台湾人が愛する具沢山おにぎりで元気に朝食を
こんにちは、台北ナビで「おうちで本格台湾料理」を連載中の料理研究家、小河知惠子(オガワチエコ)です。この連載も、今回で十回目となりました。
徐々に涼しく、過ごしやすい気候になってきましたね。日本は食欲の秋、台湾は暑さも和らいでベストシーズンといったところでしょう。
今の時期は空気が爽やかで、お出掛けするのがとても気持ちいいですよね。ピクニックをしたり、お散歩をしたりが楽しく感じます。そのタイミングで、外で食べるご飯もまた美味しいもの。
今回ご紹介する台湾料理は、まさに外出先で食べるのにぴったりな台湾風おにぎり「飯糰」(ファントァン)です。
昔はおばあちゃんが道端で売っているのが主流でしたが、今は朝ごはん屋さんや朝限定の屋台にあることが多いです。ほかにも、コンビニで売っていたり、夜市で見かけたりすることもあります。
日本のおにぎりと違うのは、もち米を使っているところ。なかの具材も、いろんな種類が詰まっています。煮卵などが入っているものもあり、ボリューム感たっぷり。ひとつでしっかりとした満足感が得られます。
朝、出かける途中にこれを買って、学校や職場で朝ごはんにする台湾人も多くいます。もち米だけに腹持ちがよく、お昼まで持ちこたえられるんですね。
たまに、黒い飯糰を見かけることがあると思います。こちらは、黒いもち米を使用して作ったもの。最近は多く出回っているようです。
使っているもち米や具材は、日本にないものが多いのですが、できる限り近づけられるようにレシピを作りました。
まずは材料(2つ分)
もち米……150g
うるち米……50g
具材【1】
桜でんぶ……10g
醤油……小さじ1/2
具材【2】
たくあん(黄色くないもの)……30g
にんにくみじんぎり……小さじ1/3
輪切り唐辛子……適量
炒りごま(白)……小さじ1
砂糖……ひとつまみ
醤油……少々
水……適量
具材【3】
ザーサイ……20g
野沢菜漬け……15g
輪切り唐辛子……適量
鶏ガラスープの素……少々
砂糖……ひとつまみ
お酢……小さじ1/2
具材【4】
卵……1個
万能ネギの切り……大さじ2
塩……少々
具材【5】
フランスパン……適量
飯糰の作り方
① もち米とうるち米は、洗って2時間以上水につけます。
台湾では長粒米のもち米を使いますが、日本では入手が難しいので、普通のもち米にうるち米を足して、粘りを抑えました。
ちなみに、台湾では、甘いものを作る時は丸いもち米を、おこわ等しょっぱいお料理には長粒米のもち米を使います。
② 具材【1】のでんぶを作ります。桜でんぶに醤油を加え、よくからめます。本来は、台湾の肉でんぶ「肉鬆」を入れるのですが、日本にはないので、食感が似た桜でんぶを使っています。
③ 具材【2】の炒菜脯(切り干し大根炒め)を作ります。たくあんは5ミリ角くらいに切って、水につけて少し塩抜きします。台湾の切り干し大根(菜脯)は、塩気があり、食感もパリッとしているので、日本の切り干し大根での代用はなかなか難しいです。なので、ここでは黄色くないたくあんを使います。塩とぬかしか使っていないしわしわのたくあんを使用すると、近いと思います。
④ たくあんの水分を切って、キッチンペーパーでふいてから、フライパンに入れて空炒りします。炒めた大根の香りがしてきたら、取り出しておきます。
⑤ フライパンにサラダ油を入れて、にんにくのみじん切りを炒めます。香りが出たら、④の大根、輪切り唐辛子を入れます。
⑥ 砂糖と醤油、鶏ガラスープの素を加えて炒め合わせ、水を少々加えて、味をなじませます。その後、水分が飛ぶまで炒めて、最後に炒りごまをふります。
⑦ 具材【3】の炒酸菜(酸菜炒め)を作ります。
ザーサイは細切りにして、野沢菜は小口りにします。輪切り唐辛子はお湯を少し加え、もどしておきます。
⑧ フライパンにサラダ油(分量外)を入れて、ザーサイ、野沢菜、水気を切った唐辛子を入れて炒めます。
⑨ 砂糖と鶏ガラスープの素を加えて炒め、火を止めてから、お酢を加えて混ぜ合わせて出来上がり。
⑩ 具材【4】のネギ卵炒めを作ります。卵はといて、塩、ネギを加えて混ぜます。フライパンにサラダ油(分量外)を入れて加熱し、卵をふわっと炒めます。
これだけで「蔥花炒蛋」という料理になります。
⑪ 2時間以上水につけたもち米を、蒸し器に入れ、25分程度蒸します。芯がない状態まで蒸せたらOKです。炊飯器でも作れますが、その際は水加減を調節してください。
⑫ 具材【5】の揚げパンを作ります。揚げ油を170度に熱し、適当に切ったフランスパンを入れてカリッと揚げます。台湾では油條という揚げパンを使いますが、やはり日本では入手が難しいので、フランスパンで代用しました。必ず揚げてカリッとさせてください。
⑬ おにぎりを握ります。まず、もち米の半分をお茶碗に入れます。そして、布巾を食品用ビニール袋に入れて広げておきます。この方法だと、熱々のお米を使っても、熱さを感じずに済みます。
⑰ 広げて、もち米が足りない部分に、お茶碗に残ったもち米をのせます。
⑱ 布巾の上から形を綺麗に整えて、ラップで巻いて出来上がり。
特徴は、なんといってもこのボリューム感。手に取ると、ずっしりとした重みを感じ、ひとりで食べ切れるかどうか不安を覚えるかもしれません。
ただ、半分に割って分かる通り、ごはんは外側だけで、なかはほぼ具材。なので、そこまでの量は感じないはず。女性ひとりでも食べ切ることができる量です。
熱々モチモチのごはんに、揚げたパンのサクサク感、たくあんのコリコリとした食感などが口のなかで楽しめます。ザーサイや野沢菜の塩加減も丁度良く、ごまの香りが食欲をそそります。
私が台湾に料理留学していたとき、休日の朝、息子と出かける際によく買いました。豆乳と一緒に購入して、公園へ。息子はまだ小さく、もち米を食べることができなかったので、キャベツの肉まんなどを一緒に購入。
台湾の公園は、みんなが思い思いのことをして過ごす場所で、すごく居心地がいいんですよね。お腹が空いたら休憩して二人でごはんを食べて、また遊んでいました。
飯糰を食べていると、台湾の公園の穏やかな雰囲気が恋しくなります。次回もそんな、現地の雰囲気を味わってもらえるようなお料理を紹介したいと思います。
料理と文:小河知惠子(オガワチエコ)
料理研究家・台湾料理研究家。
雑誌やテレビ、書籍などのレシピ作りや料理コラム等で活躍中。著書に「純愛ごはん」(セブン&アイ出版)、「おにぎらずの本」(泰文堂)、「スティックオープンサンドの本」(講談社)など。 初めての台湾旅行で、食材の豊かさと豪快な調理に魅せられる。 以来、何度も台湾に足を運び、2017年、現地の料理学校で台湾料理を習得。 2歳男児の母。
小河知惠子(オガワチエコ) ツイッター
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記事登録日:2018-10-22