老舗中の老舗、100年以上の歴史を誇るお茶屋さんです
こんにちは、台北ナビです。
台北では長春路や台北101にもお店を持つ「嶢陽茶行」ですが、どちらも外観は洗練された雰囲気で、ここ永康街にできた店舗もしかり。「鼎泰豊」がすぐ目と鼻の先にある関係で、日本人観光客も多いこの界隈。小籠包の順番を待っている間に、ちょっとこちらへ寄ってもいいかもしれませんね。
歴史に驚く
先ほど洗練された雰囲気、と書きましたが、お店の歴史は何と約170年にもなります。現在のオーナーの王端鎧さんは6代目。こんなに長い歴史の店なら外観は重厚でレトロなはず、ですが、長く続けてこられた理由の一つには、時代の波をうまくとらえ柔軟に対応してきたからこそ、この歴史が築けたのだともいえます。店内の後方の壁には往年の写真がずらり。一番上には初代厦門の建物の写真が。見ての通り当時はしゃれた建築だったそうで、今は1階は依然として茶を営み、上階は住居だそうです。その下にあるのは香港の店先。いい感じの店構えの様子ですが、すでに大きなビルに姿代わりしたそう。一番下は台湾の大稲埕。台湾の茶業の発祥地で民生西路沿い。店の前にいるのは、王さんのお父様だそうです。
中国大陸から茶業を起こし、台湾へと拠点を移してきた「嶢陽茶行」。それなら、中国のお茶も含め、ものすごい種類類があっても不思議はないはず、なのですが、ここでは、徹底して「台湾茶」にこだわっています。しかも「台湾茶」だけでこれだけの種類をそろえているのは、長い歴史の中で培ってきた知識と経験、そして茶農家との人脈なども関係しているのです。
ティーカウンター!
お店は細長く、中央にはバーカウンターのような茶カウンターがあります。昔ながらのお茶屋さんならテーブルは大きく、「ささっどうぞ」と着席をすすめられ、向かいに座る店主が差し出すお茶を神妙にいただき、「おいしいですね♪」なんて、言っちゃう感じですが、ここではティーカウンターなので、体を斜めにして、肘をついてちょっと一杯でもいい感じです。
王さん曰く「ここは観光客の街、皆入って買って去っていく。街に合ったカウンターはこういうものだよ」とのこと。ナビ、ここで小一時間ほど写真を撮ったりしながら、お客さんをちらちらと観察していましたが、確かに王さんの言う通りで、皆さん店内滞在時間が短い。しかも韓国人、中国黒人、日本人、英語を話す人と多国籍で、スタッフたちは皆言語も卓越していて、どなたにも柔軟に対応していました。たくさん購入されお会計などを待っている間やじっくりとお茶を選びたい方は、どうぞこちらに座ってくださいね。
店に入ると誰にでも、その時々で一番おいしいお茶も差し出されてきますよ。
カウンターは会計の隣
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お茶は常時2種類は準備されています
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店に入って右側には日本時代の大きな台湾の地図があり、各茶葉の産地が表記されています。ここで台湾茶の種類の豊富さに驚きます。上の地図で、場所を確認。そして壁の木札を見ると、右から茶葉の季節が記されています。中国語で書かれていますが、立春雨水、育苗や除草などの文字に、茶農家の1年の作業順序がよくわかります。そして、どの時期にどのお茶が新茶として飲めるのかも一目瞭然。茶葉で一番最初にあるのは「三峡碧螺春」。台湾では少ない緑茶で、新北市の三峡が産地です。日本人が好む阿里山烏龍や凍頂烏龍は、旧暦の清明節前後に茶摘みをする春が新茶になります。そして、標高が高い杉山渓や梨山、大禹嶺がそれに続き、ウンカがついばんだ東方美人は夏に入ってからです。ここ数年人気が出てきた蜜香紅茶は更にその後。秋から冬にかけては、キンモクセイなどの香りづけの烏龍茶が出てきます。となると、春に東方美人を購入したら、それは新茶とは言えないですね。でも、近年は保存状態も良好なのでそんなに気にすることはないです。また、日本の緑茶と違い、烏龍茶類は湿気のないところで保存しておけば、1、2年くらいは普通においしく飲めます。いい茶葉を買ったら、何年も寝かせて、ビンテージ級にもっていくこともできるのです。
