大稻程で行われている「台北街歩きツアー」の漢方講座に参加してきました~。
こんにちは、台北ナビです。
5月から6月まで、迪化街付近の「大稻程」と呼ばれるエリアで行われている下町街歩きツアー。ナビは今回漢方店「上乾元中薬行」のオーナー・陳建国さんをスピーカーとして迎えた漢方講座に参加してきました。
その講座の模様をレポートします!
漢方の知識が身について、漢方が少しだけ身近なものになりました。
旧仁愛医院の建物を再利用した「台北まちづくりセンター」
旧仁愛医院を再利用した「台北まちづくりセンター」
講座が行われたのは、MRT「大橋頭」駅から徒歩5分のところにある「台北まちづくりセンター(台北市社區営造中心)」。
ここは、以前の仁愛医院の建物を利用して設置されています。レンガ造りの建物がレトロで、いい雰囲気。
客席はほぼ満席!
ナビはなんとなく日本人のお客さんが多めなのかなと勝手に予想していたのですが、意外なことにほとんどは台湾人のお客さん!7割ほどが台湾人で、3割が日本人といったところ。欧米系のお客さんもいましたよ。
会場はほぼ満席で、台湾での漢方への関心の高さが感じられました。
日本語通訳をしてくれた呉虹儀さん
講座は中国語で行われますが、日本語の同時通訳も行われるので、中国語がわからなくてもまったく問題ありませんでした。
今回日本語通訳をしてくれた呉虹儀さんは、東京に1年の留学経験があり、日本滞在歴たった1年とは思えないほど流暢な日本語で通訳をしてくれました。
おみやげにポストカードと大稻程エリアのガイドブックもいただきました~。2種類のポストカード、3種類のマップからそれぞれ1種類ずつもらえます。
|
|
この機械を使って同時通訳を聞きます。
|
「上乾元中薬行」について
陳建国さん
迪化街には現在「乾元」という名前のつく漢方店が2つあります。
ひとつは霞海城隍廟近くの第一銀行の横にある「乾元参薬行」。1875年創業の迪化街でもっとも古い老舗漢方店です。
そして、もう1つが今回のスピーカーである陳建国さんのお店「
上乾元中薬行」です。陳さんは「乾元参薬行」の後継者だったのですが、兄弟間の理念の違いにより、3年前に自分のお店をオープンさせました。陳さんは漢方業に従事してから24年にもなります。
漢方薬の基礎知識を学ぶ
最初にひととおり、陳さんから漢方についての説明が行われました。漢方の基礎知識なのですが、漢方についてまったく無知なナビにとっては、いろいろな薬の名前が出てきて、すごく難しかったです。
ここで、陳さんから教わった内容の一部をみなさんにご紹介します。
さまざまな漢方薬を紹介してくれました
1. 漢方とは漢方薬の大部分は天然の植物を素材としており、動物や鉱物を素材とするものもあります。そのため、副作用も少なく、病気を治すだけではなく、健康維持のために使うこともできます。
漢方薬はそれぞれの体質(虚、実、寒、熱)によって調整します。
漢方薬にはそれぞれに性質と味があり、これがいわゆる四気五味です。
四気は、寒、熱、温、涼という4つの性質を指します。一般的に寒涼薬には解熱や解毒、うるおいを与えるなどの作用があり、温熱薬には消化器系をあたため、寒さを逃がすなどの作用があります。
五味とは、辛い、甘い、酸っぱい、苦い、しょっぱいという味を表します。
辛み:肺や呼吸器の働きを強め、気や血の巡りを促進する
甘み:胃腸の働きを助け、薬の効果や痛みを和らげる
酸味:肝臓に働きかけ、機能を元に戻す
苦み:心臓や循環器系に作用し、体内の余分な水分や老廃物を排出する
塩み:腎に作用し、できものを取り除いたり、排便を促進する
賢く漢方薬を選びたいものです
2. 漢方薬の選び方1. 表示ラベルが貼ってある:品名、重量、製造日、消費期限、製造元、輸入元、販売元の社名、住所、電話番号が書いてあるか確認する
