閉店・移転、情報の修正などの報告

昔ながらの龍山寺エリアにたたずむ台湾高山茶専門店「千立茗茶」、高級高山茶のやさしく奥深い滋味を堪能しましょう。

こんにちは、台北ナビです。
最近台北の町並みがきれいに整いつつありますが、まだまだ昔懐かしい町並みが残る龍山寺エリアに、台湾高山茶専門店を発見しました。今日は、良心的なお値段で、高級高山茶のみを販売する「千立茗茶」をご紹介します。

シンプルな心地よい店舗

庶民的なお店が立ち並ぶ龍山寺で、古いけど懐かしい昔の佇まいが多く残る桂林路に、ふっと綺麗なガラス張りの茶行(お茶屋さん)、「千立茗茶」が見えてきます。決して豪華な造りではありませんが、グレーな町並みに緑色の外観が映えるシンプルな店舗全体が、ガラスを通して見えるので、安心して入店することができそうな雰囲気です。
すがすがしいグリーンの店舗 上部に日本を応援する横断幕がうれしい。

すがすがしいグリーンの店舗 上部に日本を応援する横断幕がうれしい。

お店の左右は

お店の左右は

こんな感じ

こんな感じ

お店は新しいけれど


「千立茗茶」は、黄さんご一家が今からおよそ半年前から始めた茶行(茶葉店)。ナビがお邪魔したのは平日のお昼過ぎで、ちょうどお客様が途切れる時間帯。店長の黄冠傑さんがお相手をしてくださいました。
店舗も新しく、取材に行った5月から約半年前に開店したそうなのですが、黄さんご一家は昔からお茶好きで、特にお父様は飲茶歴30年以上。台湾の高山茶をこよなく愛し、茶農家とも親しくしていたこともあり、ついに茶業を始めたのだそうです。長年培った感覚とネットワークで、ご自分の好きな高山茶のみに絞って仕入れ、販売を行っています。

高山茶のみを扱う本格的専門店


高山茶の王者「大禹嶺」

高山茶の王者「大禹嶺」

阿里山茶

阿里山茶

梨山茶

梨山茶

品質には自信あり

品質には自信あり

繰り返しになりますが、千立茗茶の品揃えの最大の特徴は、阿里山、梨山、大禹嶺の高級高山烏龍茶のみを扱っているところです。お父様の黄さんは、お話の中で、高山茶のことを「高山緑茶」と呼ぶことがありましたが、まさに言い当てて妙で、大きい葉が繋がっているのに、茶葉そのものはとても柔らかく、緑色がかったふくよかな黄色の茶湯は、まるで緑茶のように若々しいのです。焙煎なしの高山茶一本で勝負するときめて、専売店を開いたのですから、店に置いてある商品はどれも自信を持てる高品質。ですから勿論、夏と秋に作られたお茶は販売していません。これらの茶葉は苦渋が強く、葉が硬いので、夏秋は茶作りに向いていない季節なのだそうです。
多くの茶行では、いろいろなお客様のニーズにこたえるため、広く少なく(いろいろな茶葉を等級は少なく)商品を揃えているところが殆ど。そうでなければ、狭く多く(種類少なく等級を多く)という風に、とにかく訪れたお客さまの好みにどれかが当てはまるように、という品揃えをするお店が多い中、千立茗茶は珍しく、茶の種類は独自に厳選した阿里山、梨山、大禹嶺の球型の高山烏龍茶のみで、茶具茶器類やお茶うけは一切扱っていません。焙煎無しの高級高山茶一本で勝負、だそうです。お店に飾ってある素敵な宜興の紫砂壺は、お見せするだけでお譲り出来ません、と度々お客様に説明するそうです。
千立茗茶では、陽明山の湧き水でお茶を淹れるそうで、台湾茶を台湾の山水でいれるなんて、オシャレじゃありませんか?

お湯が沸くまでのお楽しみ


お茶の種類が少なくても、退屈はさせません。童心に戻って楽しめるエンターテインメントが用意されています。先ずは、下の写真をご覧ください。
裏

表

日本統治時代のコイン。使われている金属の質がよいので、こんな風に中心を爪で支え、2枚をお互いにはじき合わせると済んだ美しい音がします。チーーーーーン♪
 
これは、ちょっと気恥ずかしい小物。クレヨンしんちゃん、
小坊主が、お湯をかけると勢い良くおしっこを飛ばし始めます。内部の空気の膨張や収縮を利用した玩具です。鶯歌などで見かけたことがあるかもしれませんが、結構可愛いです。洗茶した熱湯をただ捨てるだけでなく、茶杯を温めた後にこの子達にかけてあげれば楽しめます。菩薩さまの場合は、手にお持ちの水入れから聖水が噴出します。
熱湯をかけると

熱湯をかけると

おしっこが!

