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萬國法律事務所

台湾で3本の指に入る法律事務所。企業法務からクーリングオフまで、法律のエキスパートが日本語で相談にのってくれます!
萬國法律事務所
マングオ ファーリューシーウースオ


こんにちは!台北ナビです。今日は仁愛路の福華飯店近くにある萬國法律事務所に伺いました。台湾・日本の官公庁や一流企業を顧客にもつ大手の法律事務所ですが、実は遺産相続やセクハラ、賃貸借など、台湾の法律に関することならなんでも相談できる、心強い存在だったのです。

主力メンバーであるパートナー弁護士・黄三榮さんと、日本法務顧問の村永史朗さんにお話を伺いました。台湾で交渉をするときの心構えや、台湾法曹界がかかえる問題、弁護士になれる環境(?!)なども教えて頂きました。



 大企業から個人まで対応

日本の名古屋大学に留学していた黄さんは日本語ペラペラ!萬国法律事務所には、法務顧問・通訳として日本人も3人います。余談ですが、アメリカに留学していた弁護士も多く、台湾とアメリカのライセンスを両方持っている方もいるそうです。アメリカ人やオーストラリア人の弁護士も抱える国際的法律事務所なのです。

  黄三榮さん(以下敬称略):
「リラックスしてください。法律事務所にくると皆さん緊張しますね」
ナビ:「もうしてます(笑)。日本人はなるべくならお世話になりたくないところだと思ってますから」
黄:「台湾人もそうです(笑)。でも、実際はリスクを未然に防ぐところなのです」
村永史朗さん(以下敬称略):「事態がこんがらがってからより、はじめのうちに相談して頂いた方が早く解決できます」
ナビ:「萬國さんの顧客名簿をみると、大きな会社が多くて気後れしてしまいそうなのですが、個人がお願いすることもできるんですか」
黄:「確かに数は企業より少ないですが、台湾の法律に関することならなんでも対応できます」
村永:「さわりの部分だけ電話で相談することに関してはお金はかからない場合もあります。個人の方の生活に関する法律相談であれば、お金のかかる依頼になる以前にアドバイスできることも多いと思います、お気軽にお電話下さい」
黄さん「日本に留学していた弁護士も多いので、日本の方と交流したいと思っています。イベントに関する協力とか。人手が足りなかったら手伝いに行きますよ(笑)」
ナビ:「村永さんを窓口にしちゃっていいんですか(笑)」
村永:「構いません」
ナビ:「今まで扱った個人の案件はどんなことがありますか」
黄:「賃貸借や、会社での労働条件のトラブル。台湾人と日本人のカップルの協議離婚の際は、市役所に行って戸籍を抜いたりとか」
ナビ:「へえ」
黄:「こんなこともありました。日本に長く住んでいた台湾人(日本に帰化)が、日本で亡くなった。その遺産を相続する資格のある人が、台湾にもいるのかどうかを探すのを頼まれました」
ナビ:「人捜しですか。そんなこともあるんですね」

著名な活動家、郭雨新の書。「さつまいもは地に落ち腐っても後悔しない。ただ子孫が枝葉を広げ、生き延びられればと考える」サツマイモとは台湾の意。1974年、戒厳令下で創立された萬國法律事務所は、民衆運動の発展にも力を注いできました。創立メンバーのひとり頼浩敏所長は東京大学に学び、萬國が日本業務を始めたのも頼所長の功績だそうです。


 パートナー弁護士とは

  ナビ:「萬國法律事務所には、現在50人以上の弁護士さんがいらっしゃるんですね。大所帯ですね〜。男女比は?」
黄:「半々ぐらいです」
ナビ:「えっ、半分女性なんですか?!」
黄:「そうですよ?日本は違いますか」
村永:「日本は25%ぐらいでしょう」
黄:「裁判官はもっと多いです。半分強は女性のようです」
ナビ:「台湾の女性は口が強いからなりやすいとか」
黄:「そんなことはないです。女性は勉強をするのがうまい。でもそれが問題になってきています。女性に限らず、勉強をするのがうまい人が学校をでて試験に通ってすぐ裁判官になってしまう。もともと家庭環境もめぐまれている人が多い。実際の社会は複雑で猥雑なのに、社会経験もない人間が裁けるものなのか……。特に性犯罪などは、女性裁判官には何が行われているのか理解できない場合がある。審理の間に色々と問題が出てきていると思われます」
 

