中国茶へのいざない その1

皆さんは中国茶について、どのくらいご存知ですか?ウーロン茶が中国茶だというのはご存じのはず。ナビが貴方を魅惑の中国茶ワールドへいざないます!

ニーハオ、台北ナビです。10月5日、土曜日の朝のことです。ナビはもう一人のお茶に憑かれた日本人女性と、10時50分にMRT淡水線「士林」駅のホームで待ち合わせをし、一路、南の終点駅「新店」へ、いざ!

坪林って、有名なお茶の産地


この日は前の日とうって変わって暑い。お茶作りは徹夜、というのは前回私たちも鉄観音作りで十分承知、とはいえやはり暑いではないか。2人とも睡眠不足での参加で、体力が不安になってきます。11時20分ごろ新店駅着。12時にお茶の町、坪林のガソリンスタンドで李先生と待ち合わせなのですが、路線バスは待てど暮らせど来ないので、タクシーに乗ってしまいました。700元。後で聞いた話ですが、バスは1時間ほどかかるそうで。李先生と他のお茶の先生方、学生さんたち、総勢20名ほどの参加。車4台に分乗し、お茶農家で、「老地方」(中国語でいつものところ、という意味)というキャンプ場を経営している鄭さんのお宅へ向かいました。

金萱烏龍、ミルクの香りのウーロン(烏龍)茶だよ


鄭さんの宅の農家もそうだけど、この坪林は「文山包種茶」(別名:清茶、香り高いウーロンの一種)の産地。春頃は文山包種茶作りにかかりっきりなのですが、季節によって「白毫烏龍」(別名:東方美人、熟した果実の香りで、これまたウーロン茶の一種)や「金萱」(台湾で改良されたお茶で別名:台茶十二号、甘いミルクの香り、やはりウーロン茶)、「翠玉」、「四季春」、そしてふつうの烏龍茶も作ったりするそうです。こういう書き方をすると???と思われる方も多いと思いますが、ウーロン茶にはいろんな種類があって、文山包種、白毫烏龍、金萱、翠玉、四季春、鉄観音、水仙、佛手、岩茶…これらはなんと、すべてウーロン(烏龍)茶に属するのです!ナビは、少々お茶にハマってまして、このウンチクを書き出すと止まらないので…、こういうお話はまた回を改めて。

さて、鄭さん宅では、もうすでにお茶摘みは終っており、私たちは次の段階からです。





まず、2人一組で10組編成になりました。摘み終わった茶葉を平たいかごに均等に分けていきます。各組6つのかごが担当。李先生や鄭さんの息子さんも登場し、朝摘まれた茶葉が約60かごに分けられました。




お茶摘み→{日光萎凋}(日の当る場所にしばらく静止状態でおく)から開始です。

オッと言い忘れましたが、今回作るお茶は金萱烏龍。茶葉が小さいのが青心烏龍という茶樹で、大きいのが金萱の茶樹。混ぜてあります。
青心烏龍

青心烏龍

金萱

金萱

いよいよ、長い道のりの開始です


強い日差しにあてられた茶葉は、しなっていく速度も速いです。フニャッとなってきたら日陰に移します。この段階で{お茶摘み}→{日光萎凋}→{日陰萎凋}を進みます。この{日陰萎凋}のときには中国語で「浪青」といい、茶葉を手で軽く下からすくってはパラパラと落とす攪拌?動作を行います。「浪青」(もう中国語をそのまま使っちゃいます)したら、棚へ置き、1時間待つことになります。この「浪青」は後4回もあって、「浪青」回数も増えていき、何も知らずに参加するとだんだん地獄…いえいえ、お茶作りの苦労が身にしみ、おいしいお茶葉はなるほどお値段も!というのがよくわかってきます。