おしっこが!

うわっしんちゃんこっち狙ってる?!

うわっしんちゃんこっち狙ってる?!

小坊主はやんちゃに用を足し

小坊主はやんちゃに用を足し

菩薩さまの持つ容器からは聖水が

菩薩さまの持つ容器からは聖水が

木製のカエルさんの背中のギザギザを、加えている木の棒でこすると、カエルの鳴き声そっくりの音が出ます。こする速度を調節して、よりリアルなサウンドを追及するのもまた、楽しいです。また、黄さんのコレクションの宜興の茶壺もすてきです。
可愛いものばかりなので、過去に何度も「譲ってください」と頼まれたそうですが、非売品なのだそうですよ。

お店の外にも楽しみが


ガラス張りに緑の看板が美しい千立茗茶の店舗ですが、良く見ると外に向けて薄型テレビが取り付けられています。これで、外を通るお客さんに向けて、茶摘みや製茶のビデオを流すのだそうです。見せていただいたところ、とても綺麗に仕上がっているので、プロに頼んだのかと思ったら、ご自分で編集なさったとのこと。ご親戚または親しい茶農家や製茶師さんに頼んで、特別に撮影させてもらった画像だそうです。皆さんも、前を通ったら注意して見てみてくださいね。

高級台湾高山茶をいよいよ試飲


お湯が沸き、テーブルに茶器も用意されました。いよいよ試飲です。普段は滅多に飲めない高級茶をいただけるという期待に胸膨らみます。茶壺ではなく、真っ白な鑑定杯が用意されました。利き茶ではないのに、鑑定杯でお茶を淹れるところに興味がわきました。純白の磁器で出来た鑑定杯は、味、香り、茶葉の状態など、その茶の本質を、長所も短所もすっかりあらわにしてしまいます。ですから、茶を売る側が自ら鑑定杯をしようするのは、リスクがあるのだそうです。
お聞きすると、千立茗茶では普段から、お客様の試飲のためのお茶を淹れるのに、茶壺は使わないそうです。なぜなら、自分が販売するお茶に絶対の自信を持っているからだそうです。上手に手入れされた茶壺は、慣れた淹れ手が、いろいろなテクニックを駆使すれば、お茶を実際の品質より美味しく淹れる事ができてしまうそうで、あえて茶壺は使わないのです。それは、お客様が買って帰ったあとに、良い状態の茶壺で淹れるとは限らないので、茶を淹れる技術は関係なく、そのものの味香りを試してもらい、気に入ったら購入を決めてもらいたいという思いから、「鑑定杯」を試飲に使うのだそうです。

試飲は、等級の下から上へ


一種類目は、阿里山烏龍150g500元のものを淹れてくださいました。これはこのお店で扱っている茶葉の中では一番お安いものだそうですが、一般的には十分良いものです。淹れる前の茶葉が粒ぞろいで光沢もあり、とても綺麗なのに感心しました。淹れる前の茶葉の粒と艶は、お茶の品質判断の参考になりますから、これは期待大。
淹れていただいたお茶は、聞香杯から茶杯へ移し、先ずは香りを楽しみます。聞香杯の温度を下げるため、両掌に挟んで転がします。あまりに熱々だと、かえって香りをかぐ妨げになるのだそうで、少し散熱を促してから香りを楽しみます。うーーーん、良い香り!!高山茶独特の、甘~い香りが立ってきます。茶杯に移した茶湯は、高山茶独特の緑を帯びた黄色が美しく、水面がつやつや輝いています。これで、一番安いもの?信じられません。茶葉の量は決して多くはないのですが、茶葉の含まれる成分が豊富なことから、この状態で6~8煎は淹れる事ができるそう。
同じく聞香杯から茶杯に茶湯を移し、掌で聞香杯を転がして温度を下げます。先ほどより上手くなりました。カメラマンは手の皮が薄いのか、とても熱がって自分では出来ずにいました。それほどの熱々状態です。

