秘境高山ウーロン茶の里・鹿谷郷探訪記

秘境の深山で摘まれた茶が、最高級ウーロン茶になっていく過程をつぶさに見学。知れば知るほど台湾茶の魅力に引き込まれちゃいます!

こんにちは、台北ナビです。台湾茶の中でも、さわやかな香りと美しい緑色の茶葉で人気の高い「高山ウーロン茶」。今回はその産地、鹿谷杉林渓の深山に進入し、茶摘みから製茶工程の大変な作業を見てきました。今までは楽しんで飲むだけだった台湾茶の味が、茶作りを知ることでグーンと深みを増しました!

◆ 高山ウーロン茶は秘境で作られる!

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早朝の台中駅に集合したナビたち。さっそく高速道路を通り、南投縣の方向へ車で向かいます。1時間半、鹿谷郷に入ってきました。ここ鹿谷は有名な「凍頂ウーロン茶」の産地で、付近の山で作られている高山茶の集積地でもあるとか。県道151線はお茶街道といってもいいくらい、無数のお茶販売所が連なり、凍頂烏龍茶、高山茶、杉林渓烏龍茶・・・看板もいろいろです。しかし今回目指すのは、さらに山奥の海抜2000m近い山々が連なる一帯。車は市街地を抜け、深い森の中へ前進~。
日本時代からあった「内湖」の小学校舎

日本時代からあった「内湖」の小学校舎

竹林を抜けて…

竹林を抜けて…

めざす茶畑はまだまだ先のようなので、途中でちょっと休憩。日本時代からあった「内湖」の小学校舎がとても美しく見学者も多いと聞き、寄ってみました。「パープゥー」と呼ばれる、手作りアイスを売っているおじさんにも遭遇。
パフパフのアイスクリームおじさん

パフパフのアイスクリームおじさん

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さすが山の空気はきれいでおいしいです。どこからか甘い香りも漂ってきました。でも周囲にそれらしい花は見あたらず・・・?何とこれはビンロウの花の香り。ビンロウ樹の上の方の黄色いホーキの先のような部分が花だそうです。山道を進んでいくと、竹林や杉の木立に混じって巨大なシダ植物、筆筒樹(蛇木)がいたるところに。だんだんジャングルみたいになってきました。






こんな原始的なシダ植物が生い茂る台湾の森
杉山渓森林公園に向かう山道、カーブを幾つも回りながら上っていき、やっと龍鳳峡という場所に。もうこの時点で海抜1700mは越えています。ここから車はガケにへばりついたような横道へと入っていきます。車1台やっとという道。崖下は数百メートルはありそう。もう車の中で真ん中に寄りっぱなしのナビ。こ、こんなところに茶畑なんてあるんですかー? 対向車が来ないことを祈りつつ、15分くらい行くと視界が開け、連なる山々の急斜面、ところどころに緑の縞模様が見えてきました。そばには細い鉄骨でバランスをとっている製茶場の建物が幾つか。こわい!すごい!を繰り返しているうちに車はぐるっと一つの山を回り、ついに目的の「揚津茶業」陳能輝さんの茶畑につきました。

◆ 茶摘みも命がけ?

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おお~!思わず声を上げてしまったナビ。まるで展望台のような製茶場の真下に茶畑が。笠をかぶった女の人たちが茶摘みの真っ最中。この傾斜60度くらいありません? 陳さん: 「はっは、そんなにあるわけないよ、45度くらいだよ。」 足をすべらしたら危ないんでは? 「慣れれば大丈夫。」 って、ナビ、慣れてませーん(泣)

海抜1000m以上で生産されるお茶を高山茶といいますが、ここ杉林渓の茶畑は1700m~1800mのところに位置しています。陳さんによると、この付近は土壌も気候も申し分なく、台湾で一番いい高山茶が採れるそう。まずはなんとか下りて行って、茶摘み娘(元)のおばちゃんたちに話を聞きました。




茶摘みは1年に4回ほど行われ、鹿谷の町から朝早く片道1時間半かけて上って来るそうです。両手の指にかみそりの刃をテープでまきつけ、摘むのは「1芯2葉」と呼ばれる、小さな芽と2枚の若葉の部分。一番若いという秋菊さんが、はにかみながら教えてくれました。

◆ 高山茶の製茶は2日かかります

日光萎凋(日干し)

日光萎凋(日干し)

ここで陰干しも

ここで陰干しも

揺青(まぜ)

揺青(まぜ)

秘境高山ウーロン茶の里・鹿谷郷探訪記 ウーロン茶 鹿谷 お茶 高級ウーロン茶茶畑 ←↑大きな引出しにマゼが終わった葉が並べられ、棚にしまわれます。(静置発酵)

←↑大きな引出しにマゼが終わった葉が並べられ、棚にしまわれます。(静置発酵)