お茶作りの醍醐味って?自然の中で自然に還る


1時間は早いものです。鄭さんのご親切で麺をいただきました。おいしい!
さて、さっきは前後往復1回の「浪青」でしたが、2回目はは前後往復3回です。微かですが、お茶の香りが~。茶葉もまだ青い状態なので新緑っぽいお茶の香りが漂ってきました。何だか幸せな気分。さて、次回3回目の「浪青」は1時間半後なので、私たちは皆で近所の散策に出かけました。お茶の町だからあたりまえだけど、見事にお茶畑が連なっています。
李先生が茶畑で茶講義を始め、みな神妙な顔つきで聞き入ります。台湾ではこういうお茶のつながりで、人間関係も広がっていくことがあります。今回のお茶作りに参加した人たちも、別のお茶会で出会っていて、あらっあの時の?で、すぐにおしゃべりが始まりました。お茶畑をのぞいた後は鄭さん宅の畑へ。ワアー、季節柄、中秋節に食べた文旦がまだいっぱい実っています。皆さん手でちぎり始めました。前回もお茶以外にこういう楽しみがあったから、再度参加したナビ。小川には空心菜が。唐辛子も、おもしろい形をしてるでしょ。
3回目の「浪青」は4時半くらい。その前に皆で文旦を食べ始めました。見かけは不細工だけど水分たっぷりでおいしーい。さてさて、4時半です。今度は前後6回の「浪青」。この「浪青」のための姿勢、腰にくるぜー。この時点で茶葉がかなりしなって収縮してきたので、かご6つを4つにしました。
次回4回目の「浪青」は2時間後の夕刻6時半ごろ。さあー今度はカラオケよー。えっー!なんという楽しいプログラム。キャンプ場の売店、食堂に野外カラオケ!があったのです。すご過ぎ。この設備の充実!しかも、先生、皆ともなかなかの歌唱力。こぶしが回ってますよー。「日本の歌を歌って!」という熱烈リクエストに、友人とナビはテレサテンを歌ってしまいました。だって、選曲アルバムの中の日本語の歌は古くて知らない歌の方が多かったし。しかし、皆さんノリますねー。ダンスをしてる人たちもいましたー。

浪青」ごとに香りが~。あ~だからお茶作りは止められない~


カラオケにノリすぎ(一番ノッてたのは李先生)、4回目の「浪青」の予定時間をちょっと過ぎてしまいました!先生。鄭さん宅に戻ると、もうお茶の香りがムンムンしています。今度は前後10回。4つのかごを3つにしました。皆かごに鼻を近づけ、こっちの方がいい香りよ、いえこっち、なんて言いあってます。
さて、また2時間後に「浪青」なので、夕食へと食堂に向かいました。地鶏や小魚、エビ、さつまいもの葉、全部自給自足の食材です。新鮮だからどれもおいしい!地鶏は夕方地鶏売りのトラックも来てました。鄭さんが地酒を持ち出し、皆に振舞ってくれます。
食事が終わり8時半、5回目の「浪青」です。これが最後の「浪青」。なんと前後往復15回の「浪青」で、ああー腰痛がー。この時点でもまだ茶葉内の香りは全部出きってないほうがいいそうです。香りが高すぎるのは、発酵が速く進みすぎて、お茶の味が薄くなるのだそう。皆かなり時間をかけて「浪青」を終えました。かごは3つから2つへ。

次は{発酵}の段階へと入りました。{発酵}から{殺青}(発酵を止める)まで約3時間。鄭さん宅の今年最高の出来だという白毫烏龍をいただきました。こーんなに甘くてまろやかな白毫烏龍は初めて。こーんなのに舌が慣れたら、ほかの白毫烏龍は飲めなくなりそうです。最高の白毫烏龍は飴色、といいますが正にまさに。ピーナッツやらお茶菓子も出てきて、またおしゃべりに花が咲きます。






…ナビは長い夜の序の口にやっと入り、これから一番過酷な真夜中の中盤戦へと…突入していくのでした…。

関連タグ:お茶ウーロン茶茶畑茶製作

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2003-04-01

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