台湾を管轄する「交流協会」、台湾で困ったらこちらへ!
こんにちは、台北ナビです。
グルメやショッピング、そしてマッサージに夜市など、“見所いっぱい!やることいっぱい!”の台湾。そんな魅力溢れる台湾で観光を思う存分楽しむためには、事件や事故に備えた安全対策をし、それらが起こってしまったときの対応策をあらかじめ予習しておくことが欠かせません。そこで、今回は台湾を管轄する「公益財団法人 日本台湾交流協会」の台北事務所にお伺いし、旅先での心構えやトラブルへの対処法をはじめ、台湾に住むための手続きや備えなどを聞いてきました。 日本人の観光客と在住者にぜひ知っておいてもらいたい情報がたくさんありますので、ぜひ参考になさってください!
交流協会って?
本題に入る前に、ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが「日本台湾交流協会」についてちょっとご説明を。
「交流協会」という言葉にあまり馴染みがないかもしれませんが、「交流協会」は公式に国交のない台湾との実務関係を処理するため、1972年に外務省・経済産業省によって認可された財団法人。その後、2012年に公益財団法人に移行した日本の対台湾窓口機関です。名称こそ異なりますが、大使館と同様の役割を担っています。台湾には台北と高雄の2カ所に事務所があります。
2017年1月からは名称が「交流協会」から「日本台湾交流協会」に変更されました。
万が一のために、連絡先をメモしておきましょう。
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▶台北事務所 台北市慶城街28号 通泰商業大楼
電話:+886-2-2713-8000(代表)
0937-043-408(夜間・土日祝祭日24時間)
▶高雄事務所 高雄市苓雅区和平一路87号 南和和平大楼9、10F
電話:+886-7-771-4008(代表)
0929-228-458(夜間・土日祝祭日24時間)
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年々増える日本人観光客と在住者
最近流行っている「週末海外旅行」ですが、その旅行先として台湾も人気急上昇中です!2010年の日本人来台観光者数は108万153人、その後も年々増加傾向にあり、2013年は142万1550人と過去最高を記録しました。そして2014年は7月の時点ですでに140万人を突破!さらに日本人在住者も約1万7000人と世界的にみても多いほう。町中にも親日派の台湾人や駐在者のニーズに合わせ、日本の食べ物や商品、日本語があちらこちらに見られます。
写真右2人目から、お話を伺った青山領事室長、鈴木主任、御澤主任
台北事務所の青山滋弥領事室長は、「台湾は比較的治安もよく、日本語のできる方も多くいらっしゃいます。そのため油断しがちですが、ここはやはり“海外”。海外にいるという意識をきちんともって、トラブルや災害に備えてほしい」と強調されていました。
そう!安全で、日本人にとって身近に感じられる台湾ですが、日本ではありません。「海外に行く」、「海外に住む」というそれなりの“心構え”が必要なのです。そこで、青山領事室長はじめ、領事室の鈴木主任と文化室兼渉外室の御澤主任にも具体的にどんな点に注意すればよいか、お話を伺いました〜!
「たびレジ」を利用して、現地の危険情報をいち早くゲット!
旅行が短期間だとしても、その間に災害や大事故などが起こる可能性がないとは限りません。そこで活用したいのは外務省がこのほど運用を始めた、現地の緊急時情報提供を受けられる海外旅行登録システム「たびレジ」。「たびレジ」では、事前に旅行日程・滞在先・連絡先などを登録しておくと、滞在先の最新の渡航情報や緊急事態発生時の連絡メール、いざという時の緊急連絡などがメールで受け取れます。台湾以外にも、海外旅行に行く時には利用できるので、お守りがわりに一度登録しておくと便利です♪
長期滞在者は「在留届」を忘れずに!
日本人が台湾に3カ月以上滞在する場合、「在留届」を 交流協会へ 提出する“義務”があります。在住者のみなさんはもう届け出をなさっていますか?短期留学の方も3カ月以上滞在する場合はこの対象となります。
「在留届」は台湾での住所や電話、緊急の連絡先(日本国内)などを交流協会へ届け出る書類のこと。届け出をすることで、地震や台風の災害、事故などの際に交流協会から登録したメールアドレスへ注意事項や安否確認の連格が入ります。逆に言うと、届け出をしていなければ万が一のときに大切な情報を受け取れなかったり、安否確認ができなかったりします。“孤立化”しないためにも届け出をまず行いましょう!そして、台湾内の転居や帰国の際は、変更の届け出を忘れずに。連絡先が変わったために大事な情報を受けられなかったり、帰国済の方の安否確認に時間がかかってしまって実際に滞在している方への確認が遅れたりします。
▼在留届
①住所が決まったら、必ず提出しましょう!
