小林村(高雄市)

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未曾有の大災害からまもなく10年 新しい集落での復興が続いています


こんにちは、台北ナビです。

皆さんは小林村という地名を聞いたことはありますか?2009年8月に台湾に上陸した台風8号とそれに伴う大雨で引き起こされた大規模な土石流で深刻な被害を受けた集落です。災害からまもなく10年。今では別の場所への移転が進み、復興が続いています。

小林村とは

タイボアン族の移住の足跡。台南から小林村周辺を経て台東に抜けています

タイボアン族の移住の足跡。台南から小林村周辺を経て台東に抜けています


旧小林村はもともと、高雄市中心部から車で約1時間の甲仙区を流れる楠梓仙渓のほとりにありました。180戸の家屋に約500人が暮らし、その多くは平埔族(先住民)大武壠族(タイボアン族)と呼ばれる人々でした。

土石流は、彼らが本来持っていた伝統や文化を取り戻そうという取り組みが進められている矢先に起きます。
以前の小林村の様子を再現した模型

以前の小林村の様子を再現した模型


発生時刻は9日午前6時頃。異変を察知した一部の住人らは急いで避難を開始しますが、土石流は集落を直撃。わずか1棟の家屋を残して分厚い土砂に流されました。500人が暮らしていた中で生存者は約40人。残りは帰らぬ人となりました。遺体が見つかった人はごくわずかで、大部分は今も土砂の下に埋まったままとなっています。

生存者や仕事のために別の場所で暮らしていた小林村出身者らは復興を模索しますが、再び土石流発生の危険性があるとして、元々の場所での集落再建は断念され、小林村に近い甲仙区内の高台に1カ所、山を少し下った杉林区内に2カ所、永久屋と呼ばれる復興住宅を建設した復興集落が建設されました。
小林村があった場所を川の対岸から眺めます

小林村があった場所を川の対岸から眺めます

砂利の下には集落の瓦礫が今でも埋まっています

砂利の下には集落の瓦礫が今でも埋まっています

道路の先に見える建物が小林村紀念公園です

道路の先に見える建物が小林村紀念公園です

五里埔小林社区

1つの建物に2世帯が入居しています

1つの建物に2世帯が入居しています

五里埔小林社区の地図

五里埔小林社区の地図


旧小林村の最も近くに建設された復興集落が、五里埔小林社区です。

台湾紅十字会(赤十字社)の支援で建設され、90戸の建物が並んでいます。 敷地内には小林平埔族群文物館があり、タイボアン族の独自の狩猟文化や衣服、小林村の暮らしを紹介しているほか、台湾の歴史に関する本を集めた図書室があります。 
タイボアン族の伝統衣装が着られます

タイボアン族の伝統衣装が着られます

漁や猟に使われた道具

漁や猟に使われた道具

弓矢も打てます

弓矢も打てます

伝統的な暮らしを想像するのは楽しいものです 伝統的な暮らしを想像するのは楽しいものです

伝統的な暮らしを想像するのは楽しいものです


また、旧小林村には集落と川の間に独自の信仰対象が祭られている公廨(クバ)がありました。この五里埔小林社区にも、文物館の裏手に設置され、毎年旧暦の9月15日には「夜祭」と呼ばれる伝統儀式が開かれるなど、住民らが自然と集まれる空間になっています。
クバ

クバ

甕の中に水と酒が入っていて、煙草やビンロウが供えられます

甕の中に水と酒が入っていて、煙草やビンロウが供えられます

日光小林社区


台湾紅十字会の支援で建設された復興集落はもうひとつあります。杉林区にある日光小林社区です。3つの集落の中では最も大きい規模で120戸の住宅が立ち並びます。

道路が旧小林村にあった道路とほぼ同じ位置関係になっているのがこの集落の特徴です。

集落の入口近くには大きな集会所があり、タイボアン族の文化を象徴する道具の展示があるほか、小林村出身者らで構成されるダンスパフォーマンス集団「大満舞団」の練習場所になっています。今では全国各地のほか、海外でパフォーマンスることもあるそう。

また、この集落ではかつて小林村の特産だったウコンを使ってケーキやラー油、石鹸などの製作に取り組み、産業発展と町おこしにつなげています。
タイボアン族の女性は手先がとっても器用でした。人や山、生き物など、生活の中にあるものを刺繍していたそう タイボアン族の女性は手先がとっても器用でした。人や山、生き物など、生活の中にあるものを刺繍していたそう タイボアン族の女性は手先がとっても器用でした。人や山、生き物など、生活の中にあるものを刺繍していたそう

タイボアン族の女性は手先がとっても器用でした。人や山、生き物など、生活の中にあるものを刺繍していたそう


タイボアン族には台湾原住民プユマ族と同様、刺繍の文化もありました。日本統治時代より前はとても精巧な刺繍文化があったそうですが、かつての技術を再現できる人はもういないそう。

それでも、刺繍を残し、技術を向上させる取り組みは続いていて、一部の作品は先ほどの文物館で購入可能です。

小愛小林社区


台湾の宗教団体の支援で建設されたのが小愛小林社区です。近くに大愛社区というコミュニティーがあるために、小愛と名づけられました。

復興集落としては最後に建設され、60戸の住宅があります。高齢者が暮らす世帯が多く、平日は都会で暮らして、週末に小林村に戻ってくる人たちが多いほかの集落に比べ、定住している人たちが多いのも特徴です。

小林村のこれから


一見すると、新しい建物が建ち、ハード面では災害から立ち直ったかのように見える小林村ですが、課題は山積しています。それは、これらの地に暮らす人々のほとんどが、家族や親しい人を失った心の傷を負ったこととです。復興集落も慣れ親しんだ場所ではないところに分散し、住民同士の関係が大きく変わった場所もあります。

また、旧小林村の近くから離れたくないとする人がいる一方、辛い記憶がよみがえることを嫌い、遠くに離れたいとする人もおり、復興は困難さを極めています。

ただ、そんな状況下でも、ダンスパフォーマンスグループの活躍やパイナップルケーキの製作・販売など、産業発展に向けた明るいニュースが入ってきているほか、最近になって高雄市や人々の間で独自の文化を取り戻す取り組みが行われるようになり、お祭りや儀式の復活をはじめ、文化の発展と伝承が目指されるようになりました。学術的研究も少しずつ成果がでており、今後の進展に注目が集まっています。

また、東日本大震災の被災者とも交流を行い、体験を共有することで今後に生かす取り組みも始まっているそう。

小林村の復興とタイボアン族文化の発展をこれからもゆっくりと見守りたいですね。

以上、台北ナビがお届けしました。

記事登録日:2017-12-20

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スポット登録日:2017-12-20

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