰り返します

たくさん浮かんでいる泡をよけてしゃぶしゃぶ。5分位したら外に出て風に当てます。これを4回繰り返します

で、最後に水洗いして完成したのがこちらー!じゃじゃーん!

手軽にできて、いい思い出作りになります。家族連れや仲良しグループなら盛り上がること間違いありません!
なぜかレントゲン写真を撮ったようなネコの姿が浮かび上がりました。こんな不思議な作品が出来上がるのがDIYの楽しいところ なぜかレントゲン写真を撮ったようなネコの姿が浮かび上がりました。こんな不思議な作品が出来上がるのがDIYの楽しいところ

なぜかレントゲン写真を撮ったようなネコの姿が浮かび上がりました。こんな不思議な作品が出来上がるのがDIYの楽しいところ

藍染に関する解説や作品の展示のほか、アクセサリーなど商品の販売も行っています 藍染に関する解説や作品の展示のほか、アクセサリーなど商品の販売も行っています 藍染に関する解説や作品の展示のほか、アクセサリーなど商品の販売も行っています

藍染に関する解説や作品の展示のほか、アクセサリーなど商品の販売も行っています

倉庫になっていますが、畳敷きの部屋が!

倉庫になっていますが、畳敷きの部屋が!

診療室だった部屋は展示室になっています。貴重な資料として台北医学大学に貸し出している器具もあるんだとか

診療室だった部屋は展示室になっています。貴重な資料として台北医学大学に貸し出している器具もあるんだとか

大正時代製造の金庫。ダイヤル部分が数字ではなくイロハで書かれていました

大正時代製造の金庫。ダイヤル部分が数字ではなくイロハで書かれていました

街をぶらぶらしましょう

菁寮の老街は過去の時代にタイムスリップしたかのような懐かしさが漂います。決して距離の長い老街ではありませんが以前紹介したお店以外にも、魅力的なお店があります。

【建成鉛桶店】

創業60年近く経った亜鉛鉄板(トタン)用具のお店。本来は廖李雪さんがご主人と経営していたのですが、ご主人が1982年にお亡くなりになって以降、一人で切り盛りしています。他社との競合にも負けず、丁寧な商品作りにこだわり、長年使い続ける熱心なファンから愛用され続けています。

台南市後壁區墨林里菁寮323之4號
(06)662-2383
味わい深い手作り感満載のジョウロ

味わい深い手作り感満載のジョウロ

新しい商品作りにも挑戦していて、お洒落な時計もありました

新しい商品作りにも挑戦していて、お洒落な時計もありました

農薬散布に使う器具も亜鉛鉄板でできているんですね。メンテナンスも受け付けています

農薬散布に使う器具も亜鉛鉄板でできているんですね。メンテナンスも受け付けています



【臻好軒蛋糕麵包坊】

街歩きの際にたまたま通りかかった移動販売のパン屋さん。塩水を出発し、直線距離で約15キロ離れた白河までパンを売っています。種類はざっと数えるだけでも30~40種類あり、実際に買ってみると、モチモチでとっても美味。あまり遠くに出歩けない高齢者に人気なんだとか。

【古早味玩具柑仔店】

都市部ではすっかり見なくなった駄菓子屋さん。「日本にもあった」とか、「台湾っぽい」とか言いながら陳列棚を眺めるのは楽しいものです。小さい頃、硬貨を握り締めて駄菓子屋に走った思い出が蘇ってきて温かい気持ちになりました。お菓子の数をお店のおじちゃんとのんびり数を数えながらお金を払う感じも、ゆっくりと時間が流れている気がして楽しいものです。
見ているだけでも楽しいカラフルなお菓子。おもちゃも売っています 見ているだけでも楽しいカラフルなお菓子。おもちゃも売っています 見ているだけでも楽しいカラフルなお菓子。おもちゃも売っています

見ているだけでも楽しいカラフルなお菓子。おもちゃも売っています


そして、建築から250年が経つ「阮家古厝」を通りかかると、思いがけないサプライズが。以前の訪問では、かつて漢方薬屋だった道路に面した建物しか見せてもらえなかったのですが、今回はその建物の裏にある三合院も見せてもらえました!
映画の撮影で使われる漢方薬屋さんの部分は、本当に趣があります 映画の撮影で使われる漢方薬屋さんの部分は、本当に趣があります 映画の撮影で使われる漢方薬屋さんの部分は、本当に趣があります

映画の撮影で使われる漢方薬屋さんの部分は、本当に趣があります

今でも住居として使われているこの三合院ですが、管理している阮子星さんによると、今後は中庭部分をカフェにして憩いの場にしたいんだとか。中庭にはかつて井戸があり、二二八事件の時には家で保有していた武器を井戸に投げ入れて埋めたという言い伝えが残っていて、カフェにする際にはその真偽を確かめたいんだそう。もしかしたらお宝が出てくるかもしれません。

悪戦苦闘!わら細工に挑戦!