職人の李さん

職人の李さん




摘まれた葉は、まず屋上に広げられて日光萎凋(日干し)。茶葉の水分が蒸発して、しなっとなってきたら、今度は室内萎凋(陰干し)に移します。これからどんどん気の抜けない作業に。葉と葉が触れ合うことで発酵が始まるので、揺青(まぜ)は非常に大事。温度・湿度・空気の対流など細かく管理された室内で、3回、揺青と静置発酵が行われます。ここでは職人頭の李さんの鋭い目と鼻が。どんな香りや味の茶にするのか、茶葉の状態を見極め、オーナーや買い付け人の要望に合わせ、長年の経験で何人もの職人さんたちに指示を出します。




殺青(発酵止め)は巨大なドラムの中。300度の高温で茶葉の酵素を破壊し、科学反応を止めます。このあとは揉捻(もみ)の機械。茶葉の組織が破壊され、茶汁が葉の表面に付着するそう。さらに初乾(初期乾燥)で茶葉の水分をとばします。ここまでの作業で一日目は深夜までかかるとか。


さらにナビたちは、前日の作業を終え一晩静置されたお茶に、布揉(布もみ) 解塊(ほぐし)、乾燥をくりかえす作業も見学。10数キロの重さの包みが勢いよくねじられたり、ほぐされたり。こうして包みの中でウーロン茶独特の半球形の形ができるんだそうです。この作業はなんと20回も繰り返し。最後に再び乾燥機にかけ、ようやく「毛茶」とよばれるお茶が完成。ここから先は、買った人が焙煎をしたり寝かせたりして、更に自分の好みのお茶にしていくんだそう。 

◆ 雲の上で、できたてのお茶を頂きました

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作業の合間、ナビたちも職人さんたちと一緒に昼ごはんを頂くことに。料理は陳さんの奥さんの蔡白梅さんが担当。普段は管理人しかいない茶畑ですが、約半月の製茶期間中、職人さんたちは山に泊まり込みだそう。しっかり食べないと仕事はできません。ナビも? もちろん遠慮なくおかわりしちゃいました。蔡さん、料理もお上手です。 
お昼の後はお茶をいただきながら、陳さん、蔡さん、それに買い付けに来たお茶屋さんも加わって、お茶談義になりました。日本語もできる蔡さんは、鹿谷郷農会主催のお茶品評会で審査員も務めているそう。品評会には4000軒以上の農家から出品されるそうです。女性審査員は多いんですか?(ナビ) 「3割くらいかしら。女性はお酒やタバコものまないから、舌が敏感なのね。」 へぇ~、男性中心と思っていたお茶づくりの世界でも、女性が大事な役割を果たしているんですね。 


午後になり、太陽が隠れたと思ったら付近の山肌から霧が次々と湧き上がってきます。製茶場はあっというまに白い雲の中に。高山のこの霧深い気候がお茶作りに最適なわけですが、道もよく見えません。陳さんによると、茶摘みの女性たちも3時過ぎには山をおりるとか。気温もだんだん下がってきました。 安全を考えてナビたちも早めに山をおり、鹿谷の凍頂山にある今夜の宿「鹿鼎荘」へ向かいます。 

◆ お店では和気あいあいで「品茶」

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宿での夕食後、こんどは陳さんのお茶販売店に行ってみることに。夜道を鹿谷の街から県道151線を反対方向に戻ります。陳さんのお茶は今までお茶屋さんや業者にしか販売しなかったそうですが、2008年の7月、一般客向けに「揚津茶業」のお店を初めてオープン。 入ってみるとなかなかのセンスの良さです。奥から、昼とはまた違った雰囲気の蔡さんがにこやかに出迎えてくれました。 


まず目につくのがキュートなアンテーク。野外茶会用の道具入れや、女性が愛用した小物入れ、嫁入り道具らしい手提げなどがきれいに並べられています。お値段は2000元~4000元くらいが中心。お茶だけでなく、それを楽しむ演出も考えた商品揃えが新鮮です。香港や大陸の本物だそう。


また店内の一角には日本風の茶室が。裏千家を習ったという蔡さん。近くの婦人たちに日本茶の作法も教えているそうです。畳の上に和服の帯が並んでいました。聞いてみると、台湾茶を入れるときにテーブルの前に広げて、「景色」にするんだそう。このアイデアいいですね、ナビ、いただいちゃおっと。




小さいパックに入ったお茶は4両(約200g)で550元~600元。1かめ5000元の「忘憂」という名前のついた年代物のお茶も。陶芸作家の茶器も品よくディスプレイされていました。 


さてお湯も沸いてきて、いろいろなお茶の試飲が始まりました。特に34年ものの老茶などは、その深い味わいは感動もの。軽発酵のウーロン茶が長い年月をかけてプーアル茶のような色になっています。ナビたちと同じ民宿からやってきたグループのお客さんたちも、説明をきいたり質問したり和気あいあい。時間はもう夜11時近いんですが(^^; 
お茶談義を聞きながら、香りを楽しみ、飲み比べ、味わう「台湾茶」。こうやってどんどんハマっていくんですね。一日の疲れも忘れ、いつまででも楽しんでいたい台北ナビでした。 

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2008-10-02

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