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95%がメイド・イン・ジャパンのお酒。台湾の果物を使った自家製リキュールは要注目。台北で日本のお酒を飲みたくなったら迷わずこちらへ!

こんにちは、台北ナビです。

「カクテル」といえば、どんなものを想像しますか?

「いろんな味が混ざり合ったおいしいお酒」でしょうか?今回はそんなイメージを払拭するような、独創的なオリジナルカクテルを追及するバーをご紹介します。2013年に東区にオープンした「WA-SHU和酒」。その名の通り、お店の95%がメイド・イン・ジャパン!というこだわりのお店には、その味に酔いしれる人たちが夜な夜な集います。気軽にお酒を嗜める場所が増えつつある台湾で「ドンピシャにおいしいカクテルが楽しめるバー」とナビが豪語するお店です。

探求心の人「稲葉智章」

稲葉氏<br>画像提供:WA-SHU和酒

稲葉氏
画像提供:WA-SHU和酒

「答えを見つけることが好き」と話すオーナーの稲葉さんは、ナビにとって身近にいる偉人(笑)。一本筋の通った、ブレない仕事ぶりが稲葉さんの最大の魅力であり、お客さんの心をぎゅっと掴んでいる要素であるように感じます。そんな彼の経歴を簡単にご紹介しておきます。

東京・ロンドン・スコットランドのバーやレストラン・醸造所・蒸留所などで修行を積まれてきた、いわばお酒のプロ。料理人を目指した時期もありましたが、調理場に籠るのではなくお客さんと会話を楽しめるバーテンダーを志すようになりました。18歳でこの道に入り、スコッチウイスキーに魅せられ本場スコットランドでウイスキー作りに携わっていた稲葉さんはある日同僚に「日本のお酒って何?」との問いかけにハッとさせられます。自分の国のお酒に対する知識の乏しさに気づき、日本へ帰国。日本酒や焼酎について学び「日本酒学講師」の資格を取得した稲葉さんは、今度はロンドンへ飛びその資格を生かしてヨーロッパの人たちに「日本のお酒」を教える活動を4年間続けました。その後、奥様のふるさとである台湾で日本のお酒を扱うバー「WA-SHU和酒」を始めたというわけです。
画像提供:WA-SHU和酒 画像提供:WA-SHU和酒

画像提供:WA-SHU和酒

そしてなんと!現在ロンドンの中心地に「WA-SHU和酒」2号店を出店準備中!今後はロンドンへ拠点を移す稲葉さんに代わり1号店を任されることになったイケメン日本人バーテンダーのTAKAさん。TAKAさんと一緒に台北を守ってくれる日本人スタッフを随時募集中だそうです。ご興味のある方は、ぜひ稲葉さんまでご連絡を~!

コンセプトはお寿司屋さん!?

お寿司屋さんをイメージして作られているカウンター

お寿司屋さんをイメージして作られているカウンター

素材のみが書かれた斬新なカクテルメニューからもわかるように、「WA-SHU和酒」が追い求めるのは「Simple is the best」。いかにひとつの素材の味を楽しんでもらうかがこのバーのこだわりで、それはオーナーがいちばん好きというお寿司屋さんのスタイルに似ています。素材と素材を混ぜて新たな味を作るのではなく、ひとつの素材の味を生かすために、調理法や仕込みを工夫するのだそうです。

「カクテル=混ぜて新しい味をつくる」という概念を覆す「WA-SHU和酒」のオリジナルカクテルは「何を飲んでいるか分からないのが嫌」という稲葉流の哲学から、シンプルに素材の味を楽しめるように計算されています。

どんなお酒が飲めるの?

