料理研究家小河知惠子(オガワチエコ)・おうちで本格台湾料理『第八回目・珍珠奶茶』

モチモチ食感が大人気のタピオカミルクティをご家庭でも!

こんにちは。台北ナビで「おうちで本格台湾料理」の連載をしている料理研究家の小河知惠子(オガワチエコ)
です。

この夏休みに台湾に行った方も多いと思います。 初めての台湾旅行で必ず飲むものといえば、タピオカミルクティー(パールミルクティー)ではないでしょうか。台湾の代表的な飲みもので、北京語では、珍珠奶茶(ジェンジューナイチャー)といいますね。

今の時期であれば、暑さで乾いた喉も潤い、お腹も満たされるので、こういった飲みものは特に美味しく感じますよね。

珍珠奶茶は、ミルクティーにタピオカを入れただけの簡単な飲みものだと思われがちですが、実はそうでもありません。

使うお茶は、基本的にはアッサムと決まっていたり、タピオカは煮てから6時間くらいしかもたなかったりと、日本人には知られていないこともたくさんあります。

台湾の飲料事情

流行の移り変わりが激しい台湾のドリンク。6年前くらいはたくさん出回っていた木瓜牛奶(パパイヤミルク)が少なくなったり、翡翠檸檬(レモングリーンティー)が爆発的に流行ったり……。

最近では、一芳などの水果茶(フルーツティー)系のドリンクの人気が高いように感じます。そんななかでも、珍珠奶茶(タピオカミルクティー)は不動の人気を誇り、美味しさも格別です。

タピオカミルクティーのなかでも、私が個人的に気に入っているのは、天仁茗茶のもの。天仁は、言わずと知れた台湾のお茶屋さんですね。そこで飲めるミルクティーは、生の牛乳を使うか粉のミルクを使うかで値段が変わります。どちらを選んでも、お茶が美味しいのがよく分かります。

そんな珍珠奶茶、台湾と同じかそれ以上のものを自宅で作ってみましょう!

タピオカミルクティーの材料(2杯分)

・タピオカの材料
生タピオカ(冷凍)……80g(乾燥ブラックタピオカを使う場合は40g)
三温糖……10g

・ミルクティーの材料
アッサムティー……10g
水……200ml
牛乳……300ml
ガムシロップ……大さじ2
氷……適量
タピオカストロー……2本

※生タピオカは、Amazonや中華食材店で購入が可能。カルディに置いてある場合もあります。製菓材料店に売っているのは、主に乾燥タイプになります。できれば、より台湾の食感に近い生タイプを使うことをおすすめします。

作り方

① まずタピオカを煮ます。大きめの鍋に水を入れて火にかけ、沸騰したらタピオカを入れます。

生タピオカの場合、沸騰してから入れないとタピオカが溶けたり、崩れたりしてしまいます。

② 沸騰したら中火にします。タピオカの種類にもよりますが、生タイプであれば、浮き上がってから15分くらい煮ます。

③ その後火を止めて蓋をして30分蒸らします。しっかり蒸らすことが美味しく仕上げるコツです。

乾燥タピオカの場合は、熱湯に入れてから1時間程度煮続けます。

④ 蒸らしている間に濃いめの紅茶を作っておきます。水200mlを小鍋に入れて沸騰させ、アッサムティーを入れます。

台湾のタピオカミルクティーでは、アッサムを使うのが定番です。

⑤ 濃いめに煮出して漉し、100mlほどの量にして、ボウルに入れて冷やしておきます。

⑥ ③のタピオカを取り出してお湯を切り、⑤の紅茶とは違うボウルに入れます。
⑦ 三温糖を加え、よく混ぜてそのまま冷まします。

冷蔵庫に入れると固くなるので、室温で冷ましてください。このタピオカは6時間ぐらいしかもちません。時間が経つとタピオカの醍醐味であり、台湾人の愛してやまないQQ(もちもち)な食感が消えてしまいます。

⑧ ⑤のアッサムティーにガムシロップと牛乳を入れてよく混ぜます。

⑨ グラスにタピオカを入れて⑧のミルクティーを注ぎ、タピオカストローをさして出来上がり。

珍珠奶茶のできあがり!

濃いめに煮出したミルクティーからは上品な甘さと豊かなコクを感じ、タピオカのモチモチっとした弾力が楽しめます。

アッサムの深い香りも良く、これはもう、飲み物というより、デザート感覚。

今回、ミルクティーに関しては生の牛乳を使ったレシピをご紹介しましたが、実は台湾での主流は粉ミルクで作るタイプです。

台湾では乳製品が高額で、購入するたびにその高さに驚かされます。牛乳が日本よりずっと高いのはもちろん、生乳だけで作ったプレーンヨーグルト等は日本の4倍くらいの価格であることも。
保存の点においても、暑い台湾では粉末ミルクのほうが適していたこともあり、大人も普段から粉のミルクをよく飲むんですね。そういった背景からも、粉ミルクで作るミルクティーの方が一般的なようです。
生の牛乳を使ったタピオカミルクティーは、ちょっと高級なバージョンといったところでしょうか。

でもせっかくなので、粉ミルクを使ったタイプの作り方も紹介しておきましょう。

珍珠奶茶・粉ミルクバージョンの作り方(1人分)

① 茹でたタピオカに三温糖を加え冷まします。このあたりは牛乳版と同じです。

② 200mlの熱湯にアッサムティー5gを入れて蒸らします。

③ 常温より少し温かいくらいに冷まし、シェイカーに入れます。

④ コーヒー用粉ミルク(クリープなど)30gと氷、ガムシロップ小さじ1を入れてシェイクします。

⑤ グラスに、冷ました①のタピオカを入れて、シェイカーからミルクティーを注いで出来上がり。

ストロー問題について

現在、世界的にプラスチック製ストローの使用に対して、環境汚染の観点から廃止の流れが進みつつあります。これは、タピオカミルクティーを愛する人たちにとって大きなダメージになりかねません。

あの独特の太めのストローで吸い上げるのも、タピオカミルクティーの魅力のひとつ。ポコポコと口のなかに滑り込んでくるタピオカの感触も心地良く、ストロー内を上下する様子もまた可愛らしい。そんな醍醐味が失われてしまうのでないかと懸念されます。

しかし、プラスチック製ストローが環境汚染に繋がっていることは間違いないので、いずれは全面的に使用不可になるでしょう。果たして、代用となるものはあるのか。 そのあたりの心配も残しつつ、今回はレシピをご紹介しました。
夜市を歩きながらタピオカミルクティーを飲んで、途中で屋台の大きなフライドチキンを買って食べる。健康的とは言えませんが、台湾のナイトライフを満喫するのに完璧な組み合わせだと思います。 想像すると、今すぐにでも台湾に行きたくなりますね。

次回も、こうした楽しくて美味しいレシピをご紹介して、台湾の魅力をお届けします。

料理と文:小河知惠子(オガワチエコ)

料理研究家・台湾料理研究家。

雑誌やテレビ、書籍などのレシピ作りや料理コラム等で活躍中。著書に「純愛ごはん」(セブン&アイ出版)、「おにぎらずの本」(泰文堂)、「スティックオープンサンドの本」(講談社)など。 初めての台湾旅行で、食材の豊かさと豪快な調理に魅せられる。 以来、何度も台湾に足を運び、2017年、現地の料理学校で台湾料理を習得。 2歳男児の母。

小河知惠子(オガワチエコ) ツイッター
https://twitter.com/ogawachieco

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2018-08-20

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