「バレエ界のニュースター中村祥子さん」ナビ単独インタビュー

日本バレエ界で注目のプリマ、中村祥子さんが6月20日、21日インターナショナルバレエスターガラ公演に出演(國家戲劇院にて)!お見逃しなく!

[2008 2nd International Ballet Star Gala in Taipei]
日時:6月20日(金)、21日(土)19:00より開演
場所:国家戯劇院
住所:台北市中正区中山南路21号-1
07年「クララ」10月号より 07年「クララ」10月号より

07年「クララ」10月号より

チャコットのサイトより チャコットのサイトより

チャコットのサイトより

こんにちは、台北ナビです。みなさん、来る6月20日と21日、インターナショナルバレエスターガラ公演が、ここ台北で開催されるのをご存知でしょうか?日本ですでにバレエのガラ公演などをご覧になっていらっしゃる方でしたらよくご承知だと思いますが、ガラ公演とは、いわば全幕物のバレエ作品の中から、一番の見所の部分を抜粋して演じるものなんです。主にパ・ドゥ・ドゥ(男女一組で踊るもの)が中心です。しかも、国際的に有名なダンサーたちがこぞって集まり、そのバレエの祭典がここ台北で観られるんです!
Daniil Simkin

Daniil Simkin

Leonid Sarafanov

Leonid Sarafanov

Yuan-Yuan Tan.Giselle

Yuan-Yuan Tan.Giselle

去年より初開催されている、このインターナショナルバレエスターガラ公演。今回もバレエファンなら見逃せない、サンフランシスコバレエ団のユァン・ユァン・タンさん、キーロフバレエ団のレオニード・サラファノフさん、パリオペラ座バレエ団のアレッシオ・カルボーネさん、シュツットガルトバレエ団のカティア・ヴンシュさん、リトアニア国立バレエ団の浜中未紀さんなど、そうそうたるメンバー。その中でも、今年は二度目の出演を果たす、ベルリン国立バレエ団のプリンシパル(主役を踊る最上級ダンサー)の中村祥子さん。今回ナビはインタビューを試みました!

スラっと長身の美しい、中村祥子さん。バレエファンの間では、もうおなじみですよね。近年では、Kバレエカンパニーのゲストプリンシパルとして、熊川哲也さんとも共演なさっています。まずは中村祥子さんのプロフィールからご紹介いたします。
チャコットのサイトより チャコットのサイトより

チャコットのサイトより

07年「クララ」10月号より 07年「クララ」10月号より

07年「クララ」10月号より

07年「クララ」10月号より

07年「クララ」10月号より

佐賀県出身。6歳よりバレエをはじめ、1996年にバレエの登竜門、ローザンヌ国際バレエコンクールでスカラシップ賞、およびテレビ視聴者賞を受賞。その後、ドイツのジョン・クランコ・バレエ・スクールに留学。1998年にシュツットガルトバレエ団に入団。その後ケガでいったん帰国、2000年、ウィーン国立歌劇場バレエ団の競争率100倍を越すオーディションに見事合格して入団。2006年には、ウラジーミル・マラーホフが芸術監督を務めるベルリン国立バレエ団に移籍。忙しいスケジュールの中、ヨーロッパのオフシーズンを利用して、日本でKバレエカンパニーやその他の舞台で活躍なさっています。

去年のインターナショナルバレエスターガラ公演(略してIBSG)で、すでに中村さんの舞台を目の当たりにしているナビ。あの時のエネルギッシュな“黒鳥”は印象的で、今でも鮮明に目の奥に焼き付いています。そのときの観客たちの反応も熱狂的でした。その中村祥子さんが今年もIBSGに出演するニュースを耳にしたナビは、さっそくIBSGの主催者側に掛け合ってインタビューのお願いをしました。すると中村さんからは快いお返事が。それでは、すかさずインタビューに入ります。
photo by Eduardo Patino photo by Eduardo Patino

photo by Eduardo Patino

ナビ:こんにちは。このたびはお忙しい中、台北ナビのインタビューをお引き受けくださってありがとうございます。

中村:いいえ、こちらこそ。

ナビ:中村さんは今回2度目の台北ですが、前回いらっしゃったときに、どこか台北の名所など行かれましたか?

