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日本酒のソムリエ「唎酒師」がいるお店で、岩手の地酒に出合った~!

こんにちは、台北ナビです。

台湾で日本酒といえば「獺祭や十四代など免税店で購入する高価な酒」「熱燗で飲む酒」というイメージが根強かったのですが、ここ数年で日本酒の専門店ができたり、スーパーなどで手軽に入手できるようになりました。日本酒を楽しむために台湾人でも唎酒師の資格を取得する人がいるなど、台湾でもジワジワと日本酒ブームが起こっています。

今回訪れたお店「Senn 先酒肴」は、そんな中でも「岩手県の日本酒」に特化するという、少し変わったこだわりを持ったお店です。50種類ほど置かれた日本酒はすべてが岩手県の酒蔵のもので、そのこだわりは県からも認可されているほど!それではさっそく、岩手の日本酒を広めるためにできたお店「Senn 先酒肴」をご紹介します。

日本酒のことなら唎酒師におまかせ!

店内には唎酒師と日本酒ナビゲーター資格取得証明書もありました。

店内には唎酒師と日本酒ナビゲーター資格取得証明書もありました。

長年、日本と関係する貿易の仕事をされてきたオーナーの孔さんは、以前から交流のあった岩手の酒蔵で作られた日本酒を台湾で販売するために、2014年に「Senn 先酒肴」をオープンさせました。すると台湾進出の話を聞きつけた県内のほかの酒蔵からもオファーがあり・・・気づけば岩手県のみ5つの酒蔵の日本酒が集まり、合わせて約50種類の酒を取り扱う、台湾で唯一の「岩手県の日本酒」に特化したSAKEバーが出来たというわけです。

もともとお酒が大好きという孔さんは、これを機に1年かけて日本酒の唎酒師の資格まで取得!孔さんのほかに、唎酒師の下のランクに相当する「日本酒ナビゲーター」の資格を持つスタッフが3名もいるというプロフェッショナルなお店。ここへ来れば必ず1人は日本酒に詳しいスタッフがいるため、好みに適った日本酒を味わうことができるというわけです♪
穏やかな口調のオーナー孔さんは東京在住経験があります。自身を「貪吃鬼(食いしん坊)」と称するだけあり、東京では毎日仕事終わりに食べ歩き&飲み歩いていたそうです(笑)。

穏やかな口調のオーナー孔さんは東京在住経験があります。自身を「貪吃鬼(食いしん坊)」と称するだけあり、東京では毎日仕事終わりに食べ歩き&飲み歩いていたそうです(笑)。


「台湾人が日本酒に興味を示し始めたのはここ5年ほどではないか」と話す孔さん。「お酒は楽しく飲む」文化が根強い台湾において、繊細な日本酒の「ウマミ」を感じながら「ゆっくり味わう」ことで得られる日本酒の「良さ」を浸透させるには、まだまだ時間と教育が必要だと感じているそうです。その役割を果たすこともまた、このお店を始めたもうひとつの要因であると語ってくれました。

岩手県知事が直々に訪れるなど、県公認の「Senn 先酒肴」は岩手地酒のプラットホームとして、台湾人のみならず、岩手の日本酒に触れる機会の少ない日本人にとっても貴重な場所となっています。

物語に耳を傾けながら飲む日本酒

繊細な日本酒は温度管理がとても大事だそうです。紫外線を防ぐ袋で包装されている瓶もありました。 繊細な日本酒は温度管理がとても大事だそうです。紫外線を防ぐ袋で包装されている瓶もありました。

繊細な日本酒は温度管理がとても大事だそうです。紫外線を防ぐ袋で包装されている瓶もありました。

唎酒師の資格を取得する過程で「ウマミとは何か?」を学んだという孔さん。「ウマミ」という概念は台湾人にとってとても新鮮で、それを伝える役目を担うのが唎酒師であり「Senn 先酒肴」だと感じているそうです。「飲もう飲もう!」「乾杯~!」とグビグビ楽しく飲むお酒もいいけれど、1本の日本酒が完成するまでの酒蔵、杜氏さんたちが奏でる物語に思いを馳せながら味わう日本酒もまた格別です。

「Senn 先酒肴」に並ぶ日本酒は民衆にとってもっと身近で、ウマミを感じられるラインナップになっています。

あさ開

南部藩士だった村井源三が1871年に創業した岩手を代表する蔵元です。明治44年(1911年)に始まった全国規模で開催される唯一の清酒鑑評会である「全国新酒鑑評会」において、平成以降26回入賞を果たし、21回の金賞を受賞しています。また、酒蔵の最高製造責任者に当たる杜氏(とうじ)の藤尾正彦氏は2005年度、厚生労働大臣より卓越した技能者に送られる「現代の名工」に表彰されています。
(左)<あさ開南部流寒造り/純米吟醸>
(右)<水神-suizin-/純米大辛口>
(写真左)
月の輪

もともとは麹屋だったところ4代目が酒造りに目覚め、明治19年(1886年)に酒造業を創業したのが始まりです。2005年より日本では珍しい女性の杜氏が誕生し、現在に至ります。「酒造りは男の仕事、女はご法度」だった一昔前とは時代が変わり、今ではこうした女性杜氏も増えてきているのだそうです。
(左)<純米酒 月の輪 山田錦>
(右)<純米酒 月の輪 秋あがり>

