瑩瑋芸術翡翠文化博物館

インウェイイースーフェイツェイボーウーグァン Museum of Jade Art

立派なオフィスビルの一階に突然現れる重厚で大きな木の扉。「博物館」らしい場所と思って歩きながら探していたら、前を通り過ぎていました。

驚きの博物館の扉

2009年8月にオープンした翡翠博物館。近寄って見ると、木の扉一面に蓮蓬(=無限の生命力の象徴)(花托(かたく)と呼ばれる蓮の花が終わった後の物)が飾られていました。見た目は木彫りの彫刻。でも手触りは金属のような冷たさ。聞いてみたらなんと36個の「蓮蓬」は全て翡翠を腐蝕させて加工したもの。物騒な世の中、こんな無造作に高価な翡翠を外に飾って良いの?と疑問。すると、「全て翡翠で高価だけど、芸術は値段じゃない。」と館内スタッフが教えてくれました。私のような凡人には理解出来ない価値観かも…。
扉に圧倒されて開いて入った玄関ホール。音楽が流れていて、照明もちょっぴり暗くモダンな感じ。受付には可愛いミャンマー風の衣装を着た案内の女の子がいました。
ここで手荷物を預けて身軽に。博物館のロゴである月が彫られているお洒落な荷札を貰って見学スタート!
今回ガイドをしてくれたのはAileenさん。なんでも台湾の大学で4年間日本語を勉強していたそう!難しい専門用語もバッチリ丁寧に説明して下さって、はにかむ笑顔がと〜ても可愛かったです。

華麗なる一族

館長さんを紹介します。
館長〜胡焱榮(Soofeen Hu)〜(1965年生まれ)
先祖が約100年前に中国大陸からミャンマーに渡り、翡翠を採鉱し始めた華僑一族。館長さんはその4代目。幼少期から早熟な考えの持ち主で、1974年に出家し15歳の時に還俗。この6年間の修行経験が今の彼の作品にかなり影響している。小さい頃から翡翠に慣れ親しみ、更に大学で鉱物学と哲学を専攻。知識を深め、翡翠貿易商から翡翠芸術のクリエイターに転身。1995年台湾に訪れる。故宮博物院で出会った「翠玉白菜」が彼の運命を動かしました。
胡館長は、「すばらしい作品だけれど、昔の翡翠作品を賞賛して終わるのではなく、今の時代に即した芸術として翡翠は生まれ変わるべきだ」と考え、継承の中にも新しい創造を作るべく、現代の翡翠芸術を極める努力をしています。高価な翡翠を買わなくとも、身近に翡翠を感じて欲しいという願いを込めて、博物館を開きました。
確かに私も代表的な翡翠芸術というと、パッと思い浮かぶのは故宮博物館の「白菜」。それ以外の新しい翡翠芸術を見られるとあってより一層期待が膨らみます。
3つのzoneからなる博物館
1ー歴史zone(エントランス)
2−作品展示zone
3−博物館ショップzone

1ー歴史zone(エントランス)
中国文化における翡翠の歴史、翡翠採鉱の過程が理解出来る展示になっています。

脈々と受け継がれるJade Road

中国の騰衝(地名)からミャンマーの帕敢(地名)に続く路を緑の道(緑之路)またの名をJadeロード。翡翠の中で高価なものは「硬玉」。世界中に出回っている硬玉の90%はビルマ北部から採掘され、この道を通って中国に運ばれています。実際、唐の時代の白居易が書いた書物の中に、ミャンマー王子が中国に赴いた時に随行した楽団は、翡翠で作った楽器で演奏をしたという記述があるとか。清朝時代は彫刻の技術が最高に発達し、翡翠芸術が一番栄えた時期。そして翡翠は今Jade Road を越え、ミャンマー出身の館長により台湾に運ばれ、1999年に現代翡翠芸術の作品第一号が誕生しました。

