美肌の湯に浸かって健康に!タイヤル族の文化にも触れ合えます
こんにちは、台北ナビです。
台湾は日本に負けない温泉大国だということはご存知ですか?2018年現在、大規模な噴火活動を行っている台湾の火山はありませんが、日本と同様に「環太平洋火山帯」に位置しているため、台湾の地中深くにはマグマが活発な活動を続けていて、台湾各地で多くの温泉が湧き出ています。台湾の旅行で温泉を楽しみにしている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
温泉地は北投、烏来、礁渓など、北部や東部に多いイメージですが、もちろん中南部にもあります!日本の星野リゾートが宿泊施設を建設し、注目が集まる台中市和平区の谷關溫泉もその一つ。今回は、美肌の湯が楽しめるこの谷關溫泉周辺で遊んできましたので、その魅力をご紹介しますよ~!
谷關溫泉とは……
台鉄「台中」駅から自動車で約1時間30分の山あいにあり、周辺地域は台湾原住民のタイヤル族が多く暮らす場所です。温泉の存在はタイヤル族によって古くから知られていましたが、その温泉が利用され、湯治場として発展するのは日本統治時代になってから。当時は「明治温泉」と呼ばれていました。炭酸水素塩泉で、美肌効果があるほか、子宝にも恵まれるという言い伝えがあります。
戦後は台中と花蓮を結ぶ幹線道路「中部横貫公路」が建設されて台湾の東西を結ぶ大動脈の一部となり、保養地として賑わいましたが、1999年に発生した台湾大地震でその状況は一変します。谷關溫泉があった当時の台中県和平郷では、郷内にあった建物の32%が何かしらの損傷を受けたほか、各地で土石流が発生し、道路は寸断され、集落を押し流されるなどの壊滅的な被害を受けたのでした。人的被害も甚大で、被災者は心と体に大きな傷を負うことになったのです。ただ、その後積極的な復興が進められ、今では台中市街地から気軽に来られる温泉地として再び脚光を浴びるまでに立ち直りました。
谷關溫泉に向かう途中も要チェックスポットがあります
なんとも古めかしい外観のお店
台中市街から谷關へは台湾省道8号線をひたすら登って行くことになるのですが、その途中にも見逃したくないスポットがありました。それは和平区と新社区の境界に近い白冷地区。台湾電力の水力発電所があり、集落となっている場所です。
まずご紹介するのは、その発電所の購買部が販売するアイスキャンディーのお店。
新北市の烏来にある発電所もそうなのですが、台湾電力の発電所ではアイスキャンディーを売っているところがあり、どこも隠れた名物になっているんです。
その理由は、水力発電用のダムを建設する際、コンクリートを作るために冷却用の氷が大量に必要となり、建設現場に製氷機が運ばれたことにあります。発電所の完成後はお役御免となったのですが、従業員へのサービスの一環としてアイスキャンディーが作られ、それが後に一般にも販売されるようになったんです。
ダムのある場所は基本的に水が清らかな場所が多く、水そのものが美味しいのと、従業員に提供するため、使う食材の品質が高いことが特徴。アイスキャンディーが美味しいのも納得です。休日には遠方から箱単位で買い付けに来る人たちもいるんだとか。
さて、前置きが長くなりましたが、メニューを見て分かるとおり、フレーバーが豊富です。折角ここに来たのなら、試していただきたい味があります。それは「五葉松」と呼ばれるフレーバー。 日本語では「ニイタカトウヒ」。台湾の中央山脈の標高300~2000メートル地点にしか自生しないといわれている松で、谷關の名物です。そんな名物なら試してみなきゃもったいないですよね!