※届け出は交流協会のほか、インターネットでも簡単に行えます。
②台湾内の転居・帰国の際の連絡も忘れずに!
※変更は電話やメールでもOKです。
余談ですが、在留届をもとに落とし物が帰ってくるケースもあるそうです!交流協会の方によると「台湾の方は親切なので、携帯電話などを交流協会へ届けてくれることがあります。その場合は在留届を手がかりにご本人に連絡し、返却します」とのこと。台湾人、素敵です~!
こんなトラブルが起こっています!
台湾で楽しい思い出を作られる方がたくさんいらっしゃる一方で、残念ながらさまざまな問題やトラブルも起こっています。領事室でお聞きしたなかから主なものをピックアップしておきますので、ぜひご参考に。
旅券を紛失してしまった!
「あ、パスポートが見当たらない~!」。海外に行った先でひやっとした経験、みなさんはありませんか?もしも本当に旅券を紛失してしまったら、楽しい観光どころではなくなってしまいますね。旅券紛失は毎月10件ほど発生しているそうで、決して他人事ではありません。まずは失くさないことが第一ですが、もしも紛失してしまったら、落ち着いて下記の手順で対応しましょう。
こちらでは旅行者などすぐに帰国する場合で説明します。
1、最寄りの入出国及移民署へ行き、旅券紛失届を提出し、紛失証明書をもらいます。
必要なもの:写真2枚(4.5×3.5cm、移民署で撮影可)
<移民署(台北市内)>
內政部入出國及移民署
住所:台北市廣州街15號 /電話:02-2388-9393
2、交流協会で、「紛失一般旅券等届出書」を提出し、紛失旅券を失効させます。
必要なもの:移民署発行の旅券紛失証明書、運転免許証や旅券写しなど本人確認ができるもの、写真1枚(4.5×3.5cm、交流協会で撮影可)
3、2と同時に「帰国のための渡航書」を 申請します。
必要なもの:日本籍を証明するものとして本籍地が記載された住民票または戸籍謄本(FAX 可)、写真 2 枚(4.5×3.5cm)、手数料760元
ここがポイント!
本当に旅券を紛失した場合、一番に手配したいのが「本籍地が記載された住民票または戸籍謄本」(FAX 可)。
日本のご家族や知人に送ってもらわなければならず、ここに時間がかかってしまうケースが多いようです。
焦らず、この手配を迅速に行いましょう!
4、空港の出国審査窓口で「出境登記表(ピンク色の紙)」を入手して必要事項を記入し、「帰国のための渡航書」、「移民署発行の旅券紛失証明書」と一緒に出国審査官に提出します。
出国審査を受けた後、帰国することができます。
1~4は最短で1日でできるそうです。
また、もしかしたらパスポートが落とし物として警察に届いているかもしれないので、現地の警察署へ届け出も行いましょう。
台湾のお酒はアルコール度数高いので要注意!
交流協会によると年に3~4件、急性アルコール中毒による死亡事故が発生しているそうです。台湾の代表的なお酒「高粱酒」は、よく宴会などでももてなしのために振る舞われますが、そのアルコール度数は60度前後!日本で強いお酒を飲み慣れていない方、南国の開放的な雰囲気に呑まれて、ついつい飲み過ぎてしまわないように気をつけましょう。
レンタルサイクルによる交通事故に注意!
台北のレンタルサイクルサービス「YouBike」は、街のあちこちにレンタルスポットがあり、スイスイと移動できるのでとっても便利です。が、台湾の運転がかなり荒く、いろいろな角度から車やバイクが突っ込んできます。交流協会にも実際、レンタルサイクルに乗っていて車にぶつかられた案件が寄せられています。台湾の町並みを楽しみながら自転車に乗りたくなる気持ちは分かりますが、周囲には十分に注意を払いましょう。
ほかにも、こんなことに注意!
実際にトラブルが起こってしまったら?
事件や事故、急病などが実際に発生した場合は、速やかに現地の警察署へ届け出や医療機関での治療などを行いましょう。
自分自身でまず対応するのが前提ですが、交流協会では被害の状況や要望などに応じて現地警察等への連絡に関する助言や医療機関の情報提供などを支援しています。「自分自身では対応できない」と判断した場合は、慌てずまずは交流協会へ連絡してアドバイスを求めましょう。
交流協会から在住者へのお願いは「在留届、在外選挙登録、災害への備え」!!
「台湾に住んでいる方にどんなことをお願いしたいですか?」というナビの質問に交流協会から迷わず返ってきたのは、「在留届、在外選挙登録、災害への備え」の3点とのこと。在留届はすでに説明したので、ここでは在外選挙登録と災害への備えの2点を!「面倒臭い…」なんて思わず、ご一読を~。
在外選挙登録の申請
台湾在住の日本国民のみなさん、日本の選挙に参加していますか?と書いてみたものの、台湾に長く住んでいるナビもついつい日本の政治から関心が遠のき、ちょっと忘れていました。在外選挙登録を事前に行っていれば、海外にいながら国政選挙に投票できます。 交流協会の方も「非常に登録者が少なくて」とかなり切実なご様子。ナビ、反省の意味も込めて在外選挙登録について詳しくお伺いしたので、みなさんもご参考になさってください!