七変化する翡翠

一見ただの石に見える翡翠の原石は、研磨すると緑や黄、白、黒、紫、茶色といった翡翠になります。翡翠=緑色と思っていた私は、それ以外の色をした翡翠があると知って目から鱗…。通常、宝石の原石を研磨しても一色しか出てこない。でも翡翠の一番の特徴は一つの原石の中で、元素の含有量の違いにより発色の違うものが混在すること。この特徴を生かして、一つの原石から幾つもの色彩を持った作品が生まれる。まさに原石の七変化。
色組成の例
紫:微量の鉄とマグネシウム
緑:微量の鉄とクロム
翡翠原石の種類(採鉱できる場所によって3種類に分かれる)
山石 粒子が粗く、透明度低い 
水石 透明度高い、結晶の高度が高い
半山水石 色が豊富

翡翠動物園?!

展示物の一角に可愛らしい動物のオブジェが。
何だろうと思って近づくと、翡翠の作品を彫刻するときに使用した研磨道具が猪、カタツムリ、ロボットに変身〜!なんでも、館長さんが動物園に行ったときに見た動物からインスピレーションを得て思いついたものだそう。
「彫刻は刀の力でなく、心の力によって行う」というメッセージが込められています。
因にこの研磨道具、歯医者で使うものと殆ど一緒だったので、私にとってとても意外性があり感動した作品でした。使い終わった道具をも芸術に変えてしまうところ、凄すぎる!

2−作品展示zone
作品の設計と概念、アイディアは全て館長さんが出し、館長さんや中国本土、台湾、香港の彫刻家によって形になる。展示作品のうち一つを除いて、全て一個の原石から彫刻して出来た作品。仕上げるのになんと3年以上かかるそう。それだけ繊細なんですね。各作品の横には日本語、英語、中国語のタッチパネルガイドがあり、細部をクローズアップして見られるのでとても分りやすい!作品の解説はタッチパネルに書かれているので、今回展示されている21作品の特徴的な事だけ記しておきますね。

1、蝉連蝉聯
故宮博物院の前院長により命名された作品。中国の政治家は「蝉」をモチーフにするのが好きなんです。なぜなら、「蝉連相承」と言う言葉があって、「引き続き当選する」という意味があるから。

2、絲絲入扣
ヘチマに見立てている部分はなんと翡翠の原石の外側。思わず体を洗いたくなるくらい本物のヘチマみたいでしょ!館長が家にあった枯れかけのヘチマをみて、水をあげると新芽が出て来た事にインスパイアされて創作した作品。

3、禅想連綿
本物の結び目のように見える繊細な縄の彫刻に注目。

4、汶川千手
今年の新作。四川大地震を追悼する意で作られた作品。海からの手は我々一人一人の「援助する手」を示す。手を差し伸べれば、一般の人も観音になれるという意味が込められています。裏に回ると観音様が後ろ手に持っている全く色の違う翡翠原石の外側が見られました。

5、御風而上
黒い翡翠は「墨翠」と呼ばれ、光を通すことにより緑色に見え、光の変化により色を楽しめる。又、墨翠はだんだん産出量が少なくなって来ているため、希少価値があり、最近では若い人たちの間で装飾品として好まれる傾向があるとか。

6、佛陀悟道
館長の一番初期の作品。
空の雲が七蓮と九龍になり、天と地が仏陀を祝っている事を表現した作品。

7、福地福人居
胡(蝶)と福は中国語で同じ発音。台湾は蝶で有名な国であるため、蝶をモチーフにし「幸せな人は幸せな土地に住んでいる」という館長から台湾への祝福のメッセージを込めたもの。

8、時間的頓悟
見て信じられないと思うけれども、これ全て翡翠で作った作品。木彫り、青銅器、翡翠と三種の異なる質感を出し、時間の移り変わりを示している。
これを見て翡翠の既存概念を崩された私。