天然の緑色をしています
で、食べてみると、青汁のような青臭さが口いっぱいに広まります。それでも、ハチミツが入っていてほのかな甘みとまろやかさが加わっています。健康的で、好きな人は好きな味かもしれません。ナビは「多分次はない」と思いましたが……。
白冷冰棒台中市和平區天輪里東關路二段91號
(04)2594 3615
6~9月頃 8:00~18:00
その他の季節 8:00~17:00
そして、アイスキャンディーのお店から歩いて約5分の場所にあるのが、50年以上販売され続ける特製肉まん「白冷肉包」のお店。
ここの肉まんは、交通が不便な時代、発電所の従業員や中部横貫公路の建設作業員らがお弁当代わりに買って毎日の活力にしていたというエピソードがあります。
ほかほかの肉まんは黒胡椒がピリリと効いたしっかり味。標高の高い場所での作業だと冷え込む日もあることから、体が温まるようにかつては胡椒の量が多く、もっと辛かったそう。台湾大地震とその後の道路建設でバイパスができると、売上げは減少しましたが、地元の黒豚や自家製ラード、台湾産の高品質の小麦粉を使った確かな味は、谷關溫泉の復興とともにお客さんを取り戻し、現在では週末になると遠方から買いに来る人たちで行列ができる人気で、かつて食べた味を懐かしむ人もいるそう。 小腹がすいた時にピッタリです。
白冷肉包
台中市和平區東關路二段42號
(04)2594-1063
8:00~16:00
火曜定休
無料でドクターフィッシュが楽しめる溫泉文化館
さらに車を走らせること約20分で谷關溫泉に到着。交通部観光局の叁山國家風景區管理處のビジターセンター(温泉文化館)があります。
ここでは、谷關溫泉周辺の文化や歴史、特産品の紹介のほか、台湾各地の温泉の違いや欧米や東南アジアにある温泉の紹介や解説を行っていて、学べる空間になっています。
ドクターフィッシュがいるので水温は30度前後と低め。体を温めるというのは難しいですが、健康になれます
そして、一番のオススメは屋外に設けられた足湯スペース。足湯と言っても普通の足湯ではありません。角質を食べてくれるドクターフィッシュがいる足湯なんです。しかも利用無料!これはとっても嬉しいアトラクションです。
ドクターフィッシュの効果は意外にも大きく、皮膚の代謝促進に繋がるほか、アトピーや乾癬の症状改善に寄与し、足をつつかれることで起きる振動によるマッサージ効果とそもそも魚と触れ合うというヒーリングが期待できるというから驚きです。(もちろん効果には個人差があります)
溫泉文化館
臺中市和平區博愛里東關路一段102號
(04)2595-1496
8:30~17:00
谷關溫泉に宿泊 温泉に浸かれるお風呂でリラックス
さて、待望の温泉宿に参りましょう。今回宿泊するのは神木谷假期大飯店。全てのお部屋に温泉が出る浴室が付いていて、好きな時に好きなだけ入浴できる素敵な温泉なんです。
ナビが宿泊した部屋の浴室は見た目こそ普通のシティホテルにある設備と変わらない変哲もないものですが、実際に湯船に浸かると、かなり前後に長く、湯船のふちに頭を置いて寝転んでも全く無理な体勢になることなく、ゆっくりと疲れを癒すことができました。もちろん肌もツルツルになりましたよ!
意外と快適なお部屋
そして、こちらの1階にあるレストランはオススメ。ご当地の食材をふんだんに使った料理が楽しめます!
温泉の蒸気で蒸し上げた温野菜。温泉のほのかな香りが特徴的でした
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焼きマコモのシーフードマヨネーズ和え。マコモは柔らかくグラタンのような食感でグッド!
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因みに、温泉は部屋にある内湯だけでなく、屋外にある水着着用の大浴場もあります!
9:00~22:00までの間、宿泊客なら自由に入浴できます!雄大な自然や風景を楽しみながら入る温泉はやっぱり格別ですよね!