台南後壁「菁寮」で田舎の暮らしぶりを知るぶらり旅! 田舎 リフレッシュ田園風景 台南後壁「菁寮」で田舎の暮らしぶりを知るぶらり旅! 田舎 リフレッシュ田園風景

さて、続いてやってきたのは、ごくごく普通の民家。といってもやはり元々は三合院だった古民家です。菁寮にいると、台北では価値のある建物ばかりがさも当然のように残っていて、不思議な感覚に陥ります。今回はここで、わら細工に挑戦!コースターを作ることになりました。

この民家がちょっと違うのは、コンクリートの地面と丸い岩が転がった作業場があること。実はここで、丸いわらを平べったくして、わら細工に使う材料を作るんです。

実際に作業をしてもらいました。長い杖を使って岩の上に乗り、巧みに前後へ歩きます。実際にナビも体験してみたのですが、岩を曲がらないように前後に転がすのは実はとっても難しいのです。右足と左足にかかるからだの重みを均等にする必要があるほか、一定のスピードにすることがそもそも難しく、危うく転げ落ちてしまいそうになる一幕も。

そう考えると、お手本を見せてくれたおばちゃんは姿勢がとってもよく、背がピーンと張っていました。
簡単そうに見えて難しいのです 簡単そうに見えて難しいのです 簡単そうに見えて難しいのです

簡単そうに見えて難しいのです

わらが平べったくなったら、テーブルの上に並べましょう。まず、縦方向に適量並べ、横から1本ずつ差し込むという方法で編んでいきます。機織りとほぼ変わりません。

ただ、きちんとした模様を作るために、工程表を見ながら作業を進めるのですが、これが目にくるんです。編み間違えたら、その後どんなに進んでいたとしても全部取り外して間違えたところからやり直し。

これが意外と神経を衰弱させるもので、編み終えた時には疲労困憊でぐったり。一言もしゃべりたくなくなるほど疲れてしまいました。これでカゴやカバンを作る人は本当に凄いなぁと思います。
こうやって差し込みます こうやって差し込みます

こうやって差し込みます

このくらいの大きさになったら十分

このくらいの大きさになったら十分

縁の部分を丸く切り取って花柄の布を縫い付ければ完成です

縁の部分を丸く切り取って花柄の布を縫い付ければ完成です

宿泊は地元食材を使った創作料理が自慢の民宿で

せっかく菁寮まで来たのなら、1泊するのはいかがですか?菁寮にある「穀意郷居」は、小さい頃に台南に引っ越してきた香港出身の家曼さんが作る地元食材をふんだんに使った料理が食べられます。家曼さんは台湾料理はもとより、東南アジアや欧米の料理など、たくさんのジャンルを独学で研究をしていて、出される料理は工夫が凝らされたものばかり。

連泊する場合も、メニューが単調にならないように、しっかりと考えられて出されるほか、宿泊客の好みに合わせてアレンジするので、毎食が楽しみになるはずです。宿泊客がいない場合は食事だけの利用も可能。その際は必ず事前予約をして訪問してくださいね。
白身魚の煮付け。新鮮だからか、台湾の魚料理にありがちな生臭さが一切なく、甘い醤油ダレにマッチして美味しいです

白身魚の煮付け。新鮮だからか、台湾の魚料理にありがちな生臭さが一切なく、甘い醤油ダレにマッチして美味しいです

柔らかくて甘い大同電鍋で作ったキャベツの煮込み

柔らかくて甘い大同電鍋で作ったキャベツの煮込み

紫米のかぼちゃご飯

紫米のかぼちゃご飯

茹でただけのベビーコーン。そのままでも美味しいですが、塩と胡椒をつけてもOK

茹でただけのベビーコーン。そのままでも美味しいですが、塩と胡椒をつけてもOK



【雙人套房】

ダブルベッドの2人部屋です。シングルソファと2台と、シャワーとトイレが付いている標準的な部屋です。

【雙人雅房】

シングルベッド2台の2人部屋です。シャワー、トイレは共同です。

民宿のすぐ近くには、田園が広がっています。何もない場所なのですが、烏山頭ダムから流れてきた嘉南大圳の水路を眺めながら夕暮れ時にふらふらっと散歩すると、意外なほど心が穏やかになります。
水路やため池の脇には柵がないので歩く際は気をつけて 水路やため池の脇には柵がないので歩く際は気をつけて

水路やため池の脇には柵がないので歩く際は気をつけて

絵になる風景

絵になる風景

巨大なヘチマ

巨大なヘチマ

ローゼルが植えられていました

ローゼルが植えられていました

刻々と変化する光、そよぐ風、遠くを走る新幹線、台湾の田舎の風景がここにありました

刻々と変化する光、そよぐ風、遠くを走る新幹線、台湾の田舎の風景がここにありました

ディープな台湾の田舎が楽しめる場所、それが菁寮。派手な観光スポットがあるわけではないですが、だからこそ、自分の歩調でゆっくりと、自由に街歩きができ、地元の人たちと触れ合えます。

最近では台湾リピーターの間で南部旅行が人気になっています。ぜひ菁寮にも足を伸ばしてくださいね。

以上台北ナビがお伝えしました!
関連タグ:田舎リフレッシュ田園風景

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2019-01-28

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