1、在外選挙人名簿への登録
在外選挙人証(氏名と住所はプライバシーのため画像処理で消しています)
台湾渡航前にお住まいの市区町村役場へ転出届を提出し、その後、台湾の交流協会で在外選挙人登録の申請書を提出します。このとき、旅券と居留証が必要です。登録後、「在外選挙人証」が交付されます。
※登録には事務手続きの関係で約2カ月半かかります。選挙直前になって慌てて申し込んでも「間に合わない!!」なんてことになりかねないので、早めに申し込みましょう!「在留届を提出するときにいっしょに行えば、手間も省けますし、忘れませんよ」(交流協会)とのことです!
2、いざ投票!台湾からの投票は「郵便投票」で。先に書いておきますが、ここからちょっと根気が必要です!
①外務省または総務省のホームページで「投票用紙等請求書」をダウンロードして、必要事項を記入し、「在外選挙人証」と一緒に、登録地の市区町村選挙管理委員会に自分で郵送します。
②送られてきた投票用紙に、投票を記入して再度市区町村選挙管理委員会に送付。これで投票が完了という流れになります。
台湾は交流協会という性質から、残念ながら台湾で投票を行うことができず、各自で「郵送投票」をする必要があります。選挙の種類にもよりますが、告示から投票までは1~2週間前後でそんなに長くありませんので、せっかく投票用紙を請求したのに、投票に間に合わなかったという悲しい結果にならないためにも、余裕を持って投票用紙の請求を行いましょう。
災害への備え
台湾在留邦人安全のしおり
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災害時対応マップ。避難所や緊急連絡先などの重要ポイントが簡潔に書かれていて、しかも防水加工!
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台湾は地震や台風などの自然災害が多い地域でもあります。そのため、「日頃から自分自身で災害に備えてほしい」と青山領事室長。非常備蓄品や非常持ち出し品の準備は万全にしておきましょう。そしてぜひ手元においておきたいのが、交流協会が台湾日本人会の協力を得て作成した「台湾在留邦人安全のしおり」と「災害時対応マップ」です。このなかには、情報の入手先や避難場所が分かりやすくまとめてあります。特にマップは防水加工が施されていて、重要なポイントのみが簡潔に書かれているので必需品です!こちらは交流協会で入手することができます。
交流協会ではこんなサービスが受けられます!
交流協会では 運転免許証の中国語翻訳文発行証明書類をはじめ、婚姻要件具備証明(独身証明)、国籍証明、署名(拇印)証明、印鑑証明、警察証明などの各種証明書の発行を行っています。
今回、交流協会を訪れてびっくりしたのが、台北事務所の2階にある閲覧室。ナビ、1階の窓口の方へは旅券の申請や運転免許証の翻訳などの手続きで何度も来たことがあったのですが、こちらの閲覧室は存在を知らず、お初です!ここには日本語の書籍や雑誌が約2万冊所蔵されていて、そのジャンルは政治経済、社会、芸術、文化、文学など多岐にわたり、まさに日本の図書館そのもの!随時、新刊も入荷しているそうで、「これ読みたい~!」という話題の小説も多数ありました。さらに、台湾の歴史や政治経済に関する貴重な書籍も豊富に揃っているので、台湾についてもっと学びたいという方にもおすすめです。ほかにも、日本のDVDや雑誌、日本語教育などの書籍が揃っています。
開館時間 :9:15~12:30/13:45~17:30(月~金、交流協会の休所日を除く)
貸出期間 : 2週間まで
冊数 : 5冊まで (DVDやCDなどは視聴のみ)
貸出方法: 身分証明書(パスポート可)提示すれば、利用者カードを無料で発行してもらえます。
地下1階の文化ホール前には、鎧兜やおひな様などが展示されています。これらは台湾の方や在住者に日本の文化に直接触れて理解を深めていただくため、学校や企業などの団体を対象に無料で貸し出しもしているそうです。また講演会や展示会、日本語セミナーなど多目的に使用できる文化ホールは、申し込めば無料で使用することができます。
事件や事故などのトラブルや災害に関する話は、観光客、在台者ともに必要なこと。台湾を楽しく快適に旅するために、また、台湾で安全・安心に過ごすためにぜひ抑えておきたいポイントです。
それでは楽しい台湾の旅&台湾ライフを満喫してくださいね♪
以上、台北ナビでした。
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2014-09-16