  ナビ:「黄さんは萬國のパートナー弁護士という主力を担っていらっしゃるわけですが、パートナー弁護士になるには何か資格があるんですか」
黄:「6年以上勤めていることや、チームワークを大事にすることでしょうか」
村永さん「功績、人柄、事務所への貢献度もあります」
ナビ:「黄さんはおいくつなんですか」
黄:「昭和39年生まれです」
ナビ:「昭和で出るところがすごい。お若く見えますね!」
黄:「弁護士にとって若く見えるのはあまり良いことではないかもしれません」
ナビ:「台湾ではある程度年をとっていないと軽く見られますね」
村永:「弁護士に関しては日本でもそうでしょう。若いと、この人で大丈夫なのかと思われる」
ナビ:「なるほど」
村永:「しかし彼(黄さん)は、クライアントと関わっているうちに確実に信頼を築くタイプですね」
ナビ:「黄さんの著作をみると、インターネット関係、バイオ、環境問題も専門ですか」
黄:「自分の興味の方向はそれです」
ナビ:「インターネット関係で、お仕事というと?」
黄:「主にeコマースの依頼です。バイオは新しい分野ですので、法もまだ未整備です。日本の厚生労働省にあたる台湾の省庁から法律作成の相談を受けたりしています。薬品会社の特許、遺伝子の研究、病院とバイオ企業の間の争いの仲裁などにも入っています。また中原大学で非常勤講師としてバイオテクノロジーと法律という授業も受け持っています」



 弁護士になったいきさつは?

  ナビ:「すごいですね。ちなみに黄さんは何故弁護士になろうと?」
黄:「ええ?偶然です」
ナビ:「偶然で弁護士になれるのか」
黄:「私の時代は、試験の成績で大学も学部も決められてしまいました。私はあまり成績が良くなかったから法学部にしか行けませんでした。大学に入ってから姉の薦めで台湾大学への編入試験を受け、合格しました。」
ナビ:「そして司法試験に受かって。司法試験はどのくらいの確率で受かるんですか」
黄:「8〜10%です」
ナビ:「一回で受かったんですか」
黄:「幸運なことに。兵役の間ヒマだったから勉強して。島で他にすることがなにもなかったので(笑)」
ナビ:「なるほど(笑)。勉強するには良い環境かもしれません。村永さんは台湾にいらっしゃって何年になられるのですか」
村永:「10年です」
ナビ:「萬國へ入られたきっかけは?」
村永:「偶然です(笑)。台湾大学の法律研究所を卒業するときに、教授にここ(萬國)を紹介されたんです」 黄さんは日本と台湾の法律の比較研究もされています。最近の弁護士さんは、グローバル社会に対応するために外国語はもちろん他の国の法律まで勉強しないといけないのだということも分かりました。自分の国だけでも大変なのに、いや〜すごいですね。」
 


 萬國法律事務所の主な業務について

萬國法律事務所の業務は大きく3つに分けられます。
訴訟、仲裁業務
商業訴訟、財産訴訟、仮差し押さえ、証拠保全、強制執行、外国判決・仲裁の承認、婚姻・相続事件、刑事弁護、告訴、自訴の代理、渉外当事者刑事事件、海外訴訟の台湾における証拠収集、証人尋問手続きに対する協力、台湾と中国大陸との間の刑事事件、工事・貿易・海事・ICC仲裁、再調査・補充陳述・異議申し立て、訴願、行政訴訟など。
会社、証券、金融業務(非訟ビジネス法律)
会社設立・清算、会社投資及び合併・買収、金融・銀行及び証券、租税、労働、会社法、公平交易法、契約ドラフト、交渉、商業交渉、技術提携。
知的財産権業務
特許、商標、著作権、営業機密、競業禁止、不正競争、知的財産権管理、特許ポートフォリオ、特許マップ、特許訴訟、IPデューティーリジェンス、権利侵害分析、侵害への対応、提携開発、技術投資評価、権利特許交渉、教育訓練など。


主なクライアントは官公庁や企業です。一例として、台湾の中央健康保険局・台北市政府捷運行程局・中央銀行・中華職業棒球連盟・ファミリーマート・味全などが顧客です。驚いたことに、案件の3分の1は日本企業によるものだそうです。日本の交流協会をはじめ、様々な業界・業種の日本企業の法律顧問を務めています。日本企業の依頼する案件のほとんどは『非訟ビジネス法律』に属するもので、萬國の「日本担当チーム」14人のうち9人はこの仕事をしているとか。