ホテルの脇には名称の由来にもなったご神木がそびえています。もちろん五葉松で、樹齢は1000年を越えているといわれていて、高さは36メートル。1973年になって発見された神木で、もしかしたら何かのパワーにあやかれるかもしれません。
可愛らしい顔をしています
そのすぐ脇にはイノシシの銅像があるのですが、どういうわけか口から水をたらし続けているんです。鼻を触ると良縁に恵まれるという噂があるので、独身の方はぜひその真偽を確かめに来てくださいね。
神木谷假期大飯店
臺中市和平區東關路一段溫泉巷7號
(04)2595-1511
ホテルの裏側には登山道があってトレッキングができます。全長1500メートル、全工程1時間の道のりだそうなのですが、途中傾斜45度以上の坂道を上り下りする必要があり、足腰に自身のない方は避けたほうがいいでしょう。
それでも、起点近くにある歩道はきちんと整備されていて散歩に最適。川のせせらぎを聞きながら、亜熱帯の植物が茂る景色を楽しむのはいいかも知れません。
日本時代の住宅が残る松鶴集落を歩く
谷關溫泉から車で約10分ほど下った場所に、松鶴という集落があります。人口は約500人程度。タイヤル族が多く暮らす場所です。「松」と「鶴」が冠されたちょっと日本的な地名ですが、このあたりの土地は比較的肥沃で、五葉松がたくさん生えていたことと、コサギが頻繁に飛来し、それが遠方からだと鶴が舞い降りたように見えたことから名付けられたといわれています。
ちなみに、タイヤル族の居住範囲は台中以外にも南投や苗栗、新竹、桃園、新北、宜蘭などと中部から北部の広範囲に分布しています。実際に過去には山道を越えて交流がありました。
のどかな雰囲気が漂いますが、松鶴集落は悲しい歴史を経験しました。台湾大地震の際には土石流が発生し、集落の東半分が呑み込まれ、大きな被害が出たのです。現在も一部の建物が被災した当時のままで残されていて、被害の爪あとと大自然の力の大きさを物語っています。もしこの建物が残っていなかったら、訪れる人はここがかつて被災地だったとは気付かないかもしれません。
そして、目に飛び込んできたのは古めかしい日本風の木造家屋。谷關溫泉の南側は実は日本統治時代に八仙山事業区が置かれ、林業が栄えていました。松鶴地区には、かつてその従業員らが暮らした宿舎が残っています。自治体などが管理しているわけではなくて、個人が所有し、廃墟同然になっているのもありますが、今でも使われている部屋もあり、絶妙の味があります。隠れたインスタ映えスポットにもなっているんですよ。一見するとごくありふれた田舎の集落なのですが、長い歴史のある場所なんですね。
今回松鶴集落を訪れた際、タイヤル族の鄭保雄さんが集落をガイドしてくれました。団体ツアー客向けにタイヤル族の生活を教える取り組みをしていて、狩に使うワナや口琴の作り方を指導しています。
この日は特別に、タイヤル族に伝わる伝統楽器、口琴を演奏してくれました。言葉とは別に意思表示をする手段として用いられた楽器で、女性にプロポーズする際にも重要な役割を果たしたとして有名です。
基本的な口琴は竹製なのですが、鉄などの金属を挟んだもの、全て金属で作られたものなどバリエーションがあり、微妙に音色が違うんです。
簡単なつくりですが、深みのある音色。タイヤル族の人たちの持つ繊細な文化を知られました。
集落の中にあるレストランでもご当地食材を使った料理を堪能
散歩をしてお腹がすいたら集落の高台にあるレストラン「古拉斯泰雅風味餐廳」で腹ごしらえをしましょう。ここのオーナーは普段は集落の中心で食堂を開いているのですが、予約があるとここのレストランを開くんだそう。
古拉斯泰雅風味餐廳
台中市和平區東關路一段松鶴三巷100之3號
(04)2594-1948
(完全予約制)
意外とたくさんの量がありましたがぺろりと食べてしまいました
谷關までは、台鉄「台中」駅または高鉄「台中」駅からそれぞれ豐原客運のバス(850または153)が出ています。バスだと1時間半~2時間かかるので少し遠いかもしれませんが、それだけにほかの日本人観光客にあまり遭遇しないとっておきのスポットです。台中フローラ世界博覧会が開催されているので台中に遊びに来たついでに足を伸ばしてリラックスしてみてはいかがですか?
以上、台北ナビがお伝えしました!
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2019-01-04