中村:はい、IBSGの主催者がダンサーたちを率いて101ビルに連れて行ってくれました。あそこはとてもステキですね。




仲むつまじいIBSGの主催者と中村祥子さん
ナビ:そうですか。101ビルは台北のいわばシンボルといえるところですね。では、少し中村さんご自身のことを伺いたいのですが、初めてバレエを習い始めたのはいつごろからでしょうか。

中村:初めてバレエを習い始めたのは6歳の頃です。姿勢がきれいになるようにと、両親がバレエ教室を見つけてきて習わせたようです。

ナビ:トウシューズは何歳ごろからはかれましたか。

中村:トウシューズを履き始めたのは8歳か9歳頃だったと思います。

ナビ:中村さんは1996年にローザンヌ国際バレエコンクールで入賞していますよね。バレエで有名になるには、やはり世界的なコンクールで賞をもらわないとだめでしょうか。

中村:コンクールは私にとってもいい経験になったし、ローザンヌコンクールでは 留学という大きなチャンスを頂け、自分自身大きな一歩を踏み出せたと思います。でも、コンクールで賞をとることだけがバレリーナへ繋がるとは思いません。挑戦すること、それによって自分の踊りを深めていくこと、そしてコンクールでは たくさんのダンサーが集まります。こんなに様々なダンサーが集まるのは コンクールぐらいで、そこでいろんなダンサーを見て勉強していく。何が自分に足りないか、どのように表現をしているのか、見て研究することもすごく意味があるし、バレエ教室の中だけで踊ってきたところからたくさんのダンサーに会っていい刺激をもらえ、自分自身にもプラスになっていくと思います。
チャコットのサイトより チャコットのサイトより

チャコットのサイトより

ナビ:なるほど、そういった意味でコンクールは有意義なんですね。1998年にシュツットガルトバレエ団に入団されましたが、まもなく怪我でやむなく日本に帰国を強いられたそうですが、そのときは今までで自分にとって一番辛い時だったでしょうか?        

中村:あの時の怪我はとても辛かったです。踊りたいのに踊れないし、この先また踊れるようになるのかという不安もありました。でも、落ち込んでいた私を家族が支えてくれ、もう嫌だと何度も諦めようとする私を「まずは最後まで諦めずに頑張りなさい、諦めることは、いつだってできるんだから」と母に言われました。辛かった時期でもあったけれど、いろんなことを考え直すことができたし、自分にとって踊ることがどれだけ意味があることなのかを再確認できたし、今では必要な時期だったんだと思えます。

ナビ:その時期を無事乗り越えられて、本当によかったですね。それから、再度ウィーン国立歌劇場バレエ団に晴れて入団できたことは、血のにじむような努力があったとは思いますが、ご家族や回りの人たちの反応はどうでしたか。

中村:今でも家族はもちろんのこと、たくさんの方々に応援して励まして頂いています。とても感謝の気持ちでいっぱいです。バレエを通してたくさんの方との出会いがありました。そして皆さん、とてもバレエが好きで私の舞台を楽しみにしてくださっています。そのことが私にとってもすごく励みになるし、たくさんの人を喜ばせたい!という気持ちもさらに大きくなります。バレエはとても奥が深いです。言葉ではなく、身体で、踊りで、表現していくからこそ心の中の気持ち、自分自身がそのまま相手に伝わっていくし、心に響いていく。踊りを通していろんなことを伝えられるダンサーになりたいです。
photo by Eduardo Patino photo by Eduardo Patino