9、自然的律動2
今展示されている中で唯一、一つの原石でなく、彫刻したものを連結した作品。

10、和光盈彩
仙女が残した靴のような形をした蘭。この蘭、スリッパ蘭(托靴蘭)というチャーミングな名前があるんです。 

11、百年好合
結び目には「力」「感情の絆」という意味があります。「執子之手•與子偕老•白頭偕老」
夫婦円満白髪になる最後まで一緒に生きようという意味が込められています。

12、生命的禮讚
東洋の蘭:「文人の気質」、西洋の髑髏:「生命の醜さと恐怖」
東西融合を表現した作品。どのように自分の生命を創造するかを考えさせてくれる。
それにしても翡翠の髑髏だなんて、、、多分見るのはこれが最初で最後だろうな〜というくらいインパクトのあるものでした。ちょっと気持ち悪いけど是非目を凝らして見て下さい。

13、生命之初
人生を表した作品。母のお腹の中から誕生し、脱皮して蝶として羽ばたくまでを表現したもの。生命力を感じませんか?

14、出奇制勝
「蟷螂捕蝉 黄雀在後」 という荘子の言葉の意味をあらわしたもの。蘭の花が3層の岩を突き抜けて生えている様子は、何事も力を集中しないと困難を打破できないという事を暗示しています。手前に置いてある破片は、蝉の羽があまりにも薄くて脆弱な彫刻の為、触れただけで折れてしまったもの。これも作品の一部として展示してありました。如何に繊細か解りますね。

15、夫唱婦随黄色と黒の翡翠
夫婦が力を合わせることを、2匹の蟻が力を合わせている様子に見立てた作品。

16、九畹雙棲
黄色の翡翠は鉱石の一番外側にあるのが通例。でもこれは空気と水の作用によって黄色の翡翠の外側に緑色の翡翠(黄金虫)が現れたのが特別。その特徴を生かして作られた作品です。
名家法書翡翠十三帙
翡翠の硬度はとても高いので、紙や木に書くよりも、ずっと長く綺麗に保存できるところに着目した故宮博物院の前院長が、翡翠の石板に中国歴代の有名な書家の作品を描こうと提案した作品。字体は凹んだ陰刻と凸の陽刻があり、色とりどりの石板に彫刻されたものを見ると、内容を理解出来なくても、漢字の持つ美を感じとる事ができます。

開放的な空間

博物館の室内設計は台湾でも有名な姚仁禄によって設計されました。白を基調とした開放的な空間に、殆どの作品は人と作品が直接対話出来るようにと、壁かけにしない方式で展示されています。過度でない照明は落ち着いた雰囲気を出し、名家法書翡翠十三帙付近の天井からは無数の筆が下がっていてなんだか不思議な感じ。

芸術の•••翡翠お手洗い?!

この作品展示zoneで必ず行って欲しい所があると言われて連れられて行った所はなんと「お手洗い」。
えっ?何故?と思いながらついて行き、木の扉を開ける。するとなんと銅製の手洗いボールに蛙がはりついていて、お水が出る部分は入り口の扉に飾ってあった蓮蓬で出来ていました。おそるおそる「これってもしかして翡翠ですか?」と聞いたら、にっこりされました!館長はお手洗いに入るにも一つの絵のような芸術を表したかったため、このように贅沢な設計になったそう…溜め息が出て止まりません。
用がなくても、トイレに立ち寄る価値ありですよ!

3−博物館ショップzone
沢山の展示作品を見終わって門をくぐるとショップ。その手前に面白い物が!
記念写真サービス
丸い大きい時計のようなオブジェ。これは中国の十二支と五行を翡翠で作ったもの。ちょっと重たいけれども、手で回すと回転します。翡翠に直接触れる事ができる貴重なオブジェ。自分の生年月日を言うと、オブジェを自分の干支と五行に回転してくれる。にっこり笑って天井にあるカメラで「パシャっ!」と写真撮影。その場でプリントアウトしてくれるサービスなんです。写真は一枚50元。ちょっと照れながら私も撮ってみました!
性格についても一言書いてありますよ〜。
お土産
•ガイドブック 2800元 •キャンドル(5個セット、翡翠つき)10800元
•ポストカード180元 •石板ポストカード250元 •ろうそく3800元
•T—シャツ890元 •紙バッグ90元
その他装飾品も沢山。でも値段が出ていないので全体的に高価な物が多い感じ…。
今後は故宮博物館と合作してもう少し廉価なお土産も置いて行く予定だそうです。
早くもっとお手軽に購入出来るお土産ができると良いな〜。