レアなウイスキーなどは、ラベルが剥がれて価値が下がらないようにラップで保護したり、酸化防止のためにお医者さんが使うパラフィルムを使ってボトルとキャップを密着させるそうです。

レアなウイスキーなどは、ラベルが剥がれて価値が下がらないようにラップで保護したり、酸化防止のためにお医者さんが使うパラフィルムを使ってボトルとキャップを密着させるそうです。

扱うお酒の95%を占めるという日本のお酒には、日本酒や焼酎、ウイスキー、ビール、リキュールが含まれ、ウイスキーは50種類以上、カクテルは150種類以上と驚異の品揃えです。

「日本のお酒」へのこだわりはカクテルの製法にも現れており「クラシックカクテル」と呼ばれるマティーニやマルガリータなど、どのバーにもあるような古典的なカクテルひとつとっても、日本で好まれるレシピに基づいて作られています。

つまりは、ここ台湾で完全なるジャパニーズスタイルのお酒を飲んでもらいたいというオーナーの想いが詰まったメニュー構成となっているわけです。

日本のアルコールを使った台湾生まれのリキュールたち

上述した以外にも「WA-SHU和酒」のメニューに並ぶお酒には、巷に溢れるバーのそれとは圧倒的な違いがあります。そこにはオーナーの底知れぬ探求心と努力、そして台湾のお客さんたちの声から生まれたストーリーが隠されています。

カウンターに腰かけると、壁一面に陳列された「白胡椒」や「七味」などのラベルが貼られたボトルが目に留まります。これらは全てオーナーが試行錯誤を重ねて完成させたオリジナルのリキュールたち。リキュールといえば、ほとんどは洋酒。しかしそれを使ってしまうと「すべて日本のお酒」というお店のコンセプトとは相反してしまいます。そこで稲葉さんは日本の焼酎やウイスキーを使って、オリジナルリキュールを作っているのだそうです。
このリキュールたち最初は2、3種類だけだったのが「もっといろんな味を試してみたい」という台湾人のお客さんのリクエストにより、今ではその数なんと150種類以上!「日本のアルコールをジャパニーズスタイルで売る」という考えで始めたお店は気が付けば、台湾人のお客さんに育てられ「日本のアルコールを使った台湾生まれのリキュールが揃うお店」へと進化していました。
稲葉さんが納得したものだけが、こうしてリキュールへ進化していきます。

稲葉さんが納得したものだけが、こうしてリキュールへ進化していきます。

リキュールに使用するバナナ。もっともっと真っ黒にして糖度をあげてからウイスキーに漬けるそうです。

リキュールに使用するバナナ。もっともっと真っ黒にして糖度をあげてからウイスキーに漬けるそうです。

飲んでみるとわかりますが、メニューに書かれた素材がダイレクトに味わえるシンプルなカクテルたち。シンプルなだけに簡単に作れそう!と思われがちですが、ひとつの素材から1本のリキュールが出来上がるまでには、その素材を生で使ったり、煮たり、乾燥させたり、凍らせたり・・・あらゆる温度や調理方法でアプローチして「ドンピシャの味」を導きだすという、気が遠くなるような実験的な作業が繰り返されるのです。新鮮な台湾産のフルーツを使ったリキュールが多く並びますが、プレミックスなのでお客さんの前でフルーツをカットするなどのパフォーマンスはしません

「Simple is the best」なオリジナルカクテルの全貌

今回は数あるオリジナルカクテルの中から、台湾らしいものをチョイスして作って頂きました。オリジナルカクテルはALL350元!リキュールが完成するまでの手間暇を考え「このお値段でいいんですか!?」と思わず突っ込んでしまったカメラマンとナビですが(笑)、オーナー曰くこれでいいんだそうです。
カクテルを作ってくれたのは、今後ロンドン進出で不在となるオーナーに代わりお店を任されることになるTAKAさん。長身でイケメン、笑顔がキュートな若者となれば、女性のお客さんは放っておきません! カクテルを作ってくれたのは、今後ロンドン進出で不在となるオーナーに代わりお店を任されることになるTAKAさん。長身でイケメン、笑顔がキュートな若者となれば、女性のお客さんは放っておきません! カクテルを作ってくれたのは、今後ロンドン進出で不在となるオーナーに代わりお店を任されることになるTAKAさん。長身でイケメン、笑顔がキュートな若者となれば、女性のお客さんは放っておきません!

カクテルを作ってくれたのは、今後ロンドン進出で不在となるオーナーに代わりお店を任されることになるTAKAさん。長身でイケメン、笑顔がキュートな若者となれば、女性のお客さんは放っておきません!