photo by Eduardo Patino


ナビ:そうですね、本当にバレエは奥が深いと思います。ところで、2006年にベルリン国立バレエ団に移籍されましたが、そこには何かきっかけがあったのでしょうか。

中村:ベルリン移籍のきっかけは、前に在籍したウィーンのバレエ団の芸術監督が新しく変わったことで バレエ団でのレパートリーなどが変化してしまったこと。そしてウィーンで6年過ごして家族のように慣れたバレエ団でこのまま変化なく、甘えていてはいけない、何かもっと前進すべきだと思ったのがちょうど重なって一歩踏み出す決心をしたんです。ベルリンを決めた理由は芸術監督のマラーホフを知っていたこともあり、彼自身もよくウィーンにゲストで来ていて、ベルリンバレエ団のことも話していたので彼のバレエ団に興味をもち、連絡をとりました。彼も私のことをよく知っていたので、オーディションをせずに電話でO.Kを頂きました。とても嬉しかったです。
photo by Eduardo Patino photo by Eduardo Patino

photo by Eduardo Patino

ナビ:それはすばらしい出来事でしたね。ところで、中村さんはとてもスリムなプロポーションでいらっしゃいますが、ご自分の体調をベストにキープする秘訣などがありましたら教えてください。

中村:ダンサーにとっては身体が資本なので、体調管理はとても大切です。私はバレエ団でマッサージを受けたり、食事ではマグネシウム、ビタミン、アミノ酸などは必ずとるようにしています。それでも朝から晩まで踊っているので疲れが溜まります。そんな時は、とにかく寝ます(笑)寝ることで体力を回復させますね。あとは気分転換に外を散歩したりすることも心を回復させるひとつです。

ナビ:なるほど、やはり疲れをためないことが秘訣のようですね。台湾にもバレエを習っている日本の子供達がいますが、バレエを続けていく上で気をつけたほうがいいことなどありますか。バレエ以外にも何か身につけたほうがいいことはありますか。

中村:好きなことを楽しむということが一番大切だと思います。好きなことであれば、楽しめるし、どんな辛いことも必ず乗り越えようと努力するし、諦めないはずです。やっぱり辛い時には手を休めたり、怠けたり、諦めたくなってしまいます。でも、あと少しの我慢だったり、努力で乗り越えられて頑張ってよかったと思えるときがあります。好きなことを一生懸命、頑張り続けることが大事です。そして自分自身をきれいにすること。バレエは言葉でなく身体で心で伝えるものだから、自分自身を磨いていくことも大事だと思います。
 
photo by Eduardo Patino

photo by Eduardo Patino

photo by Enrico Nawrath

photo by Enrico Nawrath

中村祥子さんの華麗な演技が見ものです!

中村祥子さんの華麗な演技が見ものです!

ナビ:バレエに限らず、何事も「好きこそ物の上手なれ」ですね。ところで、中村さんは2006年に熊川哲也さんと「若者の死」で共演されていますが、ご感想はいかがでしたか。                                                        
中村:熊川さんとは「若者と死」以外にも共演させて頂いたんですがとても素晴らしいダンサーで、ひとつひとつの作品に対してあらゆる解釈を持ち、とても真剣に臨まれていて、毎回ものすごく大きなエネルギーを感じています。一緒に同じ作品に取り組み、舞台に立たせて頂けてとても勉強になります。機会があれば、また違った作品を一緒に踊ってみたいし、熊川さんが一から新しく振り付ける作品があれば、最初から参加してみたいなと興味があります。

ナビ:いつかそれが実現することを願っています。今日はお時間をどうもありがとうございました。

中村:ありがとうございました。
photo by Eduardo Patino

photo by Eduardo Patino

バレエに対する真摯な態度を垣間見せてくれた、中村祥子さん。今回の舞台では三大バレエのひとつ、「眠れる森の美女」よりパ・ドゥ・ドゥ、それからジョージ・バランシン振り付けの「アポロ」よりパ・ドゥ・ドゥを披露してくれます。

台北ナビでは読者プレゼントとして、6月21日のIBSG公演のチケットをご用意いたしました。抽選で4名様に当たります!詳細は台北ナビのWEBサイト(www.taipeinavi.com)のお知らせコーナーをご覧いただき、edit@taipeinavi.comまで、メールしてください。

台北ナビでした。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2008-06-12

ページTOPへ▲

その他の記事を見る