「瑩瑋藝術」という博物館の名前の由来はとってもロマンチック

この博物館は館長である胡焱榮が故宮博物院の前院長秦孝儀の賛同と力添えを得て開いたもの。作品を生み出している胡焱榮館長と博物館の経営管理をしている奥様の劉偉貞。
博物館の名称はお二人から一文字ずつ取り、更にその文字に「玉」という文字を当てはめて「瑩瑋藝術」と秦前院長が命名しました。
夫婦2人で同じ夢に向かって邁進している様子を表したこの名前、秦前院長自ら筆を取り書いた字体を石板に彫刻したものが展示されています。この石板、亀裂や紋が入る事なく、透明度が高いので、翡翠のなかでも「氷種」と名付けられる特別なもの。

館長の思い

展示されている作品があまりにも素晴らしいため、お客さんから是非作品を譲ってほしいという事も多々あるそう。しかし、館長は「翡翠の芸術を外に流出させることなく、中国に留めておきたい」というポリシーで、売却は一切しないとの事。それだけ真剣に翡翠の芸術を守ろうとしている館長。男気を感じさせられます。半年ごとに作品が入れ替わるので、常に新しいインスピレーションでクリエイトされる唯一無二の翡翠彫刻を楽しみに何度も足を運びたい博物館です。
翡翠には「不老不死」や「生命の再生」をもたらす力があると信じられています。そんな翡翠は台湾人に古くからこよなく愛され、殆どの人が何かしら一つは翡翠グッズを持っているくらい身近な宝石。私も父が母へ贈った翡翠のペンダントトップを持っているけれども、日本で身につける機会は殆どない。
博物館を見た後、もう一度取り出して身につけてみようと思いました。

記事更新日:2010-01-06

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基本情報

住所 台北市中山区建国北路一段96号
電話番号 (02)2509-8166
ファックス (02)2509-1806
営業時間 10:00~18:00 (入場券の販売は17:00まで)
*午前と平日は比較的人が少ないのでゆっくりできます
休業日 火曜日
クレジットカード VISA、Master、JCB
日本語
料金 ● 入場料:
大人 250元
団体(10名以上) 200元
優待チケット(学生、身障者、65歳以上) 180元
団体優待チケット(10名以上の優待者団体) 150元
6歳以下 無料
*10名以上の団体は要予約
ホームページ http://www.museumofjadeart.com/jp/index.html (日本語)
その他の情報 ● 入場制限:6歳未満の幼児は成人同伴でご入場下さい
● ガイド:英語、日本語(ほぼ毎日います)
● 音声ガイド、車いす: 有り
● 作品名:「変形記――21世紀の翡翠芸術」
● 作品の入れ替え:半年ごと(現在の作品は2010/3/18~2010/8/8まで)
富御珠寶ほかの店舖情報:
台北中山店 ホテルロイヤル台北:台北市中山北路二段37之1號1F  TEL:02-2562-7386
台北福華店 ハワードプラザ台北: 台北市仁愛路三段160號1F TEL:02-2707-1176
台北喜來登店 シェラトン台北:台北市忠孝東路一段12號B1F TEL: 02-2358-3088
台北 101 店 台北101:台北市信義路五段7号1F TEL: 02-8101-7906
行き方 建国北路沿いで、長安東路二段と南京東路二段の中間あたりです。

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上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

スポット登録日:2009-10-30

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