次に、梨山茶150g1200元のものを試しました。お値段は先ほどの倍。息子さんで店長の黄冠傑さんは、鑑定杯と熱湯を手際よく扱いながら、お茶を淹れてゆきます。さすがお値段が倍よいだけあって、先ほどの阿里山500元のものよりも、香りも甘みも勝っていると感じました。
喉に感じる甘さと残る香りが大変豊富。先ほどのものもかなり美味しかったけれども、こちらは更に美味しかったです。
3種類目は大禹嶺を試飲しました。大禹嶺といえば、海抜2600メートルの茶畑で栽培される高山茶の最高峰。先ほど十分美味しく飲んだ阿里山よりずっと海抜の高いところで作られたお茶は、一体どんな滋味がするのでしょう。期待MAXのナビの前に、ふくよかに香る黄緑色の茶湯が注がれました。
見た目にも成分の豊富さが十分に感じられる一杯のお茶からは、今までより一層甘い香りが立ちのぼっています。聞香杯の香りも、前での2種類とは全然違います。味わいは、力強いまろやかさ、とでも表現すべきでしょうか。香りも甘みも深みも、全てにおいて勝っているのに、とてもまろやかで嫌な鋭さは全く感じられません。最高級の実力。さすが、高山茶の王者「大禹嶺」です。以前は半斤や一斤といったまとまった単位で取引されていましたが、最近では2両(75g)や150gといった小分けで売られている事もあるので、鮮度も保ててよいですね。ちなみに、千立茗茶では、すべてのお茶を150gを単位として販売しています。
阿里山茶(150g500元、700元、1000元)
梨山茶(150g1100元、1200元)
大禹嶺(150g1600元、2800元)

良いお茶は茶殻も美しい


鑑定杯で淹れても全く遜色のない香りと味わいをかもし出せる千立茗茶のお茶のもう一つの楽しみ方は、お茶がらの観察です。綺麗な緑で弾力のある茶殻は高品質の証。所望すれば、目の前で鑑定杯から出して見せてもらえます。
純白の鑑定杯の蓋を開けると、ふっくらと膨らんだ瑞々しい緑色の茶葉がのぞきます。その緑色といったら、乾燥以外の焙煎をしていない高山茶ならではの、摘まれる前の新鮮な様子が保たれていて、とても美しいです。

頼れる日本語の出来るスタッフさん


朝の9時から夕方の6時まで、日本語の出来るスタッフさんがいるのも、心強いです。日本語スタッフさんが万一いなくても、筆談でかなり通じるとは思いますが、それでもやはり日本語でないと不安、と言う人は、夕方6時前に来店しましょう。

化粧箱が豊富


贈答品は豪華にという人には、別売りの化粧箱をお勧めします。TPOにあわせて、化粧箱を選んでみましょう。
化粧箱は、50元、200元、350元など、いろいろ揃っています。阿里山鉄道が絵柄になっている箱や缶、シンプルな高山茶缶など種類が豊富で楽しいです。また、高級茶大禹嶺を送るなら、大禹嶺缶で高級茶をアピール。

アットホームなもてなしが魅力

親子3人で経営。

親子3人で経営。

千立茗茶は、黄さんご一家で営む親しみやすいお店です。仲の良さそうなお父様とお母様、そして息子さんで切り盛りしている茶行です。龍山寺に観光に来た日本人がふらりと入ってくる以外は、お客様のほとんどが台湾人だそうですが、その暖かいもてなしから、徐々に口コミで日本人客が増えて来ているそうです。こんなに暖かいおもてなしを受けたら、日頃仕事などで疲れた心が癒される事間違いなし。ツンとこじゃれたモダンな台湾もいいですが、ナビ自信は、熱い人情が感じられる台湾のほうが、らしくて好きです。
多様化が著しいこの時代に、あえて自分の本当に好きなもの、そして、売りたいものに商品を絞って専門性を高める千立茗茶の商売は、今の時代においては却って新しいのかもしれません。皆さんも、龍山寺周辺に行かれる時は、千立茗茶に立ち寄って、美味しい台湾茶をゲットしてみてはいかがでしょう。
以上、台北ナビでした。


記事登録日:2012-06-12

ページTOPへ▲

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

スポット登録日:2012-06-06

スポット更新日:2014-09-17

チェックイン日
宿泊数
部屋数 部屋1 大人 子供