2. 認証を受けた信頼のおける漢方店で購入する:市場や路端、お寺近くで売ってあるものは、来歴が不明である上、直接空気にさらされているため、雑菌やホコリ等が付着している場合があり、衛生面で危険
3. 色が鮮やかすぎるものは避ける4. 観光地では買わない:漢方薬についての深い知識がない場合は、偽物を買わされたり、ぼったくられる可能性も
5. 検査に合格した漢方薬を選ぶ
3. 季節ごとのおすすめ漢方薬
漢方の考え方では、人と自然は相互に作用しあっているため、四季に合わせることで身体のバランスをとっていきます。
お客さんも漢方薬に興味津々
1. 春:身体の陽気が上昇し、新陳代謝が活発になる
温かい漢方薬がおすすめ。西洋人参、山芋、黄耆(オウギ)、ナツメなど
食事はさっぱりと温かいものが基本。ほうれん草やニラなど緑色野菜を摂るといい。
2. 夏:生育の季節で、人も落ち着きがなくなりやすい
涼しさを補う薬がおすすめ。麦門冬、ハトムギ、蓮の実など
食事は湿気を取り除き、熱を冷ますことに注意する。辛いものや熱性のものはなるべく避ける。スイカなどの涼性のウリ類はおすすめ。
3. 秋:空気が乾燥し、喉や呼吸器、皮膚に異常が出やすい
潤いを補う食材がおすすめ。山芋、ユリ、白きくらげ、梨など
酸味がある食べ物も咳を出させる効果があるのでおすすめ。梅やサンザシなど。
4. 冬:温かさや血を補うことが必要
にんじん、當歸(トウキ)、黄耆(オウギ)などの漢方がおすすめ
温かい生姜茶や、龍眼ナツメ茶を飲むといい。
漢方薬はなかなかとっつきにくい部分もありますが、季節にあった食材を摂ることを心がけることなら簡単にできそう!ナビもこれからは、普段の食事に少しづつ漢方の考え方を取り入れていきたいと思いました。
漢方薬包みに挑戦!
紙の真ん中に漢方薬を置いて
漢方薬に関する説明を聞いた後は、漢方薬包みに挑戦させてもらいました。
紙で漢方薬を包むという、一見すると簡単そうな作業なのですが、これが意外にも難しいのです。
まずは、陳さんにお手本を見せてもらいます。
そして、また紙の両隅を真ん中で2回折り曲げます
|
|
その後、上の部分を中に押し込んで、完成!
|
みなさん苦戦中
参加者のみなさんも続々と挑戦していましたが、とても苦戦されていて、「難しい~!」と口々に言っていました。
欧米人や駐在員として台北に住まれているという日本人の方もチャレンジしていました。
説明を聞く後ろ姿も真剣そのものです
最後は質問タイム
漢方薬包みのあとは、質問コーナー。参加者はとても積極的で、いろいろな質問が飛び交いました。やはり漢方講座を聞きに来ている方々はすごいなあと、その熱心さに感心していたナビ。陳さんも、どの質問にも詳しく丁寧に答えてくれました。
たくさん出た質問の中から、なるほど~と思った内容をいくつかご紹介します。
Q. 漢方薬はどうやって保存するのがいいですか?A. 冷蔵庫で保存するのがベスト。ガラス瓶に入れるといい。カビが生えたら使えません。冷凍庫でも可。
Q. 漢方薬はどうやって質を見分ければいいですか?A. 色が鮮やかすぎるものは避けてください。例えばパール粉の場合、色が白すぎるものは避けたほうがいいです。ベージュ色のものがいいでしょう。また、パール粉は通常研磨した後にもいろいろな行程があるので、研磨したてのものもよくありません。パール粉の元のパールは、小さければ小さいほど質がよく、値段も高いです。
次々と質問が飛び交いました。
Q. 台湾産の漢方薬はありますか?台湾産の漢方薬のほうがいいのですか?A. 台湾産のものもありますが、中国産より値が張ります。また、偽物も多いので、台湾産は信用ができる人から買うようにしてください。また、質も台湾産がいいとは限りません。例えば菊花の場合は、輸入物は検査を受けているため、台湾産より安心です。蓮の実も、台湾産のものだと水がついている場合があるため、輸入物のほうがしっかりと乾燥しているので良いです。