馬告(マーガオ)

台湾原住民料理に欠かせない台湾のスパイス「馬告」を使ったカクテルです。焼酎に馬告を1ヵ月ほど漬け込んだあとに蒸留しています。白濁しているのは馬告が持つオイルで、60度以上の酒精にすると透明になるのだそうですが、さすがに60度のお酒を出すわけにはいかないのでトニックウォーターで薄めたものをロックで頂きます。

レモングラスのようなアロマがナビは大好きで、これぞ台湾ならではの1杯です。スパイスの香りを損なわないように蒸留するには、店内奥に設置されている特殊な蒸留器を使うのだそうです。

スイカ

スイカは台湾では年中食べることができる、とても庶民的なフルーツです。そのほとんどが水分といっても過言ではない瑞々しいスイカを、いかに天然の甘さを保ったまま蒸留するか……稲葉さんが導き出したその答えは「冷凍濃縮」いわゆるフリーズドライです。

スイカと焼酎を凍らせてシャリシャリになったものを濾し、分離した下の部分だけをまた冷凍→濾す→分離→冷凍を繰り返し、上方のピュアな水分だけを取り除いてゆくと下の部分だけが濃縮されてスイカ本来の甘みが残るだけでなくアルコール度数も増し、稲葉さんが目指す素材の味を生かしたリキュールができあがります。水分を多く含むフルーツを使ったアルコール度数の高いお酒は、ほぼ存在しないに等しいとか。

甘味料なしでここまでスイカの甘みとアルコール感を感じられるお酒は、確かにお目にかかったことがありません。

グァバ

台湾といえば!のグァバはフローズン系だけれどトロミのあるカクテルとなってお目見えです。

グァバを砕いて濾しジュースにしたものに焼酎と隠し味のゆずを混ぜてフローズンさせるそうです。冷凍庫から出したものをすぐに使うと、よくありがちなシャバシャバのカクテルになってしまうので、フローズンさせて粘度を高めたものを取りだし、しばらくおいてトロミがでたところで提供。トロミのあるグァバカクテルは、きっとここでしか味わえないとナビは思います。

ジャスミン

台湾産ジャスミン茶と、シャンパンに代わり甲州ワイン+炭酸で出来上がる、女子にオススメの一杯です。

薄まることがイヤなので炭酸水は使わず、家庭用マシンなど、いろいろと試した結果ベストな出来栄えだったのが、充填機だったそうです。ジャスミンの透明感あるイメージを崩すことのない、華やかな香りと味わいが口いっぱいに広がります!

スモークされたフードたち

桜のチップで燻製しています。

桜のチップで燻製しています。

食材に合った燻製方法で、手間暇かけて作られているおつまみをご紹介します。

ナビとカメラマンがハマった「アーモンド」は殻ごと燻製してあります。稲葉さんが自ら足を運び、言葉の通じない中で仲良くなったという迪化街の乾物屋さんから仕入れているというアーモンド。いっさい味付けされていないそうですが、甘みがあって香ばしく、夢中で食べていました(笑)。一般的に温燻で調理されることが多いナッツ系ですが湿気ってしまうため、こちらではスモーキングガンというマシンを使って温度の低い煙で4日間かけてスモークしています。

その他にも、スモーク香るおつまみたちがカクテルのお供をしてくれます。ピザもあるので、しっかりお腹を満たすこともできますよ。
チェダーチーズ

チェダーチーズ

カマンベールチーズ

カマンベールチーズ

オリーブ&ドライトマト

オリーブ&ドライトマト

稲葉哲学に基づいた日本のアルコール文化がここ台北で、じわじわと浸透し始めています。台北の有名レストランやバーとのコラボや、勉強会などのイベントも開催されているので、facebookは要チェック!新しいセンスを吹き込んでくれる「WA-SHU和酒」でジャパニーズスタイルのお酒を楽しんでみてはいかがですか。

以上、台北ナビでした。

記事登録日:2018-09-27

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上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

スポット登録日:2018-09-27

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