地図は日本人がなじみのある表記
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場所もよくわかります
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夏が過ぎたら 東方美人
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そして紅茶が続きます
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木札にある茶葉はすべてこちらで購入することができます。木札の下には実際の茶葉が入った缶があるので、自由に蓋を取って香りをかいでみてください。茶葉の横には、名前とグラムと金額が明記してあり、茶葉マークの茶色は焙煎具合、緑は発酵度を表しています。はて、棚の右の方には、武夷、肉桂、鳳凰単欉の茶葉。王さんにこれは中国茶では?と聞くと、中国の苗木を台湾でオーガニック栽培したものだそうです。まだ量的には少ないようですね。
花茶類は、ティーバッグになっています。梔子(くちなし)茶がありました。茉莉(ジャスミン)は若くて香りが高いですが、梔子の香りは濃く、落ち着いた風味。そして桂花(キンモクセイ)は位の高い貴婦人。とはオーナー王さんの弁。どれも台湾産で、ジャスミンは茉莉花の故郷と言われる彰化の花壇、くちなしは、新北市の八里。キンモクセイは南投産です。ナビが気になったのは梨山紅茶。台湾は元々紅茶輸出国でしたが、やがてウーロン茶にとってかわられ、2000年前後にかつての大産地であった日月潭から再び火が付きました。今では東部の蜜香紅茶や紅烏龍は有名ですが、阿里山や梨山でも栽培されているんですね。茶樹は青心烏龍で、標高の高い地で採れた台湾紅茶は味も格別なものがあります。香気の高さ、甘み、そして、のどのあたりに残る回甘(コク)の長さなどは、「極上」以外の言葉が見つからないほど。
きれいなパッケージ
ずらり
一番お手軽で買いやすく、贈り物としても喜ばれるのは、50グラム入り340元の茶葉たちで、全部で10種あります。かわいらしい缶の模様は台湾の花などをあしらっています。種類は、茉莉花茶、梔子烏龍、桂花烏龍、東方美人、玫瑰鉄観音、鉄観音、阿里山金萓、阿里山烏龍、凍頂烏龍、そして、普洱茶。普洱茶だけは中国産です。花茶は缶の中でもティーバッグで12パック入っています。
お茶を身近に気軽に飲んでほしいという「嶢陽茶行」の気持ちが、パッケージや組み合わせに見て取れます。きれいな茶杯が付いたセットもいろいろあり、目的と用途によって選ぶことができます。台湾茶にあまり親しんでいない人には、パッケージのきれいな軽量のものを。お茶飲んでます、という方には大きな缶もいいと思います。大きな缶も蓋にボタンが描かれていたりと素敵ですよ。飲み終わった後の缶には、また新しい茶葉を買って詰めましょう。こちらでは同じ模様でも100や150グラムのサイズの缶もあるので、飲む量によって購入もできます。
茶器名家の購入もできます
入口は行ってすぐのところに章格銘さんの作品が並んでいます。作家ものなので、値段はそれなりにしますが、彼の茶器はデザインだけでなく、実用面にも長けています。マグカップもいいし、長く大切に使いたい、そう思える作品です。
奥の方にも、縞模様が素敵で、人肌になじんでとっても持ちやすい黄玉英さんの茶杯や野柳の女王の頭をかたどった張士奇さんの茶器セット、金色が鮮やかな井渼渼さんの茶器などがありました。井渼渼さんの茶壺は使わないで、ずっと飾っておきたいほどきれいです。
永康街には、たくさんのお茶屋さんが軒を競っていますが、その中でも品質、内容ともにハイクラスで、贈り物としても胸を張って渡せるお茶をお探しなら、ぜひこちら「嶢陽茶行」永康店にも寄ってくださいね。
以上、台北ナビでした。