Q. 漢方店を営んでいる人はみなさん長生きなのですか?A. うちの家系は長生きで、祖父も80歳以上まで長生きしました。しかし、お酒を飲んだりする人もいるので、一概には言えません。
台北街歩きツアー創設者の邱翊さんもQ&Aに参加してくれました
Q. どうしたら陳さんのようにスマートな体型になれますか?
A. 夏には自家製の酸梅湯を飲むといいですよ。自家製のものだと、糖分を調整できますし。夏には酸っぱいものを摂るのが身体にいいのです。うちのお店でも酸梅湯が作れるパックが売ってありますよ。
Q. 生理痛の時にはどんな漢方が効きますか?
A. 冬の場合は、十全湯(10種の漢方が入ったスープ)を3~5日間飲むといいですよ。
Q. 漢方店では脈を診てもらうこともできますか?A. 脈を診るのは資格が必要で、それ以外の人が診るのは違法になってしまうので、すべてのお店で脈を診てもらえるわけではありません。罰金は150万元もするんですよ!うちのお店では医者と契約して、毎週決まった日にお店に来てもらうようにしています。
熱心に耳を傾ける参加者たち
Q. 最近鶏精(チキンエキス)が流行っていますが、本当に身体にいいのですか?
A. チキンエキスは身体にいいですね。特に手術後や、出産後にはいいです。ただ、きちんとしたものを買うようにしてください。コンビニなどで売っている缶入りのものなどはあまり良くありません。
Q. 漢方は長く飲み続けないと効果が無いと聞きましたが、どのくらい飲み続ければいいのですか?
A. それは体質によります。4.5回飲んで効果が出る人もいますし、まちまちです。
とても勉強になりました。
Q. 子どもの咳やアレルギーには何がいいですか?A. 子どもには西洋人参が飲みやすくていいと思います。
Q. 漢方薬を煎じる時に注意すべきことはありますか?A. 鍋は土鍋やガラス鍋、ステンレス鍋を使うのがおすすめです。鉄や銅、アルミの鍋は漢方薬の成分と化学反応を起こして効能に影響を与える可能性もあるのでおすすめしません。
これ以外にも本当にたくさんの質問が飛び交いました。講座がお開きになったあとも、参加者が陳さんのもとに集まって、熱心に話を聞く様子が見られました。
講座の後に、日本人の参加者の方々に感想を聞いてみました。
講座を聞きに来ていた日本人交換留学生のみなさん。(左から山元さん、中野さん、山田さん)
淡江大学に交換留学に来ているという山元さんは、同じく交換留学生の中野さんと山田さんを誘ってこの講座に参加したそうで、
「漢方は体質にあわせてできるということを知った。漢方に関する知識が得られてよかった。漢方のお店が近くにないので、実際には使いにくいけれど、もしも近くにお店があれば使ってみたい」
と語っていました。
日本人にとって漢方はまだまだ馴染みの薄いものですが、漢方講座を通して、少しだけ身近なものになったよう。
漢方には興味があったものの、漢方店は少し近寄りがたく、なんとなくお店に足を踏み入れるのをためらっていたナビ。今回のレクチャーを通して、漢方について少しだけ知識がつきました。次回迪化街を訪れた際には、実際に「上乾元中薬行」におじゃまして、漢方薬にチャレンジしてみようと思ったナビなのでした。
以上、台北ナビがお送りしました。
基本情報
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2014-07-02