  ナビ:「会社の設立などの場面では、法律事務所と会計事務所って仕事ダブってますよね。違いはなんですか?」
黄:「法律事務所には弁護士がいる(笑)。それと、法に則って厳密に申請をします。会計事務所さんは法の解釈の幅が大きいですね」
ナビ:「書類の作成から申請までお願いできるのに変わりはない」
黄:「そうです。例えば知的財産権でいうと、出願して権利を取得する、活用の場面ではその権利を使って製品を作るのか、または他の会社に貸し出すのか。侵害行為が発生したときにはその交渉。それでもダメなら仲裁や訴訟へと。全般にわたってサポートします」

充実した日本語のパンフレットが用意されています。また企業法務に関してのQ&A集も沢山あるそうですので、必要な方はお問い合わせ下さい。

 台湾人とビジネスをするとき

  ナビ:「日本人と仕事をしていて、台湾についてここが分かってない、と思うことはありますか」
黄:「特には無いです」
ナビ:「本当に?」
黄:「日本の方は、日本人と台湾人は近いと思っていて、違うということに気づくことはあるかな」
村永:「台湾人はアメリカ人に近いかも」
黄:「一概には言えませんが、特に若い世代はそうですね。日本語教育を受け、日本に留学することが多かった世代は親日ですが、今はアメリカに留学する人が多い。文化の違いは当然あります。台湾で台湾企業または台湾人を相手とし、交渉する際にはある程度パワーが必要です。こういう諺があります。『軟らかい土は、掘れば掘るほど掘れる』」
村永:「台湾独特のことわざです」
黄:「(紙に書いて)軟土深掘。つまり、弱みをみせるとつけこまれる。日本の考えは、誠意が大事。日本人のクライアントは「自分たちはこんなに誠意を見せているのに、台湾人はなぜ譲歩してくれないのか」とおっしゃいますが、その誠意・譲歩がともすると「弱みをみせた」ということになってしまいます。そこを説明しても、分かっていただけないことはありますね」
ナビ:「誠意を見せる前に黄さん達に相談した方が良さそうです」
黄:「もちろん優しい台湾人もいますよ」



 気になる報酬について

  ナビ:「一流の事務所なので、高そうですが(笑)」
村永:「大手の中では高くないですよ」

一般報酬基準(1時間あたり)
弁護士の経歴により1時間あたりの報酬が異なっています。大抵はNT$4500〜12000の範囲です。
各機関、会社、商人及び個人の法律顧問
法律顧問契約には年額NT$20万のコースと年額NT$10万のコースがあり、それぞれ作業時間54時間以内、25時間以内は別途報酬をいただかず、またそれぞれ54時間、25時間を超えた場合、一般報酬基準から10%、5%割引します。

 
  ナビ:「最後に、読者の方に向けてメッセージをお願いします」
村永:「萬國法律事務所は、日本に留学していた弁護士も多いので、法律に限らず日本人の方と交流を持ちたいと考えています。イベントなどにもご協力できるところはご協力したい」
黄:「我々は30年に渡ってリーガルサービスを提供しています。どのような案件にも、豊富な経験と知識の蓄積をもって対応致します」
ナビ:「ありがとうございました」

インタビュー終了後、黄さんと村永さんは本部の15階と手狭になったため借り増しした7階の事務所を案内して下さいました。「もうこのビルも古くなってしまったから、おしゃれな法律事務所ではありませんね」と笑っていらっしゃいましたが、どうしてどうしてこの芙蓉大樓は仁愛路のランドマークじゃありませんか。しかしそのビルの立派さよりも、黄さん達が常に変わっていく法や社会状況や経済を把握しながら、時には法律をつくり出し、クライアントとの仕事は何カ国にも渡っているという立派さの方が、やっぱりすごいと感心したのでした。


行き方

MRT忠孝復興もしくは大安駅から徒歩10分。福華飯店を仁愛路3段に沿って西へ。芙蓉大樓の15階。1階は彰化銀行。

住所 : 仁愛路3段136號15F
電話番号 : 2755-7366
営業時間 : 9:00〜17:30 (お昼休みは12:00〜13:30)
休業日 : 土・日・祝日
日本語 : OK
ホームページ : www.taiwanlaw.com
日本語何でも法律相談窓口 : shiro.muranaga@taiwanlaw.com
2005.09.14