中国茶へのいざない その2

再びニーハオ、台北ナビです。さて、前回は金萱烏龍を作るため、総勢20名が坪林になだれ込みました。お昼過ぎから途中飲め(お茶ね)や食えや歌えをはさみ…{茶摘み}→{日光萎凋}→{日陰萎凋=浪青}→{発酵}を夜11時までかかってやっていました。


◆お茶の{萎凋}とは?

ここで{萎凋}について簡単なご説明を再び。そもそも{萎凋}というのは茶葉の水分を飛ばす、という意味なのですが、短時間で水分が速く飛びすぎるとお茶の味が薄くなります(中国語で走水といいます)。また逆に水分が茶葉の中心に溜まってしまうとお茶の味が苦くなります(中国語で積水といいます)。だからこの{萎凋}の時というのは、もうすでに売り物にはなるかならないか決まるという、気がぬけない段階なのです。

◆日陰萎凋の時に行う{浪青}とは?

10月5日土曜日の午後は、ホントに{浪清}にかかりっきりになりました。茶葉を下からすくっては軽くパラパラを落としていく、という。おいしいお茶になってね、と念じながら、皆もナビもひたすらこの作業を繰り返しました。この{浪青}の時点でも、茶葉の発酵は徐々に進んでいるわけで、最後の{浪青}が終った後は、金萱の甘いミルクの香りが鄭さん宅の1階に充満していました。出来上がってお湯を注いだ時とはまた違う、さわやかな新茶っぽい香り、とでもいいましょうか。

{発酵}→{殺青}(発酵停止)


{日陰萎凋=浪青}が終わり、最初各組6つのかごで計60かごが、今は2つずつとなって合計20個になりました。茶葉ってこんなに収縮していっちゃうんだーと驚き。新芽の毛の部分しか使わない白茶類などは、畳12畳ほどの茶葉が、1斤分(600g)にしかならない、と聞くと頭がクラクラです。どおりで白茶は高級、というのもうなづけます。

{浪青}が終了し、あたり一帯にただよう果実のようなお茶の香りが、{発酵}によって、今度はもっと蜜の香りに近づくよう11時まで待ちました。茶葉には触れません。自然と香りがピークに達し、茶葉の淵が赤っぽく色づいてきたら発酵停止={殺青}です。{初乾}の段階に入るので、一組ずつ2かご持って作業場に入りました。

写真左から初乾機(最初に茶葉をざっと乾かす)、揉捻機(乾いた茶葉を揉む)、乾燥機(揉んで茶汁がでるのでまた更に乾かす)

{初乾}して試飲、結構いいんじゃない?


さて、初乾→揉捻→乾燥の一貫作業を終え、鑑定杯で試飲となりました。茶杯に茶葉を入れ、10杯分順番にお湯を注ぎ、李先生が5分測ります。時間がきたら別の容器にすばやく順番に移し替えます。うつされたお茶を各自がスプーンで一匙ずつすくい、自分の茶杯に入れて飲みます。ナビは5番。5番のおいしいよ、という声にうれしくなります。この時点でもう苦かったり、甘かったり、各組の特色が多少出てきています。でも、正直この時点ではまだ全然草っぽい味でまずい・・・。

試飲が終ったら、今度は初乾→揉捻→乾燥に更に茶葉を手で揉む同じく{揉捻}が加わりました。この作業が繰り返し20回以上、と聞いてああーもう倒れそー、と思ったのはナビだけではありませんでした。
~とりあえず休憩~

20回以上行うには体力が要ります。まずは夜食。あいだの時間はホントに食うか飲むかしゃべるか、ですね。ナビも真夜中の長丁場に備えるため、麺を食う姿勢にも気合が入ります。こんなとこで気合を入れてどうするんじゃ、という感じですが、空腹では力が入りません。

{揉捻}で、汗だく

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{揉捻}も器械でできるのですが、不十分ということで、人力で揉みます。これが相当大変。布を広げて、茶葉を入れ、その布をきつくきつく締め上げていきます。最初は絞るように、それから棒などもつかって徐々に。茶葉が入った布を直径20センチくらいの円形にしたら、それをまたもうひとつの{揉捻}機械で揉みます。約5分機械で揉まれ後に布を広げ、あつーくなった茶葉をバラバラとほぐします。そしてまた締め上げて。

汗だくになるし、女の細腕ではムリ。だんだん男性が絞り、女性はほぐし、となりました。ナビのとなりで、お茶の先生が「もう懲りたわ、こんなに大変なんて。」とブツブツつぶやいているのが聞こえます。この作業朝の4時半まで・・・。

パワー切れ、つかの間の睡眠の後、最後の乾燥機にもっていく




20回の「揉捻」が終ってから、1時間ほど置きます。そのころには茶葉が冷たくなってたので、先の初乾機でもう一度熱します。そして、さっきの作業をまた5回くり返し。まだ茶葉の「揉捻」が足りないからです。最後の「揉捻」でとどめをさし、しばらく放置。
やっと、仮眠の時間となりました。ああ、、もうすでに寝てる人も数名・・・。ナビも車のシートに倒れこむやいなや・・・夢の世界へ入っていきました。

朝7時半、深い眠りから起こされフラフラ。茶葉を乾燥機の箱に広げ、最終段階。どうですか?茶葉も丸まって、色もお茶色になりましたねー。
朝ご飯を食べに向かいました。朝ごはんも、たけのこ、アスパラ、おかゆの中の芋、、、すべて鄭さん宅の畑のものです。

ついに!できたー




朝ごはんを食べたら、少し元気になって、私たちは散歩に出かけました。空気がおいしいー。


11時半、ついに汗の結晶が完成しました。皆グッタリです。もうおしゃべりも言葉少なく。李先生もこの前の鉄観音より疲れたって。6つのかごが1つになって、1個のかごで4袋の茶葉ができました。

最後に試飲会です。色が濃く、香りもでています。まさに汗の結晶ですね!皆お互いをねぎらい、褒めあいます。
さて、鄭さんのご好意で、昼食会でお開きとなりました。
食事の時はとっても陽気な鄭さん、でもお茶作りのときは表情一変。厳しかったです。子供さんは3人いらっしゃるんだけど、お茶作りは継がせたくない、とおっしゃってました。あまりに大変だから。鄭さんのような考え方の茶農家は増えています。時代の流れと言えばそうなんですが、ちょっと寂しいですね。

ナビも2袋持って帰り、1袋はナビプラザに置いてありまする。ナビへお越しになられた方は、コーヒーよりもこのナビ茶をぜひお試しくださいね。以上、台北ナビでした。

関連タグ:お茶茶摘みウーロン茶発酵

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記事登録日:2003-04-07

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