(写真右)
桜顔酒造
1973年に岩手県内の酒造会社10社と創業したのが始まりです。こちらの日本酒は日本最大の杜氏集団である「南部杜氏」の技により生み出されています。杜氏・猪川栄四郎氏は2010年に「現代の名工」に表彰されています。岩手を代表する詩人・宮沢賢治の作品をモチーフにした純米吟醸酒「銀河鉄道の夜」は味もさることながら、ボトルのデザインも美しい!原料はすべて岩手県産です。
<純米吟醸酒 銀河鉄道の夜>

地酒は少量生産であること、また季節に合った日本酒を提案したいという思いから、日本酒は定期的にローテーションしているそうです。今回飲んだ日本酒が、次のタイミングで飲めるとはかぎりませんのでご注意を。毎回新しい味に会えるという意味では、新鮮味があって嬉しいですね。6.5%とアルコールが低めのスパークリングの日本酒など、お酒が苦手な方や女性にオススメの日本酒もあるので、お店のスタッフに気兼ねなく訪ねてみて下さいね。
まず乾杯はビールで!という方にオススメなのが、台湾のクラフトビール「i3beer 愛上啤酒」。飲み頃は7日間です。

まず乾杯はビールで!という方にオススメなのが、台湾のクラフトビール「i3beer 愛上啤酒」。飲み頃は7日間です。

ピルスナービール。スッキリとして飲みやすかったです。

ピルスナービール。スッキリとして飲みやすかったです。

コーヒーのようなフレーバーがして、黒ビールが苦手なナビもおいしく飲めました!

コーヒーのようなフレーバーがして、黒ビールが苦手なナビもおいしく飲めました!

台湾の食材を使った、日本酒に合う和食料理

「Senn 先酒肴」では岩手の日本酒に合わせた食事の楽しみ方、「マリアージュ」に重きを置いています。シェフはまず扱う日本酒の味を把握し、それに合う料理を開発するという「岩手の日本酒ありき」のメニュー構成になっています。

また食材にも強いこだわりを持っており「台湾の食材を使った和食」という少し違った切り口で、台湾にいるからこそ味わえる料理を提案しています。年間通してあたたかい台湾と、四季がはっきりした日本では食材に違いがありますが、四季折々の旬な食材が少ない代わりに、安定供給される食材や、南国ならではの食材をいかに日本酒に合う和食に仕立てるかがポイントだそうです。

それでは、シェフ歴20年の店長PANさんが監修する、岩手の地酒に合うオススメ料理を紹介していきます!

生鯛昆布漬
台湾で捕れた鯛を、日本から取り寄せた白昆布とシソの葉で巻いた、オシャレな一品。身が太っていて油が多めな日本産の鯛に対し、台湾産の鯛は脂身が少なく、さっぱりと食べられるのだそうです。食感はさほど変わらないそうで、干し梅入りの酢に漬けられた白昆布とよく合います。シソの風味も食欲をそそり、特に暑い台湾の夏にピッタリだと思いました!

櫻花蝦大根沙拉
ダイコンとキュウリの千切りに、屏東県の東港で捕れた「サクラエビ」がたっぷり乗っています。料理が運ばれてきた瞬間、サクラエビの香りが胃袋を刺激します。歯ごたえバツグン、ポン酢仕立てのさっぱりしたタレが掛かっているので日本人好みの味でした。

卵を割ると、三層になっているのが特徴で、まるでミルクのようなクリーミーな味でした。ごはんにかけて食べたい~! 卵を割ると、三層になっているのが特徴で、まるでミルクのようなクリーミーな味でした。ごはんにかけて食べたい~!

卵を割ると、三層になっているのが特徴で、まるでミルクのようなクリーミーな味でした。ごはんにかけて食べたい~!

月見生牛肉
台南産の生の牛肉に、新竹の「草本機能蛋」という高級卵がのった贅沢な料理です。 一昔前までは、生の牛肉も生卵も食す習慣がなかった台湾にこうしたメニューが登場する様子をみると、時代は変わったのね~と感心を抱かざるを得ないナビです。

正直にいうと、これまで台湾の生卵を食べる勇気は無かったナビですが「漢方やトリュフを食べて育ったニワトリが産んだ卵で、栄養価が高い」という話を聞き、挑戦してみました!生臭さは全くなく、濃厚な黄身が生の牛肉に絡み、ほっぺが落ちそうでした~。日本の生卵よりもおいしい!と思わず叫びたくなりました(笑)。

六和全燒
左から順に、宜蘭産の櫻桃鴨胸、南部の鶏肉、ハツ、砂肝2本、嘉義産の自然豬の串焼きです。台湾でもたくさん串焼き屋さんはありますが、こうして台湾産の肉に拘った串焼きは珍しいです。柚子胡椒をつけても◎。付け合わせの自家製ダイコンの酢漬けもとってもおいしかったです!

そのほかには、岩手から取り寄せているという「盛岡冷麺」もオススメだそうですよ。

お手頃な価格で、心地よく日本酒を楽しめるお店「Senn 先酒肴」。台湾人のみならず、日本人のお客さんにも日本酒の真髄を伝えてくれる空間でした。カウンター前には大型スクリーンが設置されているので、ワールドカップなどのスポーツ観戦や、貸切でカラオケなども楽しめるそうです。台北で、食を通じた日台交流を体験してみてはいかがですか?

以上、台北ナビでした。
店内には、県からの贈呈品が並んでいます。 店内には、県からの贈呈品が並んでいます。

店内には、県からの贈呈品が並んでいます。

記事登録日:2018-08-28

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上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

スポット登録